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007.家族への復習

その日の夜、両親が家に帰ってきた頃を見計らい、気づかれないように家に侵入し、両親の前に姿を現した。そもそもあのクソ野郎共といらない会話をしたくなかったため顔を隠していった。

「誰!?」

俺はとりあえず、女の方を殴り飛ばし、男の方の腕を斬り飛ばした。

「お前たちの息子がいるはずの研究施設の情報を言え」

「痛い、痛い」

俺の質問に答えなかったため、何度も男の顔面を殴った。

「俺の質問に答えろ」

「答える!答えるから殴るのは止めて!」

「あ?俺に命令をしたのか?」

俺は今まで研究施設でどんだけ殴られていたのか、こんな程度ではないのに、すぐに根を上げた目の前の二人にイラついた。とりあえず、今一番イラついた女の方を殴り続けた

「や、やめろ、殴るなら俺を殴れ!」

気色悪い言葉が飛んできた

「お前も俺に命令したのか?」

男の言葉を無視し、女の方を殴り続けた。10分くらい死なないように交互に殴っていた。

「そういえば、忘れていた。研究所の情報を言え」

「し、知らないんです。ただ、道で話しかけられて、息子を売ってくれと言われただけでそれ以上のことは何も知らないんです」

「何も知らない人間に自分の息子を売ったのか?」

「1億円ももらえたから。怪しいとは思ったけど借金もあったから」

「もういい」

こいつらは嘘は言っていないようだ。嘘を言っていれば俺にはわかる。とりあえずこいつらには何の情報も伝えられていないようだ。そこから夜が明けるまで目の前にいる腐れ外道共を交互に殴り続けた。その間、ずっとこいつらはごめんなさいだか止めてくださいなどと言っていたが、とうとう何も喋らなくなり、日が登った頃には、もう息が絶えていた。

その後、血まみれになった洋服を着替え、あいつらは何も知らなかったが、急に話しかけてきたということは、この付近の研究施設の可能性が高いと踏んでいた俺は、近くの研究施設を探し侵入した。

しかし、その研究施設はもぬけの殻だった。

「廃棄された研究施設なのか?何か残された資料とかあればいいが」

その研究施設の中を探していると地下には広めの空間が広がっていた。床にはいくつか血のようなシミがあった。

「ここもろくでもない研究してたんだろうな」

「お前が最近世間を賑わせているアセイラントか」

地下の空間の入り口にはいつの間にか長身の男性が立っていた。

30代くらいだろうか

「お前はこの施設の関係者か?」

「この施設というより、最近いくつかの研究施設が襲撃されている話を聞いてな。不安に思った研究者共が俺にそのアセイラント討伐を依頼されただけだ」

彼の横には狼のような生き物が3体いた。

”聖”には大きく分けて3種類ある。東雲や遼介のような身体能力を向上させる力。俺や優香のような自然を操る力。そして、生物と会話し使役することができる力。どうやら、この目の前にいるやつは、狼を操る力を保有しているようだ。

「行け!」

その男の発声で統率が取れた動きで俺に迫ってくる。俺は大気の壁を作り狼の進路を塞いだが狼のうちの一頭が一瞬でその壁を食いちぎった。さらにもう1頭の狼が俺に向かって口から雷撃を放ってきた。俺は体の周りの大気の密度を変え雷撃を逸らしたが、その隙を見計らって別の狼が俺に直接噛みつこうとしてきた。さっきの大気の壁を軽々食い破った力を見れば、直接噛まれるのは致命傷だろう。後ろに飛んだが、さらにもう一匹の狼の体が大きくなり俺の後ろから引っ掻いてきた。この引っ掻きもさっきの狼と同様に致命傷だろう。後ろからは巨大狼の引っ掻きと前からは狼の噛みつき攻撃。さらに後ろからは雷撃を放つ狼が俺が避ける先を狙っている。俺は一か八かでさっきの大気の壁よりもっと頑丈に大気を集め、鎧とし、前後からの攻撃を受け止める。その攻撃をなんとか受けとめることができたが、後ろの狼の引っ掻きは少し掠ってしまった。

「後ろの大きな狼が一番やばいか。というか本当にこいつらは狼かよ」

「こいつらはただの狼ではない、フェンリルの子だ」

「フェンリル?神話上に出てくる空想上の生き物じゃないのかよ」

「俺は、聖万華序列第14位。日本内での序列は第2位。”聖”はフェンリルの子をこの世界に召喚し使役する力だ」

前にいた狼と雷撃を放った狼の姿が急に消えた。その代わり別の狼が2頭現れた。

「さっきの2頭はお前と相性が悪そうだったからな。別の2頭に変えてやろう」

後ろにいた狼が再度引っ掻き攻撃を仕掛けてくる。これは避けることができたが、他の2頭の能力がわからないから警戒していたら、その1頭の狼の体が発火し始めた。かなりの火力でこの部屋の温度がどんどん上がってきた。これじゃああいつだって暑いだろうに。と思っていたらもう一頭の狼がその男の近くで冷気を放って涼んでいやがった。

「ふざけやがって」

そう呟いたがいたが大きな狼が何度も引っ掻き攻撃を仕掛けてきた。1頭だけでの攻撃ならなんとか避けることができた。しかし、動けば動くほど当たり一体の温度が上がり汗もどんどん噴き出てきた。さらにあの狼が酸素を燃やしているせいでだんだんと息苦しくなってきた。あの男は準備万端なのか、酸素ボンベを持っていやがった。どうせこの狼たちを倒しても結局何度も狼を呼ばれるだろうから倒すべきなのは、あそこでふざけている男の方だ。俺はあの男に向かって斬撃を何発も飛ばした。だが、冷気を操る狼が氷の壁を発生させて防がれてしまった。やばい、どんどん温度が高くなり酸素が減っていく。暑さと酸欠の状態で大きな狼の攻撃からの反応に遅れてしまい、もろに食らってしまう。一応大気の鎧は完成してはいたので致命傷とまでは行かなかったが、かなりの血が流れてしまった。暑さと酸欠に加え出血多量になってしまい、とうとうまずい状態になってしまった。とりあえず一つだけ解消する手段がある。俺は、大きな狼を背に冷気を出す狼の方にかけ出した。

「その行動は読めているよ」

後ろには大きな狼、左には発火している狼、前には冷気を出している狼がいるが、なぜか右側から狼が突っ込んできた。

「!?」

その狼に体当たりされ、俺は吹っ飛ばされてしまった。その会心の一撃に身体中が悲鳴をあげている。一度に召喚できる狼は3体ではなく4体だったのか。いやそれ以上の可能性も考慮に入れないと行けないか。。そんなことを考えていたが、もう意識を保っているだけで精一杯だった。なんとかこの地下から脱出したいところだが、どうしようもないか。。大きな狼が俺に止めを刺しにきた。その攻撃を避けることができず直接食らってしまう。

「思ったよりは大したことがなかったな。これくらいの年齢にしては善戦したほうか」

しかし、その大きな狼が攻撃した箇所には人影がなかった。

「な、どこへ行った!?」


俺は大きな狼の攻撃をすり抜けなんとかこの研究施設を抜け出すことに成功していた。

「流石に、今のやつはやばかったな。。」

俺はいうことの聞かない体を大気の鎧で無理やり動かしている状態だった。路地裏までなんとか逃げたところでとうとう意識を失ってしまった。





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