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一つバレたようです

中ボスや階層守護主に対してのレベル差によって攻撃が通らない仕様に変更しました。

中ボスは上限のマイナス4で、階層守護主は上限でないといけない仕様です。

 森林の探索を始めてしばらく経った。

 ここの階層の扉を守っているゴブリンリーダーを、先日無事討伐をすることが出来た。


 扉の横にある小屋から続々と出てくるゴブリン達を指揮するゴブリンリーダーは、これまでの道中にいるゴブリンとは違い連携を取ってくる。

 そのことから苦戦する冒険者が多く、この森林から頭打ちになるものが多いが、それ以上の連携を取っているシグ達にとっては、苦戦する相手ではなかった。


 そして今は、階層守護主を倒すためのレベリングをするべく森林に潜っている最中で、それと併用して、道中にある光を帯びている草の葉の採取もする。


 魔力を帯びている草であるこのハーブは、ポーションの効力が上がるということで、ギルドやポーション屋で常に買取が行われている。

 またそれを入れる容器であるガラスは、ハーブから魔力が抜けづらいようにするために魔石を粉にして混ぜているために、白色が濁っている。


「それにしても、光ってないのはただの草ってダンジョンはどうなってんだ?」

「それをいいますと、モンスターってのは何なのかという話から始まるかと」

「それだったらダンジョンって何ってことから始まるよ?」


 面倒くさそうに採取をしているシグの愚痴を拾った二人も同様に、ハーブの採取する。

 それらが終わりそうな時、ルナの耳がぴくりと動く。


「後方からグラスウルフの足音が、3つほど近づいてきてるよ」

「了解」


 ルナの報告にシグはランパートとリジェネートを発動して、襲撃してくる敵に備える。

 ヒルデもルナにベネディクタをかけると、彼の後方へと下がっていく。


 数秒後に草むらから、緑と灰色のまだら模様の狼が3匹ほど飛び出てきたが、1匹の背の上にはゴブリンが乗っている。

 ゴブリンライダーと呼ばれているそれは、盾と槍を構えている。


「プロボック! ルナ、ライダー優先!」

「りょーかい」


 シグの指示によってゴブリンライダーの乗るグラスウルフの前足の健を、白色の光を帯びているスティレットで切り裂く。

 健が切断されたグラスウルフは前のめりに倒れると、態勢の崩れたゴブリンの喉にスティレットの尖端を向ける。


「フラッシュスティンガー!」


 この階層で覚えた刺突スキルのフラッシュスティンガーが、ゴブリンの喉笛をとらえる。

 そのまま倒れている、グラスウルフの胴体を蹴って後方へと飛びのくと、シグはその頭を潰す。


「後続からゴブリンが追加です」

「グラスウルフは斥候だな。ソルジャー1のアーチャー1」

「いつも通りアーチャーからでいい?」

「ああ、頼む」


 ヒルデの警告にグラスウルフの位置を調整しながら、ゴブリンの方へと視線を移すと、そこには弓のゴブリンアーチャーと直剣のゴブリンソルジャーが声をあげながら合流してきた。

 指示がない場合は、遠距離を先に潰すと事前に決めている。

 敵の視野外だとAGIが上がる影走りを発動させるためにルナは茂みへと身を隠していく。


「プロボック! ハウリング!」


 そしてそれを確実に仕留めるために、シャドウエッジを使うだろうと予想したシグは、プロボックの他にもハウリングでヘイトを一気に稼ぐ。

 彼のスキルに同期するように、ゴブリンアーチャーの胸から紫色の血しぶきが飛び散る。


「ヒール! ベネディクタ!」


 ヒールをシグに、ベネディクタをルナに飛ばすヒルデだが、事前にシグがヘイトを稼いでいるためか、モンスターは彼女のことを見向きもせずにシグへと攻撃が向かう。

 二匹のグラスウルフの噛みつきを体を傾けることで避けてから、ゴブリンソルジャーの直剣を盾で受け止めた。


「ナイス足止め!」


 直剣を盾で受け流したり弾かなかったのは、ルナが戻ってきてそのゴブリンを攻撃するからだ。

 彼女の攻撃で光になって消えていくゴブリンを確認して、先ほど噛みついてきたグラスウルフの一匹をプロボックで捕まえる。


「左のグラスを確保。右のグラスをサシで頼む」

「はーい」


 従来のMMOならば、両方のヘイトを取るのだが、グラスウルフは攻撃をするのに頻繁に動き回ることから、こういう機動力のあるモンスターが残った場合には、一対一で仕留めていくように決めてもいた。

