5話 【別世界】
目が覚めた俺は少しだけだが冷静さを取り戻していたのか冷静に今の状況を考えていた。
今俺がいる場所は小さな池の様な場所だが周りに化け物の気配がないという事は近くに人の住んでいる可能性があるという事その可能性にかけ俺は人の痕跡がないか辺りを見回した。
すると一箇所だけ明かに人の靴跡が無数存在していた。
「間違いない、これは人の足跡だ…。これを辿れば人のいる場所に着く事が出来る、そうすればここがどこなのかわかるはずだ」
俺は足跡を見ながらそう呟いていた、そして俺はその足跡を1つも見落とす事なくまるで這いつくばる様に足跡を辿って今まで彷徨っていた森をなんとか抜ける事が出来た。
目が覚めてから俺は化け物と木々しか見ることしかなかった俺だったが今初めて決して大きくはないが小さな村の様なものを見つけた。
その村は田んぼ様なものや畑が広がっていて村の規模とは打って変わってかなり大きかった。
ただ間違いなくその村は人の住む村で着いた時化け物の巣窟になっているなんて事はなさそうだ。
ただ相手は人である歓迎されるとは限らない、村を守る為に保守的になる人も間違いなく存在するという事だ。
だがここは既に普通でない世界で俺の身にはまるでゲームの様な体験が起こった今どんな人かは分からないが誰か話の通じる人と話をしなければ俺の精神が崩壊してしまう恐れがある。
そして遠目でしか見ていなかったがよく見れば村の周りには木製の塀があり手作り感満載の木製の門まであった、近くにあんな化け物がいるからなのか理由までは分からないが防衛施設は整っている様だ。
俺は門の近くまで行くと
「おい!お前何者だ?なんの用があってこの村に来たんだ?」
声が上から聞こえて上を向くと櫓から声が聞こえそこには木製の弓を持った男がこっちを向いて言った。
「あ、ああ!そうなんだ、森で迷って怪我まで負ったんだ。助けてくれないか?」
俺は自分の怪我をアピールすると共に門番の様な男に助けを求めていた。
男は遠くから俺を見て少し考えたのかその後俺の前の木製の門が開いて
「それは大変だ!!早く村に入って治療をしてもらうんだ!」
どうやらこの村の人達は人情派よりの人みたいだ、それはかなりの収穫だろう。
などと考えながら俺は村の中に入って行った。
そして村に入った俺は驚いた。
村の外壁や櫓を見た時に俺は栄えた村を想像していたが小さな家が点々としか細い川の様なものが流れている程度で見た目と中身が全く比例しておらず俺は妙な違和感を覚えていた。
「君はよそ者かい?」
突然横から声をかけられた、俺に声をかけてきたのは男性でボロい麻の様な服で泥のついた皮のブーツに手にはクワを持ったくたびれた男性だった。
「あ、ああ。あなたはここの村の人ですか?」
「ええ、そうですよ。ちなみに君はこの村にどんな用事で来たんだい?」
「それなんですけど、今俺が何故ここにいるのかわからないんだ、おまけに森で目が覚めて化け物に襲われてしまったんだ」
何故かはわからないが俺はこのくたびれた男性にこんな事を話していた。
するとその男性はまるで自分の事の様に顔が険しくなり
「それは大変じゃあないか!とりあえず村長に相談してみよう、君私と一緒に来てくれ」
その男性は俺の腕を掴ん周りの家よりは一回り大きな家に引っ張られていった。
そして村長らしき家に連れて行かれ連れてきた男性は家のドアを何度か叩き
「バリーさん、バリーさん出てきてくれないか」
すると静かにドアが開き白髪にかつては屈強であったであろう老人が出てきた。