その1
頭を空っぽにして読んでみて下さい。
お互いの為だと離された。
さっきまで感じていた温もりがゆっくりと…確実に消えていくのを感じる。
あぁ、またか。
抗う事も許されず擦り抜けて行く虚しさを感じながら、ポカリと胸に穴が開く。
なぜ、どうして、そんな言葉が口から出る前に自分の意識は暗闇へと落ちていった。
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乱暴に、無理やり引き離されるのは何度目だろう。
いつだって互いの為だと言う名目で仲を引き裂かれる。
誰の望みか、自分達の意思等関係なく意識と身体は引っ張られブチリと何かが切れる音が聞こえた。
身体は既に動かない。
手を伸ばす事も許されず、床に転がったままただ虚ろに前を見ることしか出来なくなっていた。
「待機電力ってそんなに気にするもん?」
「だってずっと挿しっぱなしだと良くないって聞くからー、ってそんなに乱暴に抜かないでよ。中で線切れちゃうかもしれないから!」
「はいはい、分かったよ。丁寧に抜けばいいんだろ。」
悲恋だけど、悲恋じゃない。
コンセント達の日常は悲劇続きなのかもしれない。
要は考え方次第なのかなと……最後にはクスッと笑って貰えたら嬉しいです。