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パーティを組むようです

『情報を集めているようです』と『臨時タンクは相変わらず疲れるみたいです』があまりにも文章が変だったために再投稿いたしました。


まだまだ未熟な身で拙い文章でありますが、温かい目で見守っていただければ幸いです。

報告もなく投稿を削除してしまい申し訳ございません。

 慣れない探索をしたために、1日ほど休日を取り入れた。

 ハーゲン工房にメンテナンスで預けたカイトシールドを受け取ったシグは、冒険者ギルドへと入っていく。活気があるギルドは、新鮮市場を思い出す。


(自分で倒すよりも組んだ方が効率がよかった……。まずは回避リストに入れられる前に、マッチした人に自分の有用性を知ってもらって……いや、タンクだから難しいか?)


 あのようなひどいパーティであっても、ソロよりも効率良くモンスターを倒すことが出来たことに、ナイトである自分の殲滅力がないという現実と、またあのような対応をされなければいけないのかと萎えながらも、ギルドの食堂で朝食を済ませて今後の方針を決める。


 タンク・アタッカー・ヒーラーの三すくみの役割は、この世界では一般的ではない。しかし、自分が知っているオンラインゲーム等をもとに作られたこの世界だ。あのゲームでは当たり前に用いられている役割は実用性がある。

 アタッカーとヒーラーのごり押し作戦も確かに有用だ。だがそれは、レベルと火力がインフレしたゲームの中の話であって、現在のアタッカーの火力を見ると無謀な作戦としか言えない。


 知識は力であるが、独占してはいけない。

 一人で知識を独占しても限界はある。だからこそ利用するのに金銭を取ってでもその基礎知識は流通している。多くの者が試行錯誤と情報の交換を行うことで、さらなる知識が生まれる。 


 この三すくみという役割の重要性を周囲に認知をさせなければいけないことから、まずは固定のパーティを作ってる。そしてそのパーティで、現在多く詰まっている四階層を攻略する。

 そうすれば自然に知識が広がって、それを取り入れた冒険者のパーティが誕生する。

 まずはその土台を作らないといけない。


「あの!」


 申請時間の10分前になったことを確認して、畳んだ新聞をインベントリの中に入れる。

 前回同様に臨時パーティの列に並ぼうとすると、声をかけられた。


「……ヒルデさんですよね?」

「はい。今日も臨時をご利用に?」

「ナイトですからね」


 振り返ったシグの前には、前回臨時パーティのメンバーだったクレリックの少女が立っていた。ヒルデだったか? と記憶の引き出して、あっていたことに少し安心する。

 前回とは違って自分の背丈よりも大きな錫杖を持った深呼吸をするヒルデは、決心したように持っている錫杖を強く握ったのだろう。錫杖の先端の金属が揺れてこすれた音がなる。


「もしよろしければ、パーティを組んでもらえませんか!」

「はい?」

「もしかしてもうパーティを組んでるのでしょうか」


 ヒルデの提案に一瞬思考が停止したシグだが、すぐに現実へと戻ってくる。


「いいえ、今日も臨時パーティを申請するボッチのナイトですよ?」

「それならどうでしょうか」

「ナイトですよ? それでも大丈夫なんですか?」

「大丈夫です」

「……ならお試しってことで」

「はい! あちらで申請しましょう」


 花開くような笑顔を向けてきたヒルデは、シグの手を掴んでパーティ申請を行うことが出来る筐体へと駆け足しで向かっていく。

 ニコニコしながら受付の列に並んでいる彼女と、あっけにとられるシグ。

 確かに固定を組みたいとは思ってはいた。が、こんな都合よくいくものなのだろうか。

 ヘカテの手のひらでの上で転がされているのではないかと、疑心暗鬼になっている彼をみたヒルデは怖じ怖じと話しかけてくる。


「迷惑だったでしょうか?」

「迷惑ではないですが、なんで私なんでしょうか?」

「あ、そこから説明した方がいいですね」


 ヒルデはシグにパーティを組まないかと頼み込んだ理由を語り始めた。

 孤児である彼女は、シグが登録した数日後に16歳になって、規定によって孤児院から独り立ちをした。

 クラスがクレリックということや、浮浪者を増やさないように孤児院出身者は、国肩代わりにローン無しで登録料を支払われる政策を使って、冒険者になった彼女は、1週間をかけて草原を攻略するという順調な滑り出しだったが、湿地からが地獄だったらしい。

