表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/17

愛称決め攻防戦


「お前、また試験の順位下げたらしいな。聖女がそれだとまずいんじゃないか?」


 突然先生にそう言われた。

 そういえば先週中間試験の発表があった。


 だって、もし間違って1位になろうものなら次期宰相候補と呼び声の高いベルトラン様のイベントが起きてしまう。

 だから10位前後になる様に毎回解答を調整しているのだけど、その時のみんなの調子によって微妙にズレてしまい、20位近くになることもある。


「ちょっと調子が悪かったんです」

 微笑んで誤魔化したが見逃してくれるはずもなく、


「ここに来る暇があったら寮に戻って勉強した方がいいんじゃないのか?出入り禁止にするか?」


「ダメです!そんなことしたら余計に成績落ちちゃいますよ!」


「なんでだよ。でも1位を取れとは言わないが、せめて10位以内には入れよ」


「では、もし私が1位になったら何か1つお願いごとを聞いてくれるっていうのはどうですか?その代わり、もし私が1位を取れなかったら、先生の言うことなんでも1つ聞きます」


「断る」


「どうしてですか?なんでも言うこと聞くんですよ?」


「じゃあ研究室に来るな。って言ったら来ないのか?」


「はい。(1日だけ)来ません」


「お前、今心の中で「1週間」って思わなかったか?」


「そんなこと思うわけないじゃないですか」


 さすがに1日とは思わなかった様ね。先生もまだまだ甘いわね。


「まさか1日か?」


「!?まっ、まさか!そっ、そんなこと思うわけないじゃないですか!」


「思ったんだな」


「うっ、先生が望むならもう来ません……」


 本当に「じゃあ来るな」って言われたら怖いので声が小さくなってしまった。


「……別に、せっかくの願いをそんなくだらないことに使わねぇよ」


 くだらないって……。


「でも、まあそうだな。賭けに乗ってやってもいいぞ。ただ俺もお前が1位を取る方に賭ける」


「えぇっ?それだと賭けにならないですよね?」


「別にいいだろ?お前が1位を取れば、お前も俺も1つ願いを聞いて貰える。取れなければお願いは無し。別に問題ないだろ?」


 そうなのか?


「曲がりなりにも俺は教師だからな。生徒を信じなくてどうする?」


 珍しく、とても爽やな笑顔をしておっしゃるものだからときめいてしまったけど……。


「わかりました。でも、「私のお願いを断る」って言うお願いは無しですよ?」


「ちっ!」


「今、舌打ちしました!?やっぱり断るためだったんですか!?生徒を信じるとかなんとか良い事言っておきながら、ひどい!!」


「わかった、わかった。お願いを断るのは無しな。他のを考えとくよ」


「本当ですよ?約束ですからね?」


「ああ、約束する」


 ゲームではベルトラン様のイベントは1年生の間の話だけど、2年生になってからも様子見で調整してたのよね。でもそろそろ大丈夫なはず。


 ふふふっ、ヒロインの本気見せてさしあげましょう。



*****



「先生、今回の試験1位でしたよ」


「そうか、良かったな。おめでとう。次も頑張れよ」


「覚えてますよね?」


「何の話だ?」


「曲がりなりにも教師が約束を破るんですか?」


「ちっ……なんだよ。言ってみろ」


「愛称で呼び合いたいです!」


「断る!」


 被り気味に断られた。



「断るのは無しですよ!」


「そんなことして変な噂が立って、俺がここに居られなくなってもいいのか!?」


「うっ、それは良くないです……でも!でも、2人の時にしか言いませんから……」


「……ったく、しょうがねぇな」


 意外にもすんなり受けてくれた。


「いいんですか!?本当ですか!?どうしよう。すっごく嬉しいです!」


「本当に2人の時だけだぞ!」


「はい!」


「なんて呼べばいいんだ?エルか?」


「エルは家族から呼ばれてるので、先生にはエリーって呼んで欲しいです」


「なっ!?エルでいいだろ!?」


「断るのは無しですよ?」


「ちっ!」


 舌打ち多いな。

 それに、どうせ先生は私のことを「お前」としか呼ばないんでしょ?


「私は先生のことをフレッドって呼んでもいいですか?」


「ダメだ!」


「どうしてですか?」


「ダメなものはダメだ!アルでいいだろ」


「でもアルだと第二王子のアルマン様と同じになってしまいますよ?」


「別に同じでもいいだろ?とにかくフレッドはダメだ!」


 何でそんなに嫌がるんだろう?元カノにそう呼ばれてたとか?それなら私も嫌だけど。


「う〜ん……では、アルフというのはいかがでしょう?」


「……それでいい」


「本当ですか?良かった!では今からアルフ先生ですね。今日はレイモン先生はいらっしゃらないんですね?アルフ先生」


「不必要に呼ぶな」


「ふふっ」


 呼び方が変わるだけで、すごく近くなった様に感じるのは私だけ?先生もそうなら嬉しいな。


 嬉しくて浮かれていた私は、先生のお願い事を聞くのを忘れていることに気付かず、


「……フレッドだと元に戻った時に困るだろ」


 先生がそう呟いたことにも気付かなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