チェスターは帝国宰相に会いに行く。
俺が屋敷の部屋でだらけていると、執事のクレストンがやって来た。
「チェスター様。帝国宰相シュターデン侯爵の使いの者が参り、皇宮に参内し宰相執務室へ出頭して欲しいとの事です」
「用件は何だ?」
宰相と言えど皇帝の臣下だ。
宰相が皇子である俺を呼び出す事は出来ない。
つまり、俺を呼び出すと言う事は、皇帝の名代と言う意味だ。
「はい。婚約祝いの打ち合わせと聞いております。3日後の午後に参内して欲しいとの事です」
「分かった…最低限度の人数で行こう。そうだな…護衛騎士のヘルマン。秘書のバイオレット。それから、執事のクレストンの3名で行くぞ!」
「クレストン。準備しといてくれ!」
「承知しました」
クレストンが部屋から下がって行った。
俺の部下達は、領地の開発やらで忙しいから、無理に連れて行く必要もない。
なあ、ガブさん。
婚約祝いだけど、屋敷なんてどうかな?
ハルベルト兄上も、皇宮から近い1等地に屋敷を構えてるし…俺は兄上ほどの資金力がなかったから、郊外の…皇宮から遠く離れた場所にしか土地を持って無い。
転移門のスキルがあるから、別に困ってはいないけど、貴族はプライドが高い奴が多い。
俺のせいで、派閥の貴族達が片身の狭い思いをさせるのは忍びないし…
《マスター。屋敷はマスターが成人し、皇帝から公爵位を授かる時に上屋敷・中屋敷・下屋敷が与えられます。従って、それ以外の物が良いと進言します》
そうなの?
なら、何にしようかな~?
軍備にするか?
上位貴族は帝国法で4個艦隊(6万隻)以上の保有が定められてるし…軍備は金が掛かる。
ダンジョンコアを使っても、直接、軍艦を造れない。
建造するのも、兵士の訓練にも時間が掛かる。
だから早めに準備しておいた方が良いと思う。
《はい。マスター。帝国軍は新型鑑の配備を予定しています。しかし、帝国の財政難から建造が遅れています。新型鑑の建造が始まれば、順次、現在の主力級の造船設備が撤去されます。現在の主力級の造船設備を婚約祝いに受領するのが良いでしょう》
でも、1世代前の型落ちだぞ?
《改良する余地が大いにあり、また、現在の主力級は、帝国軍をはじめとして、各貴族の私兵用として数多く運用されています。総てを置き換えるには長い年月が必要であり、それまでの間、修理用の部品等の需要が見込めます》
成る程…改良の余地があるのは良いな。
レベルアップ出来る。
それに、点検整備や部品代で稼げるか…金が無くて、すぐには新型鑑を買えない貴族に恩が売れるかも知れないし…
ガブさん。
造船設備を何処に設置しようか?
《地球がある太陽系で言うところの木星に相当する惑星が良いと判断します》
ああ、あの惑星か。
惑星開発の基地を建設し、必要な金属を用件する為、ダンジョンコアを設置済みだ。
確かに木星が良さそうだ。
俺の部下達は優秀だから、主力級の軍艦を改良して性能を向上させてくれるだろう。
よし、決めた!俺は現在の帝国軍主力級の軍艦の造船設備を希望する。
駄目って言われたら、また、考えよう!
その後、チェスターは宰相との打ち合わせで、造船設備を希望。
帝国から正式に許可を得て、自身の領地に造船設備を設置する事になる。
これにより、チェスターは造船分野にも進出し、資金源の多様化を図って行くのであった。
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「宰相閣下。チェスター殿下に造船設備を渡してしまって良かったのですか?」
宰相の部下が訊ねる。
「迂闊なところへは渡せぬ。軍事情報が漏れてしまうからな。それに、設備の廃棄費用も節約出来る。チェスター殿下の婚約祝いに、予算を割く必要も無くなった」
「皇帝陛下の許可も取り付け済みだ。誰にも文句は言わせん!」
「確かに…現在、帝国は財政難ですから…」




