大魔導師パウロ
バイオレット!
今日の予定は、どうなってる?
「はい。チェスター様。午前中は魔法の授業です。パウロ様がお越しになります」
「そして午後は、体術・格闘術の授業を受けて頂き、3時からクラウディア様とのお茶会です。その後は剣術の授業となっております」
「詰め込み過ぎじゃないの?」
「チェスター様なら、何の問題もありません!」
「それに明日は、眷属達との打ち合わせと、開発現場の視察です。くだらない事は、サクサクとこなして仕舞いましょう!」
なあ、ガブさん。
大丈夫かな?
《はい。マスター。マスターは大天使のJOBを有しているので楽勝です》
《くだらない行儀作法の練習を早く終わらせる事を推奨します!》
…ガブさんが、くだらないと言った…
でも、教育カプセルで知識をインプットしても、練習しないと体が付いて行かないんだろ?
《マスターは身体強化を初め、様々なスキルを有しており、いちいち訓練しなくても差し支えありません》
そうなの?
《はい。例えばピアノの演奏をするとして、既に楽譜を読み、理解する事が出来ます。そして、指の筋肉や神経が強化されているので、練習しなくても楽譜通りに演奏する事が可能です。従って、無駄な時間です》
それなら、やらなくっても良くない?
《今までの仕来たりです。避けられません》
《しかし、各科目の先生から認められれば、その時点で習得したとみなされ、その科目の授業は終了となります》
成る程…なら、とっとと終わらせるか。
暫く部屋で時間を潰していると、バイオレットが俺を呼びにきた。
「チェスター様。パウロ様がお越しになりました。魔法練習場へお越し下さい」
俺はバイオレットの後に付いて、魔法練習場に到着した。
「チェスター殿下。殿下の魔法授業を担当する、パウロで御座います」
そう言って、パウロが頭を下げた。
そしてパウロは帝国魔法師団の師団長だと自己紹介した。
「パウロ殿、よろしく頼む」
俺は皇族だから、家臣に頭を下げてはいけない。
そして魔法の授業が始まった。
「まず、魔力を感じる事から始めましょう。お臍辺りに魔力溜まりがあるのですが、感じる事が出来ますか?」
「ああ、分かる」
「…えっ?本当に分かるのですか?」
「ああ、分かる。因みに魔力感知以外に、魔力操作も習得済みだ!」
「何と!本当ですか?では、魔力を指先に集めてみて貰えますか?」
「ああ、分かった。これで良いか?」
「おお!素晴らしい!私は魔眼と言うスキルを有しており、魔力が見えるのです!」
「では、指先に集めた魔力を変換してみましょう!魔法はイメージが大切です」
「そうですな…では、火をイメージしてみて下さい」
「これで良いか?」
俺の指先に火が灯る。
人差し指がロウソクで、その指先に火が灯る感じだ。
「…まさか、1度で出来てしまうとは…この方は魔法の天才か?」
「では、違う属性を試してみて頂けますか?」
俺は、言われた通りに、火から水。
水から土と、順番に他の属性魔法を試す。
試しているうちに、段々楽しくなってきた。
日本には、魔法が存在していなかったからな~
俺は左手の指先にも、魔法の火を放つ。
右手と左手。
それぞれ違う属性魔法を一度に。
うん…?さっきから、パウロが何も話さない。
どうしたんだ?
俺は心配になって、両手に魔法を発動させながら、パウロを見る。
「天才だ!…初めての魔法の練習で、まさかここまで出来てしまうとは…天才だ!」
「一度に複数の属性魔法を同時展開出来るとは…魔法師団に所属する魔法師達でも習得するのに数ヶ月掛かると言うのに…」
俺はパウロに声を掛ける。
「パウロ殿。次は何をすれば良い?」
我に返ったパウロが「では、魔法で玉を作り、それをあそこの的に当てられますか?」
魔法は、体がから離れれば離れる程、制御が難しい。
魔法の玉を飛ばすだけでも技術が必要になる。
果たして、チェスター殿下は出来るだろうか?
俺はパウロから言われた通り、魔法の玉を的に向かって飛ばす。
魔法の玉は、的に向かって真っ直ぐに飛んで行った。
ドッカーン!
俺が放った魔法が的に命中!
ふふふ…初めての魔法は、とても楽しい!
次に俺は、いろんな属性魔法を試してみる。
火や水など次々に魔法の玉を作っては、的に当てて行く。
段々と慣れてきた。
魔法が面白くて、空中に火の玉を3個と、水の玉を2個を浮かべて、的に向かって一気に放つ。
ドッカーン!ドッカーン!!
5個の魔法の玉が的に命中した!
お~!楽しい!
先程からパウロが固まっているぞ。
大丈夫か?
心配になった俺は、また、パウロに声を掛けた。
「パウロ殿。大丈夫か?」
するとパウロが「チェスター殿下!殿下は既に魔法師団の団員並みの魔法技術をお持ちです!」
「もはや、私が教える事は何もありません」
こうして俺は、1日で魔法の訓練を卒業したのだった。




