現実
現実って、甘くないですよね…。
巌魔と煉は廊下を歩いていた。
きれいな建物だ。
巌魔はここが好きだった。
「この部屋でハルと、君の新しい同僚が待ってるよ」
新しいっていっても、もう顔見知りだけど、と煉は付け加えた。
「げ…」
顔見知りって絶対あいつだ。
この組織に入った当初からの腐れ縁。
人間のくせに妙に勘のいいところは、わりと気に入ってるんだけど。
白いドアの前で煉は巌魔の肩に手を置くと、意味ありげに頷く。
(ま、いいか。悪いやつじゃないし)
深呼吸して、巌魔はドアを開けた。
「こんにち…!!」
パァン、パン!!
巌魔の目の前で盛大にクラッカーが鳴る。
クラッカーを両手に持って、ショートの黒髪の女の子が笑った。
「…ハル?」
「はい、はじめまして!!今日からよろしく!!」
え。
…ハジメマシテ?
「えーと、えーと。柊巌魔だから…あだ名はひぃ君で!!」
ちょ、ちょっと待てよ!!
展開についていけねぇぞ!!
「煉ちゃん!!」
慌てて巌魔が振り向くと、煉は親指を立てて、
「グットラック…!!」
小さく呟いた。
そしてそのまま、何ごともなかったかのように部屋を去っていく。
……おい。
肩叩いたのはそう言う意味だったのか。
何かおかしいなーとは思ったけど…。
ハルは覚えてないのか俺の事!!
ハルが巌魔の事を思い出すのは、もっとずっとあとの話。
最後まで読んでくださった方、本当に…本当にありがとうございました!!
面白いかはともかく(オイっ!)書くのはとても楽しかったです。
☆Special Thanks For My Friends!!