第55話 マッサージ
お店の開店準備は無事に終わったので、今日は明日に備えてゆっくり休むことになった。
「最近バタバタしていたからゆっくりできるのは凄く久しぶりだね」
「そうだな……」
「そうですね……」
なんだか二人の返事に覇気がないような気がした。
そうだよね、最近忙しくて元気もなくなるよね。二人を元気づけるように何かできないかなぁ。
そうだ、疲れを癒すと言えば美味しいものと温泉だよね。
でも、温泉は亜空間の家にあるし、日々二人には美味しいと思ってもらえるようにお料理も頑張っているし……。
そうだ!マッサージだよ!!おばあちゃんにやってあげた時に、凄く喜んでくれたし!!
うん。いい案だよ。それじゃぁ、善は急げっていうし二人に話してみよう。
「あのね、二人が元気になるようにしてあげたい事があるんだけどいいかな?あっ、痛いのは最初だけで、気持ちよくなるから安心してね。もし、途中で我慢できなくなったら遠慮しないでいいよ。二人を一緒にしてあげることはできないから、どっちが先に気持ちいことされたい?」
「「……」」
あれ?マッサージ初めてで怖いのかな?よし、もう一声かけてみよう。
「初めてだと、怖いって思う人もいるみたいだけど、優しくするから。ね?」
「「…………」」
う~ん。反応が悪いなぁ。マッサージは若い人向けじゃないのかな?それに、こっちの世界にはマッサージ自体ないのかも。それなら、無理にする必要もないか。
「ごめんね。無理強いするつもりはないの。二人がマッサージが嫌なのは分かったわ。他に二人が元気になしそうな事があったら言ってね。私でよければ協力するから!」
「マッサージのことだったのか。俺はてっきり……」
「てっきり、なんだと思ったのよ。東堂のスケベ」
「なっ!!」
そこに、武藤さんが現れて、何故か駆君をスケベ呼ばわりした。
「武藤さん、どうして駆君がスケベなの?」
「それは、こいつが―――」
「武藤!!」
「はーい。貸し一つね~」
「ちっ」
「何だね、その舌打ちは?」
「ナンデモナイデス」
「よくわかんないけど、男の子がスケベなのは仕方ないって聞いたことあるし、分かったわ」
「「いや、よくないから!!」」
「?」
「駆……。僕にも飛び火したよ……」
「おい。お前も口に出さなかっただけで、同じこと考えただろう絶対!そういうやつをむっつりって言うんだよ!!」
「タイガ君はむっつりなの?」
「ちょっ!小春さん違うから!!全然良くないから!!」
疲れを癒してあげようとしたけど、逆に疲れた顔をした二人は盛大なため息をついて、お互いに目で語り合っていた。
「ところで、武藤さん。今日は鈴木さんと出かけていたんじゃないの?」
「おっと、面白い場面に出くわして、思わず見学しちゃったけど、忘れ物取りに来たんだった。忘れ物取ったらまたすぐに出掛けるよ」
「分かりました。行ってらっしゃい」
「はいは~い」
武藤さんは、本当に忘れ物を取りに来ただけみたい。二階に上がってすぐに降りてきて、すぐに出掛けて行ってしまった。
武藤さんが家を出ていく音を聞きながら、駆君が思い出したように言った。
「そう言えば、あいつら結構ここにいるけど、いつまでいる気なんだ?」
「休暇の期間を聞いてませんでしたね」
「確かにそうだね。お役目は大丈夫なのかな?大丈夫なら、全然いてもらっていいんだけど」
「あいつらが帰ってきたら確認してみるか」
「そうね。それがいいわね」
こうして、久々に何もない定休日はこれといった事もなく普通に過ぎて行ってしまった。
二人を元気にする作戦は見事に失敗してしまったのだった。




