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情報を集めているようです

 朝からソロで草原へと潜ってレベリングをして、夕方からは宿で前回もらったお詫びやダンジョンで手に入れた魔石を売って手に入れたガルドをを用いることで、色々なダンジョン攻略プレイヤーの過去の放送を参考にして、これから潜る階層のモンスターの情報を仕入れる。

 こうして二週間の月日が流れた。


「あー、そのままだとポップしてトードが横から来るぞ。フォーカスを合わせて敵を倒さなきゃ」


 現在見ているのは、第二階層の湿地の放送だ。

 臨時パーティを組んでいる4人は、各自好き勝手に暴れている。

 草原とは違いって最低三体単位で移動をしているモンスターは、前回のダンジョン更新である一定の時間で倒さないと足がはまるくらいの深い水たまりがある場合に限り、1回ほど追加でモンスターが湧き出るようになった。

 ちなみに臨時パーティとは、朝7時から8時までに筐体でエントリーした者達がヘカテの気分によってマッチングするシステムのことである。

 またマッチング回避リストというものもあり、探索が終わった後に極秘でそのリストにいれることが可能らしく、全員にリスト化された場合『マッチング希望者から回避されました』という文字と共に一人でダンジョンに飛ばされる事例もあるとのことだ。


(地雷が回避できるのはいいシステムだが、逆に言えば初めて使う場合そういうのを問答無用に引かされる可能性があるっていう糞システムでもあるんだよな)


 それにしても、と。シグは何かを思い出したように左上に視線を動かして目を瞑った。


(ナイトが夜に多く配信してるから期待してみたんだが……あれは需要があるのか?)


 ビキニアーマーを装着した女性のナイトが、トードやスライムに囲まれてまるでAVではないかと思えるようなシーンを思い出した。

 涙目になりながらも、どことは言わないが神秘の光によって遮られて揺らしながらも持ち前のVITの高さを生かして敵を倒す。

 舌による攻撃や、スライムの粘着力のある水鉄砲によって粘膜まみれになる彼女は、紳士諸君には人気のヘカテーチャンネルの動画配信主である。

 視聴者数が多いことで期待したシグは、何とも言えない気持ちになったのは今でも鮮明に覚えている。

 ちなみにサブスクリプションという、月額でその配信主にガルドを支払うシステムによって、その神秘に差し込む光を消すことも可能とのことだ。

 余談としてだが女性向けにも、顔の良い男性もそうやってお金を稼いでいるチャンネルもあるらしい。


(ネット動画とかないってことを考えると、ある意味需要があるっちゃあるか。他にもいろいろと考えてやっているみたいだからな)


 けなしているように聞こえるが、彼女が試行錯誤の末にたどり着いた一つの成功例であり、それを悪いとは思ってはいない。

 また他にも、高いVITを活かして人二人分しか幅のない門番や、ギルド内にある復活門の警備と言った戦闘よりも時間を稼ぐことに重みを置いた仕事。辺境の村でのプロボックを利用した害獣の駆除の手伝いや、家畜の移動といったもので生計を立てているナイトもいる。


(それにしても冒険者ギルドの職員って強いんだな)


 トードたちに蹂躙されて消えていった生放送を消して、視聴者数が多いチャンネルの中からギルド職員というタブに気付いてそれを選ぶ。

 そのタブの存在に気付いた当初、レベリングに行っているのかと思ったシグだが、開いてみると今まで見たことのない浜辺である階層を探索していたことにびっくりした。

 なぜギルド職員のレベルが高いのかが気になって調べたところ、ギルドの職員になるためには現ギルド職員とパーティを組んでの四階層の中ボスの撃破が最低条件とのことらしく、そこから厳しい筆記試験や対人試験をクリアした後にギルドマスターとの面接を行い、それを通過すると晴れてギルド職員になることが出来るらしい。

 定期的なダンジョン探索も仕事内容に入っているらしいが破格の給料で、ギルド職員になるためにダンジョンの攻略をしている人もいるくらいだ。

 それらもあってか、有料なら四階層の砂浜までのモンスターの情報をギルド職員から情報を仕入れることもできる。


 さんさんと輝く太陽の元、、鋭い先端を持つボダーツと言われている魚が一直線に飛んでいく。

 それを慣れたようにはたき落としてした大剣使いの男性ファイターだが、その隙を待っていましたとばかりに、飛んできた場所にたたずむ謎のダンスをしているダンシングヒトデが、地面に落ちてある何かをつまむとくるくると回りながらそれを投げ飛ばす。

