パウロ視点。
私はパウロ。
帝国魔法師団長を拝命している。
今日は、第4皇子のチェスター殿下に魔法を教える。
皇族方に魔法を教えるのは、魔法師団長の仕事の一つだ。
私が魔法師団長に就任した時、先代の師団長から引き継いだ。
昨年は、第3皇子のアドルフ殿下に魔法を教えに行った。
しかし、アドルフ殿下は魔法に興味も無ければ、やる気も無かった。
そして、素質も皆無だった。
私は一生懸命、殿下に魔法の授業を行ったが
しかし才能の無い殿下は、全く上達せず、そして魔法の授業放棄された。
殿下は「お前の教え方が悪いんだ!俺はもう魔法の授業は受けない!だから魔法を習得済みと宮殿に報告しとけ!」そう言って、2度と魔法の授業に参加しなかった。
アドルフ殿下は噂通り、気性が激しく、自分の思い通りにならないと、我慢ならない方だった。
宮殿に戻った私は、宰相殿下に正直に報告した。
私の報告を聞いた宰相殿下は、眉間に皺を寄せ、そして「正直に報告してくれて助かる。私から皇帝陛下にお伝えする。だから、卿は心配せず、引き続き自身の職務を全うしてくれ」
そう言われた。
今は科学技術が発達し、人々は魔法に興味が薄れてしまった。
魔法で攻撃するより、ビームライフルで攻撃した方が、早くて威力も高い。
それに射撃の方が、魔法よりも早く上達する。
古くからの門閥貴族は、伝統を重んじる。
だから、自身や子供達も魔法を学ぶ。
しかし最近力を付けてきた、新興貴族達は魔法を馬鹿にし、興味も無い。
そのせいで、魔法師団の片身が狭い。
それから1年後、私は再び宰相殿下に呼び出された。
「パウロ殿。卿には第4皇子チェスター殿下のところへ魔法の授業に行って貰いたい」
宰相殿下から、そう言われた。
出来れば行きたくは無い。
しかし魔法師団長の仕事とされている以上、断る事など出来はしない。
「承知致しました」
そう言って、私は頭を下げた。
★★★★★
魔法の授業の日になり、私は車に乗り込み、チェスター殿下の住まう西の宮殿へ向かった。
チェスター殿下に魔法を教える。
しかし…ここで、信じられない事が起こった!
チェスター殿下は、魔法の天才だったのだ!
アドルフ殿下は、全く魔法の才能が無かった。
2人分の才能を得ているのかと思う程、素晴らしい資質と才能に恵まれた方だった。
私が言った事を即座に魔法で再現する。
天才だ!
私は殿下の素質と才能に心を奪われた。
この方には、私が教える事はもう無い。
帰りの車の中で、私は思慮する。
皇室では、何度も不慮の事故が起こっている。
今まで何人もの皇族が亡くなっているのだ。
チェスター殿下の才能を妬み、危害を加えようとする愚か者が現れるかも知れない。
ここは、宰相殿下に根回しして、チェスター殿下の才能を秘匿するべきだ。
今の情勢では、恐らく次期皇帝陛下になるのは、ゲルハルト殿下かハルベルト殿下だろう。
チェスター殿下には、是非とも生き残って頂き、行く行くは魔法師団長になって頂くのはどうだろう?
皇族のチェスター殿下が魔法師団長になれば、毎年、予算を削減され、縮小されて行く魔法師団を残して行く事が出来るかも知れない。
よし!魔法の伝統と、魔法師団を残して行く為、影ながら殿下をお守りしよう!
宮殿に戻った私は、早速、宰相殿下に面会を申し入れた。




