6.5話
「真夜ちゃんそのお人形さん気になる?」
「…この子おばあちゃんのお人形?」
「そうよ。お友達から譲り受けたものなの」
「…」
「良かったら、真夜ちゃんその子連れて帰る?」
「いいの!?」
「お義母さん悪いですよ。真夜、これはおばあちゃんの大事なお人形だから」
「この子が何か物欲しそうにするなんて珍しいわ。それに、ただこうして飾られてるだけより、遊び相手がいた方がいいと思って」
「そうですか、そう言うことでしたら。真夜、おばあちゃんによーくお礼言って、お人形さん大事にするのよ」
「うん!おばあちゃんありがとう!この子お名前は?」
「この子はね、ソウビというの」
「ソウビ?」
「蒼くて美しいと書いて『蒼美』よ」
「そっか!洋服も髪も蒼くてきれいだもんね。わたし真夜っていうの。よろしくね蒼美ちゃん!」
***
「あの子母さんに貰った人形、本当に気に入ったみたいだな」
「そうなのよ。ただあの子、周りの子達と上手くいってるか心配で」
「何もないとこに喋ってるより、人形との方が可愛げあって良いんじゃないかな。大きくなったらお人形遊びも卒業するさ」
「だといいんだけど」
***
「ねえみんな、そっちの道で帰るのやめた方が良いよ。学校で決められた道じゃないし、悪い子がいるから!」
「はあ?何言ってんの?誰もいないし、学校にだってバレなきゃいいんだよ」
「また何か言い始めた」
「あいつ変だよな、学校に人形持ってきたり」
「もう行こ、行こ」
「あ、あぶない!」
***
「蒼美、私やっぱり変なのかな。幽霊みたいな、妖怪みたいなの、皆本当に見えてないみたい。私だけみたい。それに、聞いちゃったの。お母さんとお父さんが相談してるとこ。私を病院に連れて行くかって。2人とも優しいから今まで言われなかったけど、頭のおかしい子だって思われてたんだ。絶対そうだ。何で私だけなんだろう。何で誰もわかってくれないんだろう」
***
「もうやだ!何で私ばっかり!気持ち悪い怪異に付き纏われなきゃならないの!どうしてあいつらじゃあだめなのよ!分かってるわよ私がおかしいんだって。だから『普通』にしようとしてるのに!」
「何で見えるだけなんだろう。漫画やアニメみたいに消し去ってやれればいいのに」
「あんな人間こそ○ねばいいのに、あーゆーのこそ呪われたりすべきよ」
「怪異も、人間も、全部嫌い。大嫌い。私の話を聞いてくれたのは蒼美だけだったね」
「あなたが呪いの人形とかだったら、怪異も人間もみーんな呪ってもらうんだけどなあ」