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悪逆のダンジョンマスター 〜極悪少女の異世界蹂躙〜  作者: たけのこ
ダンジョン防衛編

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83.ルーンの使い道

ルーンをめっちゃ悪用していくぜ!


「【ジャア!】」


「シッ――!」


 このレベルの手合いに距離なんて有って無いようなもの――瞬きする間もなく肉薄した彼らの振り下ろしと横薙ぎの一閃を(ラド)により回避する。

 拳一つで砕かれる地面と、広範囲に渡って蒸発する壁……こうも簡単にダンジョンを破壊されると困るんですけどね。

 けれど、私が一瞬で転移した事によって【鎧筋】は腕を斬り飛ばされ、聖騎士は落下により体勢を崩した。

 最初の宣言通り速攻で私を潰す為に動いた【鎧筋】と、同じダンジョンという事で私と【鎧筋】を同時に攻撃しようとした聖騎士の薙ぎ払いが刹那に交差した結果。

 大地を砕いた後に回避しようとして片腕を持っていかれた【鎧筋】の様子を見るに、ダンジョンの悪魔も場合によっては欠損させられる事を知る。


「【やるではないか! 今ので10万DPが持ってかれたぞ!】」


「DP?」


「『馬鹿、余計な事は喋るな』【すまん】」


 なるほど、DPが底を尽きた時がダンジョンの終わり――封印される時でもある様ですね。


「【輸血5万DP――(ラド)】」


「【おおっと! 悪くはない一撃だ! が、温いなァ!】」


 隻眼にはよく効いたこの一撃も、権能を発動した【鎧筋】には効果が薄いと。


「【輸血――15万DP】」


「【あっ、マズイ】『バカ!』」


 しかしながらここは私のダンジョン内、DPなど幾らでも補給できる。

 さらにエネルギー供給を増やした一撃により、【鎧筋】をさらに奥底まで叩き落とす。


「情熱剣――ヘヴンフレイム」


(ラド)