 自分がヘイトを取ったグラスウルフの報告をしたシグに答えるように、ルナはもう1体のグラスウルフに向かっていく。


 そこからは一方的だった。

 ルナが倒すまでは、シグは無理をせずに自分の引き受けているグラスウルフをいなす。

 ヒルデは双方に攻撃が受けるとヒールを飛ばしながら、後続が来ないかの警戒を行う。


 最後の1体を仕留め終わって、敵襲がないということを確認した三人は、魔石を回収するために武器を仕舞う。


「これは……宝箱ですか?」

「そうみたいだね。ボク初めて見たよ」

「カッパーの宝箱か。ラッキーだな」


 視線を向けた先にあったのは、銅色の装飾で飾られている宝箱だった。

 ドロップする宝箱には、ウッド・カッパー・シルバー・ゴールドと4種類がある。

 ウッドには消費アイテムのポーションや鉱石、カッパー以上は特殊な武具が一つ入っている。


「で、誰が開けるの?」

「この場合だと、ルナかヒルデだろ」

「リーダーが決めるものだと思いますよ」


 また、開けた人物のクラスに合ったアイテムが出るということからか、宝箱を開ける人物は吟味をする必要がある。

 ちなみに臨時パーティの場合は、メンバーの名前が書かれているダイスが転がり、表に出た対象の人物のみが開けることが出来る仕組みとなっている。


「じゃあルナで」

「やったー!」


 アタッカー1ということで、戦力増強をするならルナだと判断したシグは、彼女に開けるように頼む。

 ルナはワクワクしながら宝箱を開けると、柄に5つの翡翠がはめ込まれている短剣が入っていた。


「ふーん……疾風のバゼラードねぇ」

「ちなみに効果は?」

「装備者のAGIを……あ」


 無意識に鑑定をして名前と効果を口に出したシグは、その発言を止める。

 しかし一度口に出した言葉は決して元に戻すことはできない。


「ユニークスキルなんて珍しいですね」

「まぁな」

「他にも何か隠してるんじゃないの? 吐いちゃいなよ」

「ねぇよ。装備者のAGIを、10秒間上げることが出来るスキルのアクセルを使用できるみたいだぞ。ルナの装備にぴったりだな」

「使ってもいいの?」


 言及してくるルナに対して、デコピンをするのを我慢しながらも武器の説明をする。

 達人同士が互いの間合いを探ってるように距離を取るルナだが、それが来ないことを安堵したのだろう。

 許可を得た彼女はバゼラードを鞘から抜くと、アクセルと唱えるとその場を動き回った。

 いつも以上に俊敏な動きをするルナは、再度アクセルと唱える。

 しかし先ほどのような素早い動きをすることが出来なかった。


「ちなみに、使用した後には5分間の待機時間があるみたいだぞ。翡翠の濁りが1分ずつ取れていってわかりやすくなってるみたいだ」


 翡翠の光が濁っている柄を見ると、ちょうど1分経ったのだろう。上の翡翠の輝きが戻っている。

 ルナはふーんと言いながら、その柄を眺めながら腰に差していたスティレットを抜くと、自分のマジックバッグに入れる。


「武器の慣らしに付き合ってくれる?」

「俺はいいけど……」

「私も大丈夫ですよ」

「じゃあ、レッツゴー!」


 二人の返事を聞いたルナは、その日はずっと新しい玩具を買ってもらった子供のような気分で、探索をしたのだった。

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