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歩みを止めるもの


 皆様、こんにちは。レイモンでございます。


 今年も雪解け間近のエルブ領の森に魔物が大量発生し、急ぎ駆けつけました。


 アルフォンス様のマントにはエレオノール様からいただいた留め具が付いております。



 冬休み明けにエレオノール様がいらっしゃって、終業式の日に渡そうと思っていたと何度も何度もおっしゃるのでどうされたのかと思っておりましたら、なんと雪の結晶を象っていました。

 

「被っちゃってすみません」


「……」


「気が合うんですね」


 アルフォンス様が黙ってしまわれたので、私がすかさずフォローしておきました。



 銀色の留め具で、両側のクリップ部が雪の結晶を象っており、その間は宝石などは付いておらずチェーンのみなのですが、とても繊細な細工が施され、まるでエレオノール様の髪のように艶やかな輝きを放っておりました。


 きっとエレオノール様はアルフォンス様のお気持ちが未だわかっていないので、ご自分の瞳の色の宝石が付いた飾りは選べなかったのでしょう。でも、アルフォンス様は男性なのでこれぐらいシンプルな方がいいと思います。


 エレオノール様は雪の結晶を象った金細工に小粒のエメラルドがハマっている髪留めをされておりました。


 こちらをご購入の際に私もそばにいたのですが、アルフォンス様がこんなにあからさまな物をお選びになるとは意外でした。

 でも、エレオノール様はアルフォンス様の本当の髪のお色をご存知ではないので、果たしてどこまで気持ちが伝わっているのか。

 

 でも、エレオノール様はとても嬉しそうでしたので安心いたしました。


 お互いの髪の色(エレオノール様はご存知ないですが)のプレゼントをなさって、このままスムーズに行くかと思われたのですが、そこから全く進展いたしません。



「あんな独占欲丸出しのプレゼントしておいて、まだ付き合ってないのか?」


 エティエンヌ様が苛立ち気味におっしゃいました。


 そうなのです。

 アルフォンス様もエレオノール様のことをとても大切に思ってらっしゃるのは間違いないと思うのです。

 にもかかわらず、この煮え切らなさ。


 アルフォンス様は、国王陛下から「表舞台に戻って来い」と再三催促されているのですが、いつも「爵位とか面倒くさい」とおっしゃっていました。


 聖女様と添い遂げようと思うとそれなりのお立場が必要になります。

 それが歩みを止めているのでしょうか?


 ともあれエレオノール様のご卒業まであと1年。

「エティエンヌ様とご婚約を」という諸侯の声が大きくなってからでは遅いと思うのですが。


 変にすれ違ったりせず、無事お心を通わせられる日が来ることを祈っております。


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