 一日で強引に攻略させられたシグは、次あったらヘカテに文句でも言ってやろうと思いながらも、ヒルデの続きを聞く。


 死者にしかダメージの通らない『ホーリーライト』は湿地のモンスターにはダメージがほぼ通らず、低いSTRとAGIとVITで頑張って倒しても一体のみで、気づいたら囲まれて死んでを繰り返していた。

 臨時パーティに参加するも、前回のようは突っ込んでいくアタッカーがデフォルトのようで、彼らに飛ばしたヒールによってヘイトを取ってしまうヒルデは、襲い掛かってくるトードやスライムと一生懸命戦ったりしたらしい。

 しかし自分勝手に動いて目の前の敵に集中しているアタッカーは、彼女を守ることをすることはまれである。彼女は毎回と言っていいほどデスペナルティを受けていた。

 臨時パーティに慣れているように見えたにもかかわらず、二階層の最低保証レベルである10だった理由はこれが原因とのことだ。


「あのように死なずにレベルが上がった探索は初めてだったんですよ」

「なるほど。確かにワッペンのついているクレリックとついていないクレリックだと、後者はそういう探索が多かった印象がある」

「そうなんですよ。人をポーションのような消耗品だと思ってる人が多いみたいです。借金があるから頑張ってはいたんですが、借金を返したら引退をするクレリックが多いって聞きます」


 ヒルデの経緯を聞き、何も知らない初心者にちょっとこのコマンドをしてみろと言って騙していたプレイヤーがいたネットゲームを思い出す。


「パーティの申請をお願いします」

「酒気を帯びてもいませんね。リーダーはどなたにいたしますか?」

「シグさんでお願いします。いいですよね?」

「……ああ」

「承りました」


 筐体の横に立っていた職員に、ヒルデは自分のカードを渡す。リーダー権を譲ってきたことに戸惑いながらもそれに続くよう、シグもカードを渡した。

 酒気を帯びているかどうかを確認した職員は、備え付けられているカードが差し込める穴が4つほど空いている機材に、受け取ったカードを差し込んでパネルに乗せる。

 その機材が光を浴びてカシュッ、と音が鳴りながらカードが顔を出す。それを引き抜いて問題がないかの確認した職員は、二人にカードを返却する。


「初回とのことで、ダンジョンから出た場合は自動でパーティの解散されますので気を付けてくださいね」

「ありがとうございます」



「リーダー権を譲渡してもよかったのか?」


 後ろで待っている人に迷惑ですよと、ヒルデはシグの腕を引っ張って食堂へと戻っていく。

 二人用の机に座って二人分の飲み物を頼んで、空いている机に座ったシグは彼女に問いかけると、飲んでいたコップを机に置いた。


「こちらからお願いするのですから当然ではないでしょうか? それともシグさんはその権威を使って理不尽な命令をするんですか?」

「そんなことはしませんが」


 どすっと背もたれに、もたれかかるシグにフフッと笑みを浮かべるヒルデは、話を続ける。


「それでどうしましょうか。このまま臨時パーティ申請してもいいですけど、パーティ加入申請書でも確認しますか? あ、無理に敬語はしなくても大丈夫ですよ」

「じゃあ失礼して。申請書はありかもしれないな。ヒルデは敬語なのな」

「そういうと思ってタブレットを持ってきました。敬語は癖です」

「ならしょうがない」


 パーティ加入申請書とは、臨時パーティ申請する際に選べる項目の一つだ。

 マッチング開始までの待機時間でのみ申請することで自己PRを乗せた情報を、ギルド内で持ち運びが可能なタブレットにその情報を載せることが出来るシステムである。

 臨時パーティに参加する予定のソロや、シグ達のような特定な人員を補充したいパーティがよく利用されているもので、タブレットにあるパーティ招待を押すことで申請している者のカードにお知らせが入る。招待をした人がどこにいるかもカードが教えるので迷うこともなく、タブレットにカードを乗せることでなりすまし防止も可能だ。

