ハルベルトは派閥重鎮と打ち合わせをする②
次の議題は、宇宙港の件だ。
「ハルベルト殿下。チェスター殿下との面会時には返答を先延ばしにされては如何ですか?」
「ゲルハルト・アドルフ両派閥とチェスター殿下の派閥争いの状況を見てから判断なさっては?」
「いや、それは如何なものか?」
「ハルベルト殿下の政治力が問われる」
つまり、私を傀儡にしたいボーデン公爵。
逆に、政治力が備わった、名門貴族ルーベンス公爵家の血を引く有能な皇子だ!と、世間にアピールしたいルーベンス公爵家。
二人の駆け引きが始まった。
「わざわざ頭を下げ、協力を依頼してきたチェスター殿下に対して失礼だ」
「それに、事前に打診されていて、この場で返答が出来ない様では貴族達に舐められる」
「ここは、協力すると返答するべきだ」
するとボーデン公爵がベンに尋ねる。
「ベン。場所はどの辺りなのだ?」
ベンは、すかさずタブレットを操作し、スクリーンに地図を映す。
赤道上の宇宙港と、北極側の宇宙港の間の場所だった。
「ベン。この場所では、大型船や超大型船の入港は不可ではないのか?」
ボーデン公爵が聞く。
「はい。中型船と小型船しか入港出来ません」
「それでは対した利益が見込めないではないか。何故?チェスター殿下は、宇宙港の建設をしたいのだ?」
「チェスター殿下の使いの者によると、公爵になる準備だと申しておりました」
「なに?どう言う事だ?」
「はい。使いの者によれば、チェスター殿下は皇帝になる意思は無く、成人後に皇族籍を離れ、公爵になるつもりとの事です」
「しかし、現在の帝国には、チェスター殿下に与える領地がありません」
「このままでは、チェスター殿下の子供は準男爵、孫は平民になります」
「そこで商会を設立したそうです」
「恐らく、商会の事業規模を拡大し、帝国に認めて貰い、代々公爵位を継がせたいのだと思われるます」
「うむ…分かった。では、ルーベンス公爵の言う通り、宇宙港建設に協力する事にするか」
私を傀儡にしたいボーデン公爵と、それを阻止したいルーベン公爵。
どうやらボーデン公爵は、この件に関しては、ルーベンス公爵の顔を立てる事にした様だ。
ベンが、私の意を汲んで、ボーデン公爵が諦める様に仕向けてくれた。
流石は、幼馴染みだ。
トムとベンは、幼い時から一緒に育った。
私の親友だ。
「では、チェスター殿下が面会に来て、宇宙港建設の協力要請の話が出た場合は、その場で協力する旨の返答をする」
「それで良いな?」
『はい。問題ありません!』
ルーベンス公爵と、ボーデン公爵。
両公爵の承諾を得て、やっと終わりだ。
そう思っていると…
「面会当日は、私も同席させて頂きたい」
突然、ルーベンス公爵が言い出した。
すると「当然、私も同席させて頂く」
ボーデン公爵も言い出す。
私が了承すると、2人とも納得して帰って行った。
2人が帰った後で、ベンが言う。
チェスターとの面会が無事に終了したら、自分が立ち会い、会談を成功させたと…
自分は、皇子同士の会談に同席出来るほど、私に信頼されているんだと、派閥貴族達にアピールしたいのだと…
だから、決して私の為に同席するのでは無いと、ベンがそう言った。




