5話 学園生活、スタートです。
それから二年が経ち、サーシャは十歳になっていた。この国では、十歳から学園に通い、十八歳で成人する。
いまだに第二王子の病は治っていない。第二王子の病気への薬は、作る過程が多く、短くて十年ほどかかってしまうらしい。ルタのようにエルフであればすぐの時間だが、人間にとっての十年はとても長いものだ。
そのため、ルタもできるだけ急いで作っているらしく、サーシャが成人するまでには完成するそうだ。
サーシャはルタに相応しい女になるのだから、勉強はもちろん、全て完璧でならなければならない。そこまではする必要がないと思うが、サーシャは徹底的にやると決めたらやるのだ。
他の生徒に追随を許さぬように常に一位を取り続ける。
それが、サーシャの目標だ。
だが、そんなことを考えているうちに学園はもう目の前になっていた。
初めてみる学び舎に、サーシャは目を輝かせる。だが、すぐにハッとして学園を見つめる。
(ここで、私は過ごす。…寮生活は不安だけど大丈夫。そんなことに怖がっていたら、ルタ様と結婚するなんてできっこないわ。……私は、できる。ルタ様の為なら。彼の為ならなんでもできるわ)
そうしてサーシャの学園生活が始まる。