 その後に参加するかどうかは話し合いを行。パーティを組む場合は手間ではあるが、先ほどのようにパーティ申請をしなければいけない。

 ちなみにパーティを組んだ場合は、臨時パーティの申請は自動でキャンセルもしてくれる。

 また匿名で表示されるが、PRに隠語を入れることで出会い系のアプリとしても利用されているらしい。

 本来そういう行為は禁止をされているのだが、手数料を取れることからギルドはもちろんヘカテからも黙認されている。


「どのクラスがいいでしょうか。やっぱり女性が?」

「性別は気にしない。自分勝手じゃないアタッカーならだれでもいい」


 タブレットを机の上に置いて横に座るヒルデに、内心ドギマギしながら次々と冒険者の情報をスワイプしていく。


「ファイターだと前回みたいなのがいる可能性も高いし、かといってハンターだと弓矢代を請求している奴も多いな……。そうなるとモンクやシーフかが妥当だろうか」

「そうですね、私もファイターの人に対していい印象がありません」

「って、シーフの一人だけか」


 臨時パーティ多く経験しているヒルデの同意の元、自身の拳や脚を使って戦うモンクや、素早い攻撃で敵を倒すシーフに検索を絞る。どうやら湿地での希望者はレベル15のシーフだけのようだ。


「とりあえず招待してみませんか? 合わなければ臨時パーティ申請すればいいだけですし」

「そうだな、じゃあ招待してみるとしよう」


 右下の招待を選んですぐに、一人の女性がカードをもって二人の机の横で止まった。

 その人物を見たシグは、豆鉄砲を撃たれた鳩のように目を丸くする。


「シグのパーティってここだね? ボクの名前はルナ。よろしく」

(ボクっ娘ロリ巨乳の白髪オッドアイのボーイッシュたれ耳ラビットマンだと!? 属性盛りすぎだろ!)

「私はヒルデと申します。それでこちらはパーティリーダーのシグさんです」


 もの言いたそうな目をシグに向けたヒルデは、ルナの対応をする。

 我に返ったシグは、一回咳をするとルナに席に座るように促して、タブレットにカードを乗せてもらうと、そのカードが青く染まった。

 本人だと確認ができたので、説明を始める。


「先に言っておきますが、今までにない戦い方になるかと思いますが大丈夫でしょうか?」

「それってボクに粘膜まみれになれってことかな?」

「いや、そういうことしねぇよ」


 跳ね上がる彼女の耳と発言に素が出たシグは、調子が狂うなと額に手を当てた。

 そのまま肘をつきながら、とんとんと人差し指で自分の額を叩く。


「言語化すると難しいな……。えーっと、自分がモンスターの攻撃を受けるので一体ずつ間引いてもらうって感じですかね」

「それだとボクのクラスだと倒すのに時間がかからない? そうしたら長期戦になると思うんだけど」

「見た感じ短剣使いですし、ダブルアタックやシャドウエッジを使って倒し切ってもらえれば間に合うと思います」

「ダブルアタックはわかるけどシャドウエッジって硬直が長いし……」

「そこは信じてもらうしかありません」

「大丈夫ですよ。前回臨時で組んだのですが、クレリックである私が死にませんでしたので」


 うーんと下唇に指を置いてしばらく考えるそぶりを見せるルナ。

 短剣による斬り返しで瞬間的に2回攻撃を行うダブルアタックについては理解はできるが、それとは違い共有スキルのシャドウエッジは、背面からのみ使用することができる刺突スキルだ。

 多大なマジックポイントを消費してスキル終了後に長い硬直があるがと言ったデメリットが存在するが、瞬間的な火力はファイターに匹敵する。

 長い硬直でできた隙で攻撃を受けるので、階層守護主に対しての捨て身の攻撃として主に使われている。それを使えと言われても困ると言いたげなルナに、援護するようにヒルデは言う。

 それでも納得しない彼女対してヒルデは、前回の探索であったことを一から説明していく。


 本来ならば自分がしなければいけないと感じたシグだが、会話の途中に第三者が説明を行うと会話が進まないことを知っているのか、説明が終わるまで二人を見守る。

 一方ルナは、会話が終わるまでふんふんと嗅ぐように鼻を鳴らしながら二人を眺めている。


「……じゃあ。お試しで3時間ほどお願いするよ」

「では、パーティの申請をしにいきましょう」


 汗の香りで嘘ではないと感じ取ったのだろう。

 三人はパーティを組むべく、再度列に並ぶのであった。

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