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紹介システムを受けるようです

ブックマークや評価のほうありがとうございます。

プロットは大体組みあがっていますが、今後その肉付けなどで時間がかかるかもしれません。


一日一回の更新を心がけていますが、家の都合上確約できませんが、今後ともよろしくお願い致します。

 ガラスペンの考案した2日後、シグ達は紹介システムの評価を受けるべく、ギルドマスターの部屋にいた。

 狼人のギルドマスターのマガタを挟むようにたたずむ二人の狐人は、タマモとその母親のアシだ。


「なに人の女を見てんだ?」

「似ているなと思いまして」


 タマモがおっとりとして歳をとると、こんな風になるか? と呑気にアシを見ていたシグを、夫のマガタが威嚇をするかのように、歯茎を出してきた。

 邪な感情を抱いていなかったのか、マガタの発言に世間話をするように返す。

 それをつまらなそうにしながらも、ガタッと座っていた椅子を揺らしながら腕を組む。


「そこはアシをほめるところだろ」

「残念でしたギルマス。獣耳枠はボクで間に合ってるんです」

「ハッ! 二人囲んでるなら枠もくそもあるかっての」

「アナタ? 世間話をするために集まったんじゃないんですよ?」

「わかってるよ。俺なりの和ましってやつだよ」


 アシの言葉にひるみながらも、わざとらしく咳をする。


「ウチのタマモから説明を受けただろうが、再度説明をさせてもらう。紹介システムはギルドマスターの俺と副ギルドマスターのアシと、もう一人のギルドの職員。今回はタマモが、個人またはパーティを評価をしてそれに基づいてパーティの斡旋をするシステムだ。今回は両方の評価ってことでいいな?」

「はい、3日ほどかかるんですよね」

「だな。今日はタマモが担当をする。明日はアシと明後日は俺だな。時間は昼の1時からと聞いた。階層は浜辺だが、何かあるのか?」


 その言葉にシグは少し悩む。

 それに気づいたマガタはシグに何が不満があるのかを聞いてきた。


「浜辺は行ったことないってので」

「だからこそ評価しやすいんだよ。慣れてない場所での戦闘の方が、人となりが出やすい」

「なるほど」


 慣れていない場所での戦闘は、切羽詰まった場面が出てくることがある。

 マガタの言葉から、人物とパーティの評価とは、その能力だけではなく性格面も指しているのだろうと察したシグは、問題ないですと答えた。


「よし、納得したようだな。じゃあ行ってこい」



「それで、あれからなんもなく今回に至るわけだな?」

「何がなんもなく、だ」

「あ? ウチのカミさんと娘がかわいくないってか?」

「面倒くせぇなぁお前は!」


 あれから2日後の昼の浜辺の階層で、マガタにだる絡みをされながらシグはポーションホルダーを取り出した。

 緑が2本と青が1本刺さっているそれをマガタへと渡すと、彼は少し戸惑っている。

 事前にリーダーはシグということで、丁寧な言葉はいらないと言われたことから、いつもの口調だ。


「マガタのだよ」

「ポーションってのは各自持参するもんだと思ってたんだが?」

「自腹を切るってので遠慮して使わなくて全滅ってアホだろ。だからって栄養ドリンクみたいに飲むなよ?」

「わかってるよ」


 チームやクランではないパーティでは、ポーションは自腹というのが一般的なものだ。

 慣れた手つきでシグから受け取っているヒルデとルナを見るマガタは、それを腰へと装着をする。


「さて、仕事とするか。事前に聞いたが分け前は2割ってわけだよな。残り2割はどうなるんだ?」

「パーティ資産だ。必要な武具のメンテナンスや今回のポーションと言った感じの費用に充てている」

「俺がいなかった場合はどうしてんだ?」

「同じだ。人が増えたから分け前が減るってのはいい気分にはならないだろ? 4割ほどパーティ資産としての明細は各自が管理できるように、明細書として1週間に1回ほど確認し合ってる」

