表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

美羽蒼來Ⅵ

やっぱり母さんはすごい。基本は褒めてくれるし、ダメな時は叱ったり、慰めたりしてくれる。


母さんは、人はやさしさだけが愛じゃないってわかっている人だ。


叱ることも、慰めることも、褒めることも、全部形は違うけど、僕を思っておくる愛なんだよね。


人の感情には敏くないから僕の憶測でしかないのだけれど。


いつかは僕にも、そんな愛を向ける人ができるのだろうか?


先行き不安かも。


人生で学生時代以上に出会いがある時期はないと思う。


そんな学生時代があともう少しで終わるというのに、仲のいい異性は存在しない。


あ、ここでいう異性とは女性のことね。

体は女の子になっちゃったけど、心は男のままだからね。


とはいえ、出会う人数的には学生時代のほうが多いけど、実際世間では結婚相手と出会ったのは社会人になってから、って人が二割以上いるんだとか。


ま、そもそも自分から話しかけようとしない人間に結婚なんて無理な話さ。


ナビエストークス方程式を解き明かす方がまだ可能性があるね。


だってそうじゃない?ナビエストークス方程式はーーーーー


「....來?.....蒼來ー?」

「あ、うん、どうしたの?」

「いやそろそろ、病院つくわよ、って話。いつでも降りられるよう準備しておきなさい、っていってもすることないでしょうけど」

「手荷物的な意味合いでは必要ないかもだけど、心の準備は必要かもね」

「あら、注射を物ともしない人が何を言っているのかしらね?」

「言うほど注射って怖いかい?」

「ぶっちゃけ私は大嫌いよ」

「だろうね」


その後も他愛ない会話を続けているうち、病院へ到着。


車で約20分といったところだろうか。


ここ、春坂市は結構広いのに病院はここぐらいしかない。


その代わり医療技術は最先端なので、治療不可の難病とかじゃない限り、ここにくればなんとかなる。


僕らは病院に入ったあと、診察の受付をする。

TS病は専用の科が置かれているらしく、そこで診察を受ける。


最初は総合診療科で受け持つ予定だったんだけど「諸般の事情でやめました」、みたいなことをニュースで聞いた気がする。


朝一で来たから病院は割と空いている。混んでいると順番待ちの時間が長いから地獄だよね。


僕が病院来るときってだいたい重めの体調不良のときだからそう感じるのかな?


「次の患者さんどうぞー!」

「さ、いくわよ蒼來」


そういって母さんは僕の手を引いて診察室へ歩き出した。


大丈夫?

僕の事、ガチの幼児だと思い始めてない?


流石に手を引かれなくても目的地にはたどり着けるよ?


手をつなぐことは嫌じゃないので何も言わずにそのままにしたけど。


「いらっしゃい、君が次の患者さんかな?」


にこっと微笑みながら話しかけてきたお姉さん。

多分この人が診察医なんだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