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異世界転移の見える男  作者: シイナ コテツ
3/7

3話 【名もなき戦いの終わり】

あの化け物を殺した事により俺のタガが外れたのは誰よりも俺が理解しているつもりだ。


普通であればこんな化け物を目の前にして逃げの一手はごく当たり前の事であり止むを得ず戦う事になったとしても残りの2匹を倒そうという考えに至るのは俺の中ではありえない事だった。


「2匹同時に襲われたらひとたまりもないな…、俺の方から仕掛けるしかないか?」


俺はその場で少し考え俺の中に普段なら考えつく事がない作戦を思いついてしまう。


「さっきの化け物を使って残りの2匹を釣ればいいじゃないか」


そう呟くと俺はさっきの化け物の所に戻ると1匹が化け物の仲間の亡骸を見て言葉は分からないが何やら騒いでいる。


俺はその化け物にゆっくり近付くと躊躇もなく後ろから棍棒で頭を殴る。


さっきとは違い膝をついてしまうがまだ息はある、そんな化け物に対して俺は2度3度とその化け物の息の根が止まるまで殴り続け7回殴りつけた所で動かなくなった。


俺の頭には最早残りの1匹の化け物を殺す事で頭が一杯になっていた、そんな時「ギガァァー!」と俺の頭上から残りの1匹の化け物が槍の様な武器を突き立ててくる。


「ぐっ!このクソ野郎がぁー!」

「ゴガギガー!


俺と化け物はお互いに声をあげ獲物を振る。


だが俺は気がつかなかった…


先程の無茶苦茶な棍棒の使い方で俺の持っていた棍棒は既に武器としての役割を果たす事は出来なくなっていた。


当然俺の攻撃は化け物に届く事はなく代わりに化け物の槍が俺の左肩をかすめる。


「ーーーーッ!?」


棍棒で殴られた比ではない。


かすり傷と言ってもかなり深い、血で制服は赤く染まり俺の左腕は上がらず痛みで今でも倒れてしまいそうであるが今倒れる事はそのまま死を意味する…


だから俺はこの切れそうな意識を死への恐怖と必ず化け物を殺そうと思うただそれだけを頼りに今の意識を保っているのだった。


だが怪我をして武器を失った俺に対して化け物は万全な体と武器を持ち合わせている為普通に戦えば俺が九分九厘負けてしまうだろう。


だがたかかがその程度で諦める訳にはいかない、なぜ俺はこんな所に連れてこられてしまったのかなぜ俺なのか何も知らないまま死んでしまうのはあまりにも滑稽である。


九分九厘負けるとは言ったものの勝算がないわけではない、俺の今の状況をしっかり考えれば打開策はある、今俺の目の前に…


それは化け物の持つ槍である、それを奪い逆にその化け物に突き立てれば殺す事は可能だ、逆にいえば今の俺にはそれ以外の有効な策を思い付く事は出来なかった。


「とは考えてみたものの問題はどうやって槍を奪うかにあるな、まあなりふりなんて構ってる暇はねえけどな」


と相手をよく見るため…いや膝を少し曲げ肩の力を抜く事で俺は相手の動きに集中する。


「ギギ、ギギガァァ』


化け物は槍を構えてゆっくりと俺に近づいてくる、それに対して俺はまだ動かない、慌てて動けば間違いなく串刺しにされるだろう。


「こいよ化け物…」


俺の声が届いたのか定かではないが化け物の歩みは止まらず後数歩の所で化け物の持つ槍の射程圏内に入る。


そして槍の射程圏内に入った途端に化け物は俺の胴体、いや心臓に狙いを定め突く。


「フンッ、読み通りだ!この単細胞が!!」


俺は右足を軸に回って槍の攻撃を防いだ、そしてただ避けるのが目的ではなく俺の本当の目的はこの一手で化け物から槍を奪い形成逆転を狙う算段である。


俺は化け物の攻撃を避けると槍を持つ腕を掴みピンと伸ばした細く短い腕を俺の膝を使いへし折った。


「ピグァァッッ!!?」


化け物の悲鳴とも近い断末魔の様な声をあげるが俺は躊躇をする事なく化け物の落とした槍を俺は拾い上げ化け物を蹴り飛ばし転げ回った化け物の後頭部に躊躇いもなく槍を突き立てた。


化け物は「ギ…ガガ…グ、ガァ……」と力ない声と共に死んだ。


俺はこの化け物に対して感情を持つ事はなく頭を踏んで突き刺した槍を引き抜いてその槍を杖の代わりにしてボロボロの体に鞭を打つも極度の緊張感から解放されたからなのか俺はその場で倒れてしまった。


そして俺はそのまま意識を失ってしまう…

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