006.復習の始まり
俺はこの街の中心地に向かって歩き出していた。
さっきからパトカーの音がひっきりなしに聞こえている。何か事件でも発生しているのだろうか?
街道を歩いていると、警察官が話しかけてきた。
「君、中学生?それとも小学生?どちらにしても平日の昼間になんでこんなところを一人で歩いているのかな?」
「お前に何か関係あるのか?」
「近くで殺人事件があってね。その重要参考人が、小学生から中学生くらいの男子らしいんだよね。それで、君は何か知らないかな?」
「殺人事件?そんなものは知らない」
「・・・そうか、わかった。でも学校はサボらずにちゃんと行かないといけないよ」
「・・・」
なんかよくわからないが怒られてしまい、バツが悪かったので、そのまま歩き出した。
「あ、そういえば、さっきの警察官が言ってた殺人事件って、俺が殺したあの家族のことを言ってたのかな」
俺は、さっきの警察官が言っていたことを思い出した。そういえば、普通に人を殺したら捕まるんだったな。これからは、殺すのは邪魔なやつだけにしておくか。面倒くさいしな。
ちなみにさっきの警察官の”聖”はそれほど強くない精神干渉系の力だが、嘘発見器くらいの役割を果たすことができる。俺はあの時は、本当に殺人事件を起こしたと言う認識がなかったため、正直に知らないと言ったが、それは本当のことだと判断したため、しつこく追求されなかっただけだった。
「それよりも、まずは、研究者が多くいそうな場所だよな。どこにいけばわかるんだろうか?他の研究施設があればそこにいるやつに吐かせるのが一番手っ取り早いんだけどな」
本当に上陸してから、大体1ヶ月くらい経った。あの施設についての情報を集めてようとしていたが、なかなか有益な情報が集まらない。そもそも、子供の自分の話をあまり聞いてくれない大人が多かった。
「この付近の研究施設っぽいところはあらかた調査し終えたな。他の街に移動するか」
「おい、お前、こんなところで何をしている。」
急に後ろから声をかけられたので振り返った。そしたらそこには以前声を掛けてきた警官が立っていた。
「あれ、お前、以前あったことがあるな。あの時も昼間っからうろうろしていたよな?」
「お前になんか関係あるのかよ」
「最近この付近で、お前くらいの少年の犯罪件数が増加している」
この犯罪というのは多分俺のことだろう。生きるために食事や衣服などを盗んだりしたし、それに気づいたやつは片っ端から殺したりしてたからな。面倒くさいことになったな
「まさかお前が犯人じゃないだろうな。しかし、ここまで言ってもお前の心拍は全く変わらないな・・・」
「あぁ、その件なら俺の仕業だ」
「!!」
そう言った瞬間その警官の首をはね、すぐにその場を離れた。
そこから1年くらい幾つかの街を回り、研究施設らしき箇所に侵入しては情報を集めて回っていた。そのせいもあり、最近では研究施設だけでなく行く先々の街での警戒度は大きく上がってしまっていた。もうすでに、何度も姿を見られてしまい重要参考人として指名手配されてしまっていた。しかし、人を殺す際はは近くの防犯カメラを全て破壊していたため、まだ人相などはバレていないようだったが、目撃証言から、身長、年齢、性別、髪型等の大雑把な情報がバレてしまっているようだ。
この日も、新しく来た街も警戒心が強そうで、俺のような背格好をした少年を見ると皆かなり警戒を強めているようだった。
「なんか、この辺りの風景は見たことがあるような気がするな」
俺は一人で歩いているとこの街の雰囲気に既視感を覚えていた。
「あぁそうか、この街は俺が生まれ育った街だったか」
最後にこの街にいたのはもう3年以上前でまだ10歳になる前だったか後だったかそれくらいだったため、あまり覚えていなかった。
「ということは、あいつらも近くにいるのか・・・」
あいつらというのは、もちろん俺もことを金であの研究施設に売り飛ばした両親のことだ。
「あったな、あの家だ」
閑静な住宅街の中にある普通の一軒家。それが俺が生まれ育った家だ
表札には、俺の苗字が刻まれている。俺の苗字はそこそこ珍しい方のため、まだ引っ越してたりはしないのだろう。
しかし、家には誰もいなさそうだったため、とりあえずその場を離れた。
あいつらは、あの研究所と繋がりがあったはずだ。繋がりがなけれがば俺を売ることだってできないからな。ものすごい殺意が湧いてきたが、すぐに殺してしまったら情報が手に入らない。
「落ち着け、あいつらには情報を引き出せるだけ引き出せたら地獄を見せて殺す」