チェスターは再び視察に行く①
転移門を通って、俺は再び視察に来た。
今日は内務長官のマルティンを同行させている。
マルティンには内政全般を担当してもらう。
だから連れて来た。
それと護衛のヘルマンだ。
俺の護衛担当だから、俺がいちいち言わなくても付いてくる。
俺達3人で街中を歩く。
以前に比べて活気が出てきた様だ。
商店を覗く。
以前は閑古鳥が鳴いていた店に商品が陳列されている。
品揃えも以前とは比べて様もないほど増えていた。
うん。
良い感じだ。
建設現場等で住民に仕事を斡旋した効果が出てきている。
経済が回りだしたのが実感出来る。
「マルティン。炊き出しはどうなってる?」
「はい。チェスター様。工事の邪魔にならない場所で引き続き実施しております」
「食料問題で暴動が起こると困る。しかし、働かなくても飯が食えると思われると、労働意欲が失われる。だから、さじ加減を間違えるなよ!」
「はい。承知しております」そう言ってマルティンが頭を下げる。
そして「今後、建設が進むと炊き出し場所が無くなって参ります。如何いたしますか?」と俺の判断を仰ぐ。
「う~ん…!…確か、俺が購入したこの島には、教会が無かったな?」
「はい。御座いません」
「よし!建設計画を一部変更する。上手くスペースを遣り繰りして、教会を建設しろ!ああ!それから教会に、孤児院を併設させろ」
路地裏にストリートチルドレンを見掛けた。
ここは貧民街だ。
きっと、かなりの人数がいるハズだからな。
あいつらが食べる為、盗み等を働くと、また、治安が悪化してしまう。
それより、大切な人的資源だ。
孤児院に入れて、しっかり勉強させて、働かせた方が良い。
あいつらが働けば、所得税が入ってきて、財政にもプラスになるし。
「マルティン。子供達を強制的に孤児院に連れて来るんじゃなくて、彼等が自主的に来る様にしたい。子供達のコミュニティがあるハズだから、そこに噂を流すんだ」
「孤児院に入れば、暖かい部屋でふかふかのベッドで眠れる。それに食事が出て、勉強まで教えてくれるって感じだ。出来るか?」
「はい。チェスター様。皆と相談し対応致します」
さて、次は病院の視察だ。
「う~ん…!…マルティン。昼間は極力、人間のスタッフを使えないか?アンドロイドやロボットは夜間の担当に変更したい」
少しでも、人間の雇用を増やしたい。
俺が日本でサラリーマンをしていた時は、仕事で遅くなり、家に帰った時は、もう子供達は寝ていた。
だから、平日の俺は、子供達の寝顔しか見れなかった。
人間のスタッフ達を夕方に帰してやれば、家族団欒の時間が取れるかも知れないしな!
「承りました」とマルティンが返事をした。
「それから病院内の掃除や、道の草取りなんだが、年寄りを雇えないか?1日数時間の短時間労働だ」
おれの母もシルバー登録して、1日数時間働いていたな~
何だか懐かしくなる。
確か…公園の草取りとかだったかな?
少しでも領民達に働き場所を用意しなければいけない。
やっと島の経済が回り始めたばかりだからな。
ここで止める訳には行かない。
「チェスター様。あまり人を雇い過ぎますと、資金不足の懸念が御座いますが…」
そうなんだよー!
商人のノアだけじゃ限度がある。
俺の宝くじの当選金は、もうシュテフィーに渡してあるし…
なあ、ガブさん。
何かアイデアない?
《はい。マスター。ダンジョンコアを財務担当のシュテフィーと商人のノアに預けるのが良いと判断します》
《彼等は空間魔法が使えますので、空間魔法内にダンジョンコアを設置します。次にダンジョンコアの魔力を使い、鉱山等の必要な階層を設置。そこから得た物を売却したり、建設資材を産み出させれば、外部から購入する必要が無くなります》
でも、ダンジョンコアは俺専用だろ?
確か…貸出も譲渡も出来ないんじゃ無かった?
《マスターの記憶が戻る迄の間、ダンジョンコアの魔力を少しずつ溜め、新しくダンジョンコア2個を作成済みです!》
《このダンジョンコアは、神の倉庫から持ち出した物では無いので、他の者でも使用可能です!》
お~!ガブさん、流石です!!
よし、それなら問題無いな!
俺はストック内からダンジョンコアを2個取り出す。
「マルティン。このダンジョンコアをシュテフィーとノアを渡しておいてくれ。ダンジョンコアの魔力を使い、必要な物資を用意させろ!」
「承知しました」マルティンが頭を下げた。




