7話 【役立たずの男】
「申し訳ないが明日の朝に村の者が街へと行くんだがそれに同行して君は街へと行った方がいい」
「俺は貴方や村の人達に恩がある、だから何か俺に出来る事はないんですか?」
俺はせめてもの勇気で聞いた。
だが俺の求めていた…いや想定していたものの中で1番聞きたくなかった言葉だった。
「君のその言葉で十分だ、それに君には金も持っていなければ化け物達と戦う力もない。正直に言って邪魔でしかないんだよ」
俺にはかなりきつい辛辣な言葉だった。
だが俺には何も言う事は出来ない、それは紛れもない事実であるからだ。
俺は空っぽの手を握って
「それもそうだな、無理を言ってすまなかった」
と俺は精一杯の強がりを言う。
するとバリーは立ち上がり
「狭いかもしれないが今日は私の家に泊まっていくといい、それとその奇妙な服はさぞ目立つだろうから少しサイズは小さいかもしれんが息子の服を使うといい」
「そんな、そこまでしてもらうわけにはいかない」
「いや、いいんだ…その服はもう誰も着る事の無い服だから是非君が着てくれると嬉しいんだが」
その言葉を聞いた俺は勘付いてしまったのだ、バリーの息子も森の化け物に命を奪われてしまった事に。
バリーは奥の部屋から麻の服を俺に渡して
「部屋はこっちの部屋を使ってくれ、明日は明朝にこの村を出発する、今日は早めに寝ておく様にしといたほうがいい。それに今日は色々あって疲れたろう」
そういうとバリーは息子の部屋だったろう場所に俺を案内して自分も部屋に戻って行った。
俺が案内された部屋は小さな埃っぽいベッドひとつしかなかった
だが今の俺にはこんな埃っぽいベッドだとしても贅沢この上ない代物だ。
俺はさらに恩を感じながらベッドで寝転がり今日の事を思い返そうとしていたが何度か休んでいたもののこうしてベッドの上