 聖騎士のすぐ背後に転移する事で攻撃を躱すと同時に、彼女の背へと10万DPを乗せた拳を振り下ろす。


「聖骸布――フレイムヴェール」


「【熱ッ――】」


 彼女が纏った炎の鎧により、拳が届く前に炭化して朽ちていく。

 即座にその場を離れ、失った右手をDPで修復する。


「……ダンジョンの悪魔は不死身に近い様だな」


「【知らないのですか? 女神でも滅ぼす事は出来なかったようですよ】」


「そうだったな」


 チラリと下を見てみれば、底で【鎧筋】が集中して拳を放つ準備をしているのが見える。


「【次の一撃はもっと凄いぞッ!!】」


 その宣言通り、拳を振り上げる事で【鎧筋】は自らの頭上を全て消し飛ばす破壊の奔流を生み出した。

 即座に(ラド)で私と、ついでに聖騎士を一緒に【鎧筋】と同じ高度に転移させて攻撃を回避する。

 彼が私の様にDPを消費して威力を底上げしている様子はなく、けれどDPの消費もなしに私の権能と張り合うか、それ以上の膂力を素で出せる仕組みが分からない。


「なぜ私まで助けた」


「【あの脳筋、まだ全然元気じゃないですか。勝手に一抜けされると困るんですよ】」


「礼は言わんし、情けも掛けんぞ」


「【お好きにどうぞ】」


 そんな会話の最中にも振るわれる熱閃と巨大な拳――それらを紙一重で躱しつつ、ダンジョン産の『光石(特大)』と『音石(特大)』を暴発させる。


「くっ……!」


「【うおっ!?】『見えない』」


 フラッシュバンのように爆音と極光が相手の目と耳を一時的に機能不全に陥らせたところで、右拳に30万DPを込める。


「【はぁっ!!】」


 裂帛の気合いと共に【鎧筋】の鳩尾へと抉り込む。


「【『ガハァッ!!』】」


 二重に聞こえてくる苦悶の声に構わず、さらにもう一発打ち込む。


「【ク、ぶわはははは! 良いぞ! そうこなくってはなァ!】」


 更に全身が肥大化したように見える【鎧筋】と、復帰した聖騎士による背後からの攻撃を(ラド)で回避する。


「またか!」


「『とても効率良くルーンを使っている様だね』」


 コチラとしては使わされているという表現が正しいのですけどね。貴方たち回避できない攻撃が多すぎるんですよ。


「(アーク、一時的に身体の主導権を渡します)」


【(あん?)】


「(その上で、基本的には今まで通り私が動きますが、好きなタイミングで自由に動かしてください)」


【(なんの意味がある?)】


「(意味があるかどうかはこれからです。実験ですから)」


 アークに身体の主導権を譲り渡すと同時に自らの舌に刻まれた(アンスール)に意識を向ける。


「【右から攻撃しますよ、次は回し蹴り】」


【(あぁ、そういう事か)】


 私の言葉を信じた彼らが素直に防御や回避の体勢を取った事で、アークも理解した様です。


「【次は右ストレート】」


 などと言いつつ左拳で聖騎士の横腹を抉る。


「かはっ!?」


 本当に私は右ストレートで攻撃するつもりだったんですよ、嘘は吐いていません。

 けれど私の身体が勝手に動いたのですから仕方ないですよね。


「【右、下、頭上から背後、回り込んで顔面、反転してから鎧筋の顎、鳩尾――】」


 自らの行動を逐一宣言し、そしてそのうちの幾つかをアークが勝手にキャンセルする。

 聖騎士と【鎧筋】は(アンスール)によって私の言葉を疑えず、どうしても宣言した行動に対応する姿勢を見せてしまう。

 そしてアークがどんな行動を取るのかなんて私には分かりませんから、私の表情や視線、呼吸からいつ宣言を覆す攻撃がされるのか悟れない。


「【なん、なんだ?】『何かされているのは分かる。けれど何をされているのかは分からない』」


「妙な能力を……!!」


 相手視点だと雑なフェイントに何故か引っ掛かってしまう自分に困惑、といったところでしょうか。

 やはりルーン魔術は素晴らしい力ですね。もっともっと、さらに悪用が出来そうです。

 そうですね、例えば――(ラド)に攻撃を運んで貰うとか。


「【顎、胸、目潰し、腰、肘関節、人中、後頭部、喉仏――】」


 (アンスール)による宣言の中に(ラド)を織り交ぜる。

 私の拳や蹴り、それらが防御姿勢を取った敵のガードや鎧を無視して私が望んだ場所に突き刺さる。


「ガッ――??」


「【ぶわはははは! 最高だなぁコイツ!】『ボクは全然面白くないけどね、なにこの理不尽』」


 (アンスール)で相手の行動をある程度縛り、(ラド)で攻撃の回避と必中を実現する。

 何となく、今の私の戦闘スタイルが確立された様な気がします。


「【だがしかし、お遊びはここまでよ――】」


 【鎧筋】の宣言に警戒を最大限まで引き上げる。


「【我が筋肉は傷付けば傷付くほどに頑強に、無敵に近付く――】」


 なるほど、攻撃を受ける度に肥大化し、そして私と違ってDPを消費せずに高威力の攻撃や堅固な防御力を得ていたのはそういった理屈ですか。


「【そしてぇ! ウロチョロする羽虫は丸ごと殲滅するのが一番よ!】」


 何か来る――何時でも(ラド)で逃げられる準備をしておきましょう。


「【(ソーン)(ティール)】」


 二つのルーン!? 【鎧筋】も既に他のダンジョンを吸収して――(ラド)が不発に終わる感覚。

 どれです? 何が原因なのでしょう? いや、それよりも今はありったけのDP輸血で防御を固めなければ――


「【『死ね――悪魔の拳骨(ディアブル・フィスト)』】」

敵をその場に拘束してからの超範囲超火力の攻撃!

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― 新着の感想 ―
えっと、ソーンが棘、巨人、ティールは勝利、勇気、だっけ? 他にも意味があった気がするけど………。 そうなると、脳筋さんが元々持っていたのはソーンかな?
二対一ではなく三つ巴ですし少しでもその火力は役立ててもらいませんとね
ユーリ「私は外角高めのストレートを打つぜ」 鎧筋「急に絵柄が劇画調に!?」 嘘は付いてないのずるいでござる。
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