 手裏剣と思えるような星型に光るそれを身体で受け止めてヒールで傷を癒しながら、距離を詰めると横にいるカニの魔物のニッパーのハサミと斬り合う。

 三合ほど打ち合うと後方から飛んできた合図に、大剣使いはすぐさまバックステップで回避行動をとった。


「ウインドカッター!」


 タマモが杖を振るうと、無数の風の刃が足止めをしていたカニに襲いかかる。

 カニみそのような茶色の血が空中に舞うと、動くことなくそこから消えてくと残ったダンシングヒトデを一閃。


(魔法はやっぱり強力だ……でも人員補充するには無理だろう)


 魔法と呼ばれているものを使うには、二つのパターンがある。

 一つは先天的なユニークスキルとして確保している場合。

 二つ目は階層主からドロップする金色の宝箱から手に入れることが出来る【魔法書】を読むこと。

 しかしそれは一度読むと灰になることや、国があり得ないほどの金額を提示して確保していることから流通することはなく、あっても望外の値段で取引されている。

 一年前にオークションにかけられた土魔法の書は、億を超えたらしい。


 ちなみにタマモは先天的なもので、火属性魔法も持っていて国にスカウトされたことがあるのだが、冒険者の受付が性に合っているということで、それを蹴ったらしい。

 無理やり連行しないのは、冒険者ギルドは女神ヘカテによって保護されており、過去無理に連行しようとした国がその鉄槌を食らって国ごと消えていったからだ。


(二階層はリンクされる前に仕留める。もしくは俺がヘイトを引き付けている間にアタッカーが間引いていくしかないのか?)


 一度二階層の湿地に潜ったシグだが、圧倒的に火力が足りなかったから攻略はすぐに諦めた。

 従来持っているであろうソードスキルを駆使したらクリアはできるようなシステムだったんだろうなと、女神にバランス調整をしっかりしろよと突っ込みながらも、二階層の放送を再度開く。

 モンスターの攻撃の前兆や、内容の確認。臨時パーティを行った際に起こりうる問題の対処法等、事細かく書いていく。

 特に注目しているのは、被弾の多い彼にとって切っても切れない関係であるヒーラーのクレリックだ。

 出来れば自分の指示通りの場所で、最初は動いて欲しいなと思うシグだが、実績も何もない彼のいうことを聞くヒーラーはいないだろう。

 だからこそ、背中で魅せるしかないと考えている。


 基本的に、ヒーラーには攻撃スキルは存在しない。

 あるとしても、『ホーリーライト』だけだ。

 これは聖属性魔法に分類されており、アンデッドに対しては有効ではあるが、生きているものには効果が半減する。


 ちなみに、今の最前線五階層でありその内訳はクレリック4という、とがった編成である。

 モンスターによって鈍器と杖を装備を変えて、道中のモンスターは鈍器とヒールでごり押し。階層主である『レッドビアード』は取り巻き含めてアンデッドなので、扉の前で杖に持ち替えてからのホーリーライトでのごり押しの戦法を幾度となくチャレンジしたことで、三日前に攻略することが出来て新聞の表紙に乗った。

 しかし、鉱山がモチーフとなっている五階層は、動きは遅いが攻撃力と防御力が高いゴーレムや、上空から襲い掛かくるサッカーバットによって何度も死んではレベリングを繰り返しで、攻略の足止めを食らっている。


「明日はまずは臨時を組んでからのレベリングだな。13レベルから草原ではレベルアップをしなくなったことから、多分経験値獲得上限は4までが限界ということだろうし」


 13レベルで止まったステータスカードを眺めながら、明日の準備をするためにインベントリの中にポーションや替えの盾を詰め込んでいく。

 ありえない話だが、盾が壊されたりしらお荷物になるからだ。

 余談ではあるが、中ボスは2週間に一度再ポップをする。

 そして、それを倒してもレベルが上がらなかったことと、1ヶ月毎に再ポップするボスまでは待ちたくないと思ったシグは、それが上限だと決めつけただけだ。これが本当のことなのかは神のみぞ知る事実だ。


「大丈夫だろうが、最後の確認でもしとくか」


 メモに書かれているアイテムと、入っているアイテムを指さし確認ヨシッ! と再度確認したシグは、再度湿地の生放送を見るのであった。

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