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美羽蒼來Ⅶ

車で約20分といったところだろうか。


ここ、春坂市は結構広いのに病院はここぐらいしかない。


その代わり医療技術は最先端なので、治療不可の難病とかじゃない限り、ここにくればなんとかなる。


僕らは病院に入ったあと、診察の受付をする。


TS病は専用の科が置かれているらしく、そこで診察を受ける。


最初は総合診療科で受け持つ予定だったんだけど「諸般の事情でやめました」、みたいなことをニュースで聞いた気がする。


朝一で来たから病院は割と空いている。


混んでいると順番待ちの時間が長いから地獄だよね。


僕が病院来るときってだいたい重めの体調不良のときだからそう感じるのかな?


「次の患者さんどうぞー!」

「さ、いくわよ蒼來」


混雑は無いのですぐに僕らの番。

母さんは僕の手を引いて診察室へ歩き出した。

大丈夫?


僕の事、ガチの幼児だと思い始めてない?


流石に手を引かれなくても目的地にはたどり着けるよ?


手をつなぐことは嫌じゃないので何も言わずにそのままにしたけど。


「いらっしゃい、君が次の患者さんかな?」


にこっと微笑みながら話しかけてきたお姉さん。

多分この人が診察医なんだろう。


「はい、この子がそうです」

「そっかそっかー、君小さいねぇずいぶんと。何歳なのかなー?」

「.....今年で17歳ですけど。というか事前に診察する人の年齢くらい伝わっているのでは?」

「わお、からかってるのがばれたかー。もちろん君の言う通り、年齢は聞いていたよ。だけど容姿の情報まではもらってなかったから、「?」とはなったよ。にしても難儀な体だねぇ、君も。TS病でそんなに幼く見られるようになっちゃってさ。私とおんなじだ」

「お医者さんも、元男なんですか?」

「あ、いや、そっちじゃなくてね!?実際の年齢より若く見られちゃうって話の方!紛らわしくてごめんねー?」

「そうなんですねぇ、失礼ですけど、年齢を伺っても?」

「私?今年で46歳!独身だよ」

「私より年上....とてもそうは見えないですね、多く見積もっても三十代前半にしか....」

「やっぱそうかー。内蔵とかは年を取るのに肌や外見は年を取らないもんですから、どんどん中身と外側の年齢が剥離している感が強いんですよねえ。あと何が不便って未だに車運転していると警察に止められるんですよー」

「そ、それは大変ですねぇ」


なんか年齢トークで盛り上がっちゃってる。


あのー。


僕の診察は?


あれか、こういうことして患者の緊張を和らげようとしているのかな?


いや、ないか。


多分あの医師の顔、素で夢中になっている顔っぽいもん。


「それでねー.....っってめっちゃ話脱線してる!?ごめんねー、待たせちゃって」

「いえ、別に急いでいるわけではないので」

「お世辞とかの類でもそう言ってもらえると救われるよー、ありがとねっ」

「さて、まずはTS病かどうかの診察....なんてものは必要ないんだよね。ぶっちゃけTS病の症状って唯一無二だからさ、素人でもTS病だってわかるんだよね。だから、ここで行うのはTS病になったことによって心身に異常が生じてないかとか、身長体重を測定したりって感じで健康診断に近いんだよねー。だからよっぽどのことがない限り重く捉えなくても大丈夫!...って言っても本人にしてみれば性別が変わった時点で大事だよね。無神経だったね」

「いえ、僕はそこの辺りは気にしないので大丈夫です。話を続けてください」

「....じゃあお言葉に甘えて話を続けさせてもらうね。まずは蒼來くん、上の服を脱いでもらってもいい?脱いだ服はここにおいて。」


まずは小児科とか普通のところでもやるような診察で、心拍とかに異常がないか調べるみたい。

結果はもちろん異常なし。心肺には持病はないしね。


「次はここに背中あわせてぴんっとのばしてね〜背伸びはしちゃだめだよ〜。」


次は身長と体重の測定。


測定の結果....


身長は129.4cm、体重は32kg。


身長はまさかの130cmを切ってしまった。


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