97.復活
色んな勢力が動き出すぜぇ!
「ふーん? つまり神核は隻眼を取り込んだ可能性があると」
【九割八分そうであろう】
脳髄の玉座に腰掛け、流れていた鼻血を拭いながら脳髄の悪魔と情報共有を行う。
【君たち勇者の情報からの推測だが、ダンジョン攻略を行っていた正にその時、神核と隻眼は争っていたのだろう】
「翁の見立てではそうなんだ? 僕は現地に居なかったし、ダンジョンについても無知だから何とも言えないけど」
先ほど玉座に座り、正式にマスターとなる契約を行った際に大量の情報は流れ込んで来たけど、ちょっと情報量が膨大な上にところどころ不完全なんだよね。
ただまぁ、ダンジョンの規模やレベルは封印される千年前のままだから、一から始めるよりかは恵まれている方らしいけど。
【翁というのは我の呼び名か?】
「そうだよ? 気に入らない?」
【好きに呼ぶがいい】
本人からの許しも得たし、これから脳髄の悪魔は翁と呼ぼう。
馬鹿正直に脳髄って呼ぶ訳にもいかないし、他人の名前を考えるなんて面倒臭いから。
====================
名前:石神 透
性別:男性
年齢:15歳
種族:勇■※◎ダ☆?▽ン☆ᯤ♬⋆.˚《亜神》
属性:消失
状態:不明
カルマ: 《中庸》
ダンジョン機能
《不完全創造》《不完全知識》《把握》《拡張》《配置》《回収》《吸収》《合成》《改造》《同化》《監視》《独立》《分体》《召喚》《簒奪》
――※その他ロックされている機能があります。
基本技能
《日本語》《英語》《ドイツ語》《フランス語》《イタリア語》《中国語》《韓国語》《ヒンディー語》
《アウソニア言語》《ガリア言語》《ゲルマニア言語》
《数学》《暗算》《高度計算》《義務教育》《不完全科学知識》《不完全化学知識》《不完全倫理》《不完全魔術知識》
《睡眠耐性》《不眠耐性》《疾病耐性》《魅了耐性》《幻惑耐性》《毒物耐性》
《息止め》《料理》《窃盗》《恫喝》《恐喝》《脅迫》《詐術》《話術》《演技》《交渉》《演説》《扇動》《虚言》《隠蔽》《隠密》《消音》《消臭》
《気配感知》《敵意感知》《悪意感知》《好意感知》《視線感知》《危機感知》《魔力感知》
《短剣術》《拳術》《蹴術》《体術》《柔術》《剛術》《棒術》《投擲》
《俊足》《柔軟》《身軽》《遠見》《聞き耳》《免疫》《直感》
特殊技能
《異界古武術》
《ガリア剣術・正道》
《聖堂剣術》
特有技能
《消失》
《簒奪知識》《狂騒無骨》
権能
《勇者Lv.14》《ダンジョンマスターLv.37》
《悪魔の記録》《悪魔の反応》
ルーン文字
《ᚲ》《ᚢ》
称号
《異世界人》《転移者》《消失の勇者》《迷宮の主》《人殺し》《契約者》《魂喰い》《共喰い》
加護
《地球神の加護》《戦女神の加護》《■■との契約》
====================
「へぇ、これが……」
なんか種族バグってるけど、これは敵対する両陣営から力を貰ってるからかな……他に気になる事と言えば、権能とルーン文字が二種類あることか。
「もしかして【狂骨】ってさ」
【千年前に降した】
「ま、そうだよね」
最初から優勝候補の一つを取り込んでるのはラッキーだったね。
脳髄のと合わせて、どんな事が出来るのか確かめていかなきゃいけないけどさ。
「ねぇ、翁は何が出来るの?」
【全てを識っている。覚えている】
「どういうこと?」
【我だけは、生前の記憶を全て保持している。それぞれの部位がどんな権能を持っているかも把握している】
あれ、ダンジョンって生前の記憶が曖昧、あるいは幾らか抜け落ちてるんだっけ……でも脳髄だけは特別と。
人格は違うらしいけど、全て過去の出来事を把握しているんだったら敵に対して有利になるかもね。
過去に女神達とどんな戦いをしたのか、相手はどんな手を使って来たのか、同族はどんな能力を持っているのか、そういった情報があるのと無いのとでは大分違う。
「じゃあ、参考までに聞きたいんだけど、隻眼ってどんな権能を持ってるの?」
【あらゆる魔眼の模倣、情報の盗み見、果てなき視界】