「武具の更新の際は?」

「今のところは考えてはいない……今の武具で砂浜は行けるだろうと読んでるからな」

「そうか。もし新加入者の武具が必要だった場合はどうする」

「今の武具は俺が出したってのがあるから、今回限り俺の自腹って感じだな。心配ならハーゲン武具店に行って聞いてみるといい」


 ギルドの信用に関わることから、細かいことも聞いてくるマガタにシグは淡々と答えていく。

 評価の段階だけ普段と違ったことをするパーティがあることから、メンバーの一挙一動を見逃さないようにしている。

 それに気づいたシグは、自分たちが利用している武具店を教えると、そこで後で確認を取ろうとマガタは考えたのだろう。武具のことについては聞くことをやめて、本題へと移ることにした。


「それで……だ。肉体関係はどういった感じになるんだ?」

「は?」


 マガタの言葉に、シグの思考が真っ白になった。

 ヒルデとルナはというと、その言葉を聞いて耳に意識を集中する。


「は? じゃねぇだろ。リーダーが男で他のメンバーが女ってことは、そういう関係なんだろ?」

「んなわけあるか!」

「ッカァ! んじゃなんだ? 金を渡してるってのに、肉体関係がないってのか?」

「そういうものの目的で渡してるってやついんのか?」

「ごまんと」


 シグは呆れたと言わんばかりに肩を落とす。

 彼が2人の武具を無償で渡したのは、ダンジョンの攻略を滞りなく行うことであって下心は一切ない。

 そもそも、そういうもののために肉体関係を築くやつがいるのかというのも呆れた話ではある。というのがシグからの視点ではあるが、この世界での武具は前の世界でいうと、ブランド物の服や高級車のようなものだ。

 気になる女性にプレゼントとして武具を渡すというものは、一般的なものである。

 マガタのそれを聞いて、ピンときたのか。ため息をつきながらシグは説明を始める。


「武具の更新は、ダンジョンの攻略において必須事項だろ。パーティを組んでいるならそれをするのは当たり前じゃないか?」

「もらった後にパーティを抜けるやつがいるかもしれないじゃないか?」

「そうなったら俺の見る目がなかったってだけ──あ~……そういうことか」


 前の世界で装備や収入をもらって抜けて行った、乞食と呼ばれているプレイヤーが多くいたことから、そうなったら仕方がないと思っていたシグだったが、彼の言葉でその過ちを再度気づくことが出来た。


「そうだな。俺が金蔓に見えてくるわけか。助かる」

「そういうことだ。まぁギルドの紹介でそういうことをするバカはいないから安心しろ」


 マガタはその言葉を聞いて、シグはいい所の出ではないかと当たりを付ける。

 冒険者登録をして、1年もたたずに森林をクリアしたナイトである彼は、何処から現れたのか。

 それを調べることも、今日の仕事だと考えていたマガタだが、下手に触って火傷するならば、触らない方がいいと考えた。

 触らぬ神に祟りなしだ。


「じゃあ、肉体関係の強制ってのはないってことでいいな?」

「当たり前だ」

「ったく、きれいどころが2名いるんだから手を出してもいいってんだろ」

「はいはい! 兎がいいと思います!」

「やかましいわ!」


 マガタに便乗するように身を乗り出してきたルナにデコピンを放つ。

 それを食らってなるものかと言わんばかりに、距離を空けて避けるルナをヒルデはいつものように眺めている。

 こういう関係ならば、いっそ手を出せばいいだろうとマガタは思うが、他人の都合に口を出すことは野暮だと思ったのだろう。

 シグに向かって、今日の作戦について再度確認を行う。


「それで……タンクってやつが攻撃を受けている最中に、俺とルナが一匹ずつ間引けばいいんだな?」

「一応はその通りだが、こういう戦い方は初めてってことで何度かそっちに行くかもしれないから注意してくれ」

「そんなもん慣れてるから大丈夫だよ。家族からは好評のその腕前見せてもらおうか」

「さてと、では探索をするか」


 そういうとマガタは大剣を背負いなおす。

 シグを先頭に、ルナヒルデマガタと順番に砂浜の探索を開始をするが、これと言って問題が起こることもなくその日を終えることとなった。

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