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WABISABI- 完成された未完成‐  作者: カスガ・ハラミ
WABISABI-Main Story-
8/13

それっぽい言葉


‐言葉の本当の意味は誰が知っているの?‐



深夜0:00過ぎ、仕事をバックレたことに少しの罪悪感を抱きながら


俺はベッドに寝転びながら、スマホを片手に適当に文字を打ち込んだ。


「お前らが夢を見れなくなったのは、どこかに愛を捨てたからだよ」


送信。


意味があるのかないのか、自分でもわからなかった。


でも、”それっぽい”ことを言うことには慣れている。


SNSなんて全てそうだろう。


誰かが作ったそれっぽい言葉に安心して分かった気になる。


誰が、誰に夢を見ているのか、もう誰にも分らない…。


(それならせめてさ…。)



ーーー


夢と現実のちょうど狭間をただよっているような感覚にいたような気がする


あと少しで寝落ちする。


まさにそんな瞬間に、スマホが鳴った。


幹部のミサキ先輩からだ


「ユウが酔っ払ってカズキと揉めてる」


俺は一滴も飲んでいないのに二日酔いのような感覚に襲われた。


「いったい俺は、どんな星のもとに生まれてんだ?」


誰もいない部屋で、その言葉は何度も響いていた。



冷静を取り戻すために煙草に火をつけた。


煙で輪っかを作る。


これは地元のヤンチャだった友達は皆できるが、東京の人間は珍しがる。


俺にとっては癖みたいなもんで、無意識でやってるらしい。


「どうせ、挨拶の仕方とかでカズキ先輩が注意して、どっちかが酔っててスイッチ入ったんでしょ」


送信。




カズキ先輩は俺よりも歳が2つ上でミサキ先輩は4つ上だ。


俺よりも先にこの店にいるが、役職も売上げも俺の方が上だから立場は俺の方が上。


最高に面倒くさくて、やりにくい立場。


(俺に言ってくるなよ…)


心でそう思ったが、ミサキ先輩はいい意味で俺を頼ってくれるから好きだ。


うまく言えないが


今の世の中は能力よりも、立場や利益で人を頼っている。


責任とりたくないことだけ、自分に利益がある時だけ、人は人を頼る。


でも、唯一あの店で俺のことをちゃんと信用して頼ってくれる気がして…。


「よくわかったな。とりあえず今話聞いてるからまた連絡する」


それには返信しなかった。


本当に体調が悪くなっていく気がした。


一本目の煙草が消えるやいなや、二本目に火をつける。


「これは、どっちが悪いんだ?」


多分、カズキ先輩は、会議で出た内容について忠実に動いた。


あの人はそういう人だ。


一方で、ユウはまだ生意気な新人。


自分が新人のころに比べたらよっぽどましな気がしている。


ー俺はどの立場で、何を言えばいいんだ?


「あーーーーーーー!!めんどくせぇ!!」


別に吸いたくもなかった事を思い出して煙草を消した。





ピンッ、ピピンッ



スマホが急に連続で鳴り始めた。


見てみると、さっきのツイートが何故かバズっていた。


意味のない言葉に反応した人たちの鳴き声に聞こえた。


俺は少しだけ笑った。


その笑顔は思考停止した者たちへ向けられた嘲笑なのか


見たいものを見せられた、自分への誇りなのか、


俺にもわからなかったが、もう何も考えたくなかった。


スマホの電源を切って布団に入った。


(仕事行ってた方が楽だったわ…)


「今日は夢が見たい」


そう願って俺は瞼を閉じた。










多分、主人公は次の日出勤するのがめっちゃ嫌だと思いますが、頑張って出勤すると思います。

ユウ、カズキ先輩、ミサキ先輩、誰と先に話すべきだと思いますか?

誰にするか真剣に考えてみます。

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