「へぇ、便利じゃん」
【だが扱いづらい】
「なんで?」
【人は悪魔の視線に耐えられない】
この世界に住む人々は、魂レベルでダンジョンの元となった生前の悪魔を恐怖している。生まれながらにトラウマを刻み込まれていると言っていい。
そのため、そんな恐怖の悪魔から視線を向けられると恐慌してしまい、そのまま発狂死してしまうという。
なんともはや……情報を盗み見ようとして相手が死ぬんじゃ、意味無いよね。
「この世界の人々って事はさ、異世界人である僕らは大丈夫なわけ?」
【異界の勇者であろうと全くの影響なしとはいかない。異界の神々や悪魔に突然視線を向けられて正気で居られる人間は限りなくゼロに近い】
「あー、まぁ、そりゃそうか」
よく分からない世界の上位存在に睨まれたら、普通の人は怯えちゃうよね。
この世界の人々ほどではないとは言っても、僕にも悪魔の視線は有効足り得ると。
【我らの視線に全く怯えない者など、それこそ███ただ一人しか――あぁそうか、彼女の存在は喪われ、もう名を唱える事も出来なくなったのか】
「? ちょっと、どうしたの?」
なんかいきなり翁が嘆き始めたというか、その眼孔から青く燃える涙を流し始めたので流石にビックリしてしまう。
彼にはあんまり情緒とか、そういった物が存在ないと思っていた。
【問題ない。感情の奔流は先ほど処理された】
「急に泣き出したかと思えば、また急に落ち着くなんて……なんなんだ君は」
いきなり真顔に戻るのも、それはそれでビックリするよ。
【我は悪魔の司令塔だ。他者ならばともかく、自らの情報を把握し、適切に処理する事など容易だ】
「自分がなんで泣いてるのか瞬時に把握して、即座に冷静に戻るよう原因を処理したって?」
【そういう事だ】
「……悪魔って変わってるね」
人間の物差しで神や悪魔を測ろうとするのが間違ってるんだろうけど、当初の想像よりもずっと気味が悪い。
まぁもっとも、そんなところが面白いんだけどもね。
「ついでに聞くけど神核はどんな力なの?」
【あれほど完璧な炉はない。DPよりも純粋なエネルギーを生み出し、精製し、循環させる最高の動力源だ。我とあれが無ければどんな権能だろうと十全に扱えない】
「フルスペックを引き出そうとしてもエネルギー不足に陥るわけだ」
【そうなる】
神核の生み出すエネルギーと効率、そして脳髄の処理能力があって、初めて悪魔の権能は全ての力を発揮すると。
「やっぱ神核は早めに獲るべきかな〜……ってか、向こうも脳髄を狙ってるでしょ」
【さてな】
「どうやって歴史ある隻眼を吸収したのか分からないけど、来るべき決戦に備えてこっちも準備を進めなきゃね」
ダンジョンとしての領域は幾つか奪われてるままだし、罠や従魔もボロボロ、聖王国に見付からないようにゆっくりとダンジョンの整備を――って、無理か。
「侵入者だね」
【当然そうなる】
「ま、そうだよね、封印していた脳髄が居なくなってんだから、先ずかつてのダンジョンを調査しに来るよね」
でもこれはチャンスでもある。復活したかも知れない脳髄のダンジョンの調査に送り込まれる人材が、そんじょそこらの普通の兵士な訳がない。もしかしたらクラスメイトも居るかも。
彼らを全員殺す事が出来ればかなりのDPが手に入る。それを元手にダンジョンの整備を急速に進め、聖王国と真正面から対峙する。
「そんでこのダンジョンは捨てちゃおう」
【新しく創り直すのか】
「一度は攻略されちゃったダンジョンでしょ? それも以前よりもスケールダウンしちゃった劣化品、そんな物に拘る必要性を感じないね。聖王国の注目を集める囮にして、また新たに本拠地を創り直そう」
【好きにするといい】
「じゃあ、しちゃおっか――ダンジョン新生」
その為にも先ずは、この侵入者たちを皆殺しにしないといけないね。
あぁ、ワクワクして来たなぁ……退屈が覆りそうなこの瞬間は、何度味わっても飽きない。
もっともっと世の中を面白おかしく、未来の予測が出来ないほど混沌に――勇者と悪魔なら出来るよね。
ユーリちゃんが活躍する裏で色々動きます。




