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赤い花



ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

あともう少しだけ、おつきあい願います。

 会いに行くと、ハルはいつも庭で1人で遊んでいて、巌魔ガンマを見つけて嬉しそうに駆け寄ってきた。

30分だけ、と大おじに決められていたけど、その貴重な30分の間にハルは庭にある植物について教えてくれた。

ハルのお気に入りはやっぱり薔薇で、他は難しいけどこれだけは自分で毎日手入れしているらしい。

巌魔と話をしているとき、ハルはいつも笑っていた。

小さくて優しい笑顔を見ると、嫌なことが全部吹き飛ぶ気がした。


巌魔、よく聞けよ。

ハルの庭からの帰り道、大おじの唐突な言葉に巌魔はぎくりとした。

神経を逆なでするような、嫌な感じがする。


「今回限りで、扉をな…閉じることにしたのじゃ」


巌魔の直感は当たった。


「な、なんで…」


いきなりなんて納得できない。

巌魔は黙りこくる大おじを責め立てた。


「簡単に言うと…おまえの正体があの子にばれてしまっては危険だからなのだ」


「正体って…僕が魔族の子だってこと!?」


そうだ、と大おじは頷く。


「そんな…大丈夫だよ…たぶん。ハルは、ハルは言わなくてもちゃんとわかってくれてる!!」


わからんぞ、あの子もまだ小さいし、いつばれるか。

大おじは難しい顔をして言った。


「ハルは…だってハルは…」


「あの子がなんじゃ?」


「ハルはいつだって待ってるんだよ! ひとりぼっちで…」


「おまえが行けばそれは変わるのか?」


「…それは」


確かに変わらない。

巌魔はほんの一時そばにいてやれるだけだ。

もしかしたら、逆にそれが辛いってこともあるかもしれない。


「巌魔」


巌魔はそっと目を開けた。

目の端にたまった涙を大おじが優しくぬぐう。


「巌魔よ」


「……はい」


頭をなでて、大おじは微笑んだ。


「辛いことを言っているかもしれないがな、大丈夫じゃ。あの子は大丈夫じゃよ」


どうして、と聞く前に大おじは答えた。


「あの子は強いぞ、巌魔。わかるじゃろ?おまえと同じだ」


「同じ…?」


「少々のことじゃへこたれん」


言い返そうとする巌魔を制して、大おじは少年の体を元来た方へくるりと回転させた。


「3分だけ、待ってやる」


それは、別れの挨拶をしてこいということだった。

巌魔の唯一の“人間”の友達に。


                

                ―∞†∞―


「ハル…」


再び戻ってきた巌魔を見て、ハルは目を丸くした。


「どうし…」


そのまま近づくと、巌魔はハルをぎゅっと抱きしめた。

最初はきょときょとしていたハルも、次第に巌魔の腕の中で静かになる。


「ハル…」


「んー?」


巌魔はハルをゆっくり離すと、泣きたくなるのをこらえて笑った。


「また今度…薔薇見せてね」


巌魔を見上げるハルが、次の瞬間何も言わずきびすを返した。


「ハル!?」


「まってて!」


駆けていく小さな体が草木の間から時々見える。

少しして慌てて戻ってきたハルのほっぺには小さなかすり傷があって、血は出ていなかったけど痛そうだった。


「あげる!!」


突然巌魔の視界がぼやけた。


(やっちゃった…)


泣かないって決めてたのに。

巌魔は涙をぐいっとぬぐった。

ハルが巌魔に差し出したのは、


―1本の薔薇―


ハルが大切に育てて、やっと咲いたばかりの赤い花だった。


「あげる!!」


ハルはもう一度言うと、トゲに注意しながら巌魔の手のひらに花をのせた。


「…あ、ありがとう。ハル…僕…き」


いきなり風が吹いた。

とっさにハルがしゃがむ。


『巌魔、時間じゃ』


風にのまれながら大おじの声が聞こえて、途端に目の前が真っ暗になる。

落ちているような上昇しているような訳の分からない感覚のなかで、誰かにどんどんひっぱられた。

意識がなくなるその瞬間に、巌魔はハルの笑った顔を見た気がした。


毎回つたない文章で…(泣

…でも、ここまで読んだなら、次もお願いします!!

さぁ、NEXT クリック!! 〈笑

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