チェスターは開発計画の変更を伝える①
今日は、再び元貧民街の屋敷に来ている。
開発も進み、もう貧民街だとは誰も思わないだろう。
町並みも整えられて、とても綺麗な町になった。
裏道を見ても、もう浮浪者もいない。
ゲルハルトとアドルフから、婚約祝いを貰い、開発計画の変更が必要になった。
あいつらの、ニタニタした笑い顔を見てムカついた。
だが、あのお陰で俺のスキル“災い転じて福となす”が発動した。
今は怒りよりも、これからどんな福が舞い込むか?
楽しみにの方が勝っている、今日この頃である。
開発計画は変更になるが、まあ、俺の部下達は皆優秀だから、俺は計画の大枠だけ述べれば良い。
本当に楽で良いな!
優秀なスタッフを揃えてくれた、ガブさんに感謝だな!
俺が応接室でだらけていると、執事のクレストンが呼びにきた。
「チェスター様、皆揃いました」
「分かった!」
俺が部屋を出ると、扉の外で護衛のクレストンと、秘書のバイオレットが待機していた。
俺は3人を従えて廊下を進む。
いつの間にか、西の宮殿と同じ透明な板みたいな物が設置され、それに乗ると数センチ浮かび上がり、そしてゆっくりと廊下を進み、会議室の前で停止した。
自分で歩かなくて良いから楽だな~
でも、健康の為には歩いた方が良い気もする。
前世では、コレステロールが高めで、医者から“歩きなさい!”って言われいたのを思い出し、なんだか懐かしくなる。
俺は会議室に入り、会議を始めた。
「皆聞いていると思うが、ゲルハルトとアドルフから、婚約祝いを貰った」
「それにより、開発計画の変更が必要になった。だから、全員集まって貰った。バイオレット。内容の説明を…」
「はい。チェスター様。まず、アドルフからの婚約祝いの説明をする」
バイオレットがタブレットを操作すると、大画面に映し出される。
「首都星の北半球に2ヵ所の土地を貰った。場所は…ここと…ここだ!」
「…これは…貧民街では、ありませんか?」内務長官のマルティンが言う。
「その通りだ!チェスター様は、この2ヵ所も同じ様に開発するおつもりだ。この2ヵ所の土地にも、宇宙港と地下に物流センターを建設する」
「また、これ以外に南半球にも3ヵ所の土地を新たに購入し、宇宙港と地下物流センターの建設をお考えだ!」
「成る程…北半球と南半球に、各々3ヵ所の宇宙港を建設すれば、もはやこれ以上の建設スペースは無く、チェスター様が独占できますな~流石で御座います!」
とうやらマルティンは、俺の考えに賛成の様だ。
「南半球にも、ここと同様の施設を3ヵ所建設する前提で準備を頼む!」
「後から邪魔が入ると面倒だ。だから、建設可能と判断したら、土地の購入前に申請だけ先に出して、建設許可を取り付けておいてくれ!」
やっと最初の1ヵ所目の開発場所の完成間近だ。
残りの5ヵ所の建設が終わらせるには、数年は掛かるからな。
南半球の土地を買いました~
でも、建設申請は却下されました~
それじゃあ、馬鹿みたいだ。
「ああ、それから、南半球に建設する3ヵ所の宇宙港は、将来、ハルベルト兄上に譲る。俺1人が利益を上げ過ぎると、嫌がらせしてくる貴族がいるかも知れないからな。帝国は財政難だ。ハルベルト兄上が皇帝に即位したら、そのまま帝国の所有になる。そうすれば、多少は足しになるだろう?」
「それに、兄上に譲渡するのは、宇宙港だけだ。地下に建設する物流センターは俺の物だし…兄上に譲渡する宇宙港で働くのも俺の住民達だ。彼らが働けば給料が出て、所得税は俺に入るから、何の問題も無い!」
「チェスター様、流石で御座います!」
「マーガレット。事前に兄上に打診しといてくれ!」
「チェスター様。見返りは何を求められますか?」
見返りか…貴族の世界では、何かをして貰ったら、見返りを求めるのが当たり前だ。
何の見返りも求めないと、逆に疑われてしまう。
