ハル
大変読みにくい文章だと思います。
ブーイングは読んでからにしてください。
おてやわらかに!
女の子の名前はハル。
歳は4歳で、もちろん表界生まれ表界育ちだった。
「んー、たぶんいない」
「え!?」
両親について聞くと、ハルはいないと即答した。
「じゃあ…」
「れんちゃんといっしょだから、さみしくないよ?」
どうやら『れんちゃん』なる人と一緒に暮らしているらしい。
「れんちゃんはいつもおしごとがあるから、ハルはここにいるの」
「え、その『れんちゃん』て人って、いくつ…?」
ハルは計算が苦手だったみたいで、巌魔の問いに眉をひそめた。
口をぽかんとあけたまま、指を広げて数え始める。
「…」
「あ、まぁ…無理なら別に…」
「むりじゃない!!」
負けず嫌いなところが自分にそっくりで、巌魔は思わず笑ってしまった。
「ハルより10おおいっていってたから…」
「…14だね」
「あっ」
言ってから、しまったと思った。
ハルが唇をとがらせてすねる。
その顔がまたおかしかった。
「あーわらう!」
「…っくく、ごめん!あんまり可愛いから」
正直に言うと、ハルは笑って許してくれた。
「ねぇ、がんまくんはいくつ?」
「えと…12歳かな」
ハルはその答えに目を丸くする。
そんなに驚くことかと巌魔は目をぱちぱちさせてハルを見た。
と、次の瞬間、巌魔の予想を裏切ってハルが満面の笑みを浮かべた。
「れんちゃんとおなじくらい!んー、てことは…がんまくんおしごとは?」
え!? 仕事?
「…ま、まだしてません」
ハルはさっきよりもっと目を丸くした。
「じゃあ、まいにちなにしてるの?くんれん?」
「訓練?『れんちゃん』は訓練なんかするの?」
ハルは笑顔で頷いた。
どうやら毎日何かの訓練をしているらしい。
表界はへんなところだと巌魔は思った。
だからハルはひとりぼっちで庭にいるんだ。
じゃあ寂しくないのか聞くと、ハルはきょとんとして首をかしげた。
悔しいけど、その表情がめちゃくちゃ可愛い。
「さみしくないよ!ここにいれば!」
ハルは笑っている。
それは見ればわかる。
でも…。
本当はそうじゃない。
こんな小さい子が1人でいて、寂しくないわけがない。
「ねぇ、ハル」
大おじごめん。
「また時々…ここに来ていい?」
思いがけない問いかけに、ハルが目を輝かせた。
「うん、待ってる!!」
ハルと約束をして庭を出ると、高い建物の前で大おじが待っていた。
ニヤニヤしているところを見ると、すっかり見られていたみたいだ。
恥ずかしくてうつむいたまま、巌魔が近寄ると、頭を1回なでた。
「社会勉強になったか?」
また来たくなったなんて、言いいにくい。
「ま、時々…ものすごぉーく時々なら、連れてきてやってもいいぞ」
「本当!?」
「肩たたき100回で」
どこまでもセコいじじいだ。
でも、
「…お願いします」
会いたい。
あの顔見たら、来ないなんて言えない。
巌魔が、何故か大おじの後ろに現れた扉を抜けると、いつもどおり魔界の生暖かい風が頬をなでた。
読んでくださった方、ありがとうございます!!
ところで…大おじって、案外恋愛話好きだと思いませんか?
例えば○○ちゃんの告白シーンを何故か事細かく知っている…。
いわばのぞき名人ですな。