宇宙港が完成する。
俺がソファーに寝転び、だらけていると、バイオレットが部屋に入って来る。
「チェスター様、宇宙港が完成したそうです。如何致しますか?」
お~!
やっと完成したのか。
飛行魔法を組み込んだ、高性能な3Dプリンターみたいな物体を空に浮かべて、巨大な塔を建設していた。
その塔を宇宙まで伸ばす。
そして宇宙空間にある、民間の造船会社の宇宙ドックで埠頭を作る。
作った埠頭を運んで来て、蜘蛛の巣状に繋げて行く。
そうして作った宇宙港が完成したそうだ。
見に行くか…どうせ暇だし。
ガブさんが用意してくれた、俺の眷属達が超優秀だから、俺があれこれ指示する必要が無い。
俺がするのは、大枠を決めるだけ。
後の細かい事は、眷属達がやってくれる。
「バイオレット。視察に行くぞ!転移門を開け!」
「承知しました」
そう言って、バイオレットが転移門を開く。
俺も転移門を開く事が出来る。
ただ、1度行った場所しか転移門を開く事が出来ない。
だからバイオレットに連れられ、1度行っておけば、次からは自分で行く事が出来るのだ。
俺はバイオレットが開いた転移門の中に入って行った。
着いた場所は、宇宙港の1階だった。
地下は物流センターだ。
俺は1階の扉を抜けて、ロビーに入って行った。
バイオレットからの施設の説明を聞きながら進む。
宇宙港は貨物船だけではなく、客船が入港する事も想定し、出発ロビーや到着ロビー。
それに売店やレストラン等が備わっている。
「チェスター様の要望通り、積極的に住民を雇用しております」
うん。
なかなか良い感じだ。
俺はバイオレットに案内され、出発ロビーを抜けて移転魔法陣の中に入る。
係員がタブレットを操作する。
すると一瞬のうちに移転した。
そこは巨大な塔が宇宙に突き出た場所で、待合室のような場所だった。
広いスペースにソファーが設置され、このフロアにも軽食や飲み物が買える売店がある。
ここは、日本で飛行機に乗るとき、保安検査場を抜けた後の待合所みたいな場所だった。
客船の搭乗準備が出来るまで、ここで待機して、搭乗アナウンスが流れて船に乗り込む感じだな。
バイオレットが「ここはチェスター様専用のスペースです。そして、その隣はご家族用です。将来、結婚されご家族が増える事を想定して、事前に用意してあります」
俺はバイオレットから言われた方を見る。
すると、そこには巨大な船が係留されていた。
「おい、バイオレット!あの船は何だ?」
「はい。チェスター様が乗船される戦艦で御座います」
「戦艦?」
「はい。上位貴族は首都星に赴く時、みな戦艦に乗って参ります。そこで、帝国軍宇宙船工廠に発注していたのですが、先日、納品されました!」
…俺の知らないところで、宇宙戦艦が発注されていた。
まあ、任せたのは俺だ。
と言うか、基本的には彼等に丸投げだ。
それに、俺が将来公爵になった時、必ず必要になるから、また良いか。
「チェスター様。この船の名前をお考え下さい」
う~ん。
名前か…そうだ!
閃いたぞ!
「この船の名前はビスマルクだ!」
旧ドイツ海軍の戦艦からパクった。
「もう乗れるのか?」
「はい。乗船可能です」
「よし!じゃあ案内しろ」
宇宙戦艦に乗るのは、初めてだ!
俺はウキウキ気分でバイオレットの後に続く。
歩きながら、俺は閃く!
なあ、ガブさん。
転移門って、1度行った場所しか開けないんだよな?
《はい。マスター。その通りです》
じゃあ、いま俺はビスマルクに乗った。
次に、俺を乗せずにビスマルクを出港させる。
首都星から1ヶ月くらい掛かる場所に、俺が購入した星に行かせたとする。
この場合、俺は首都星から購入した星に係留しているビスマルクへ転移門を開いて、移動って可能なの?
《……暫くお待ち下さい…暫くお待ち下さい…》
《可能です。移動距離が長いので、大量の魔力を必要としますが、マスターは大天使の力があるので余裕です。また、マスターには神の倉庫から持ってきたダンジョンコアがあり、その魔力を使えば自身の魔力を使う必要もありません!》
《また、マスターの眷属達も伯爵級以上の上位悪魔です。従って彼等も自身の魔力を使えば転移門を使用可能です》
お~!
やったぞ!
1ヶ月も無駄な時間を使わなくて済むな。
これって、ひょっとして、裏技じゃないの?
ふふふ。
俺は裏技を発見し、嬉しくなった。
おっと、いけない。
バイオレットに指示を出さねば。
「バイオレット!乗員の訓練等が終わったら、ビスマルクを出港させろ!」
「行き先は、俺が購入した太陽系だ!」
「承知しました」
バイオレットは頭を下げた。