「そうだな…兄上が皇帝に即位したら、譲渡した宇宙港の収益を帝国財政に組み入れる事。それから、俺の婚約者ソフィアが首都星にやってくる。首都星には知り合いもいないだろうから、兄上の婚約者フローラ嬢に仲良くして欲しいと伝えて欲しい」
俺と兄上は、派閥の長同士だ。
だから、場合によっては、その場で決断が求められる場面があるかも知れない。
だから、ソフィアとフローラ嬢がお茶会を開き、そこで事前に擦り合わせをすれば、話がスムーズに進む。
「承知しました」
「チェスター様、宇宙港とそれを支える塔を建設していた作業員の大半は、第一惑星開発の為、既に宇宙港から出港しておりますが、如何致しますか?」
建設長官のルイスが質問する。
「どれくらいの人数が残ってるんだ?」
「はい。おおよそ3割り程です」
「なら…残りの作業員は、このまま首都星に残しておけ。あと、足りない人数は、新たに募集しろ!アドルフから貰った貧民街には、仕事の無い者も多いだろうから、積極的に雇用し、育成しろ!」
「承知しました」
「次に第一惑星だ。惑星を取り巻く外壁が完成次第、チェスター様がダンジョンコアを設置予定だ」バイオレットが言う。
「第一惑星の建設が完了したら、次は時計回りに、第二・第三の順番で開発を進めてよろしいですか?」ルイスが聞いてくる。
なあ、ガブさん。
あの惑星って、何人位が暮らせるんだ?
《はい。マスター。自給可能な人数は、おおよそ55億人です》
自給可能って、どう言う意味?
《その惑星での生産物で、生存可能な人数の事です》
《帝国首都星の様に、砂漠の土壌を改良し家を建て、山脈を削り海を埋め立てれば、惑星の食糧生産能力以上の居住が可能です》
《しかし、居住している住民に必要な食糧の生産が足りず、惑星外部からの輸入が必要になります》
それで、首都星の人口が推定1千億人とか言ってるのか。
ちょっと待てよ…
それって、食糧の輸入が止まったら、不味いんじゃないの?
《はい。暴動が発生すると予測します》
ヤバいじゃん!
住民が一斉放棄したら、帝国崩壊の危機だ!
そうなったら、早く跡継ぎに家督を譲って、だらけて暮らすと言う、俺の目標が達成出来なくなってしまう!
「ルイス!第二惑星の建設は後で良い。第一惑星の建設が終わったら、次は第三惑星を建設する」
「第三惑星は食糧生産基地にする。ロボットや、それを管理するアンドロイドを積極的に活用するんだ!農地や牧草地に適さない岩場等の土地に食品加工工場を建設し、土地の有効活用を行う」
なあ、ガブさん。
火星に月が有ったよな?
《はい。火星1つに月が2つ。合計6個の月があります》
その月を食品倉庫に出来ないかな?
《知恵を司る大天使・ウリエルの力をつかいますか? YES ・ No 》
YESだ!
《暫くお待ち下さい…暫くお待ち下さい…終了しました》
《まず、月の内部を削り取り、削り取った残土はダンジョン内のマグマ階層に運び、材料として再利用します。次に月の内部に時間停止機能付きの空間魔法陣を設置すれば、巨大倉庫として利用可能です》
《月1つで、おおよそ40億人が1年間必要な最低限度の食糧が貯蔵可能です》
「ルイス!6個ある月の内部をくり貫き、食糧倉庫にするぞ!時間停止機能付きの空間魔法陣を設置するんだ。建設時に月から出る残土は、ダンジョン内のマグマで溶かして再利用する」
「それから、第一惑星の定員は50億人に
設定する。人口が50億人に到達したら、第二惑星への移住を開始する」
ガブさん。
今現在で、第一惑星に移住させる人数って、どれくらいかな?
《はい。マスター。マスター名義の北半球の3ヵ所の土地に住む住民から、現地に残す住民を引くと、おおよそ9億~10億人と予想します》
それなら問題ないな!
南半球に土地を買って、そこに住む住民を移住させても、まだ余裕がある。
「だから、先に第三惑星の建設をしてくれ!」
「承知しました」




