第49話 聖女達は同志達に遭遇する
「えっと、鈴木さんはとりあえず気分転換をするって方針でいいのかな?」
「えっ?あっ、うん。その方向で」
良く分からなかったけど、全員の今後については決まったみたいね。
午後の予定については、男子達はこのままリビングでまったりするみたい。武藤さんと鈴木さんはお店を見ることになった。駆君は、タイガ君の手伝いをする為お店に行くことになった。
私はというと、亜空間にある家に来ていた。昨日は簡単に報告を聞いただけだったので、二人から詳細を聞こうと思ったからね。
「コンさん、にゃーさん。今大丈夫かな?」
「もちろんですよ。主様のお呼びとあれば、最優先で!!」
「主より優先すべきものなど存在しません」
「えっと、アリガトウ。それで、昨日簡単に聞いたんだけどもう少し詳しく聞きたいと思って」
「それでしたら、わたしから説明します」
そういって、コンさんが調査した事について再度説明してくれた。
それによると、動物や魔物の類は一切遭遇しなかったということ、数キロほど探索をしたそうだけど、端には行きつかなかったこと。さまざまな植物があったことを報告してくれた。さらに、その植物は元の世界のものと通じるものが殆どだったという。
今回採取をしたのはカカオ豆だけだったけど、次の捜索の時は試作で作った鞄に入れて、ここに送ってもらうことにした。
「う~ん。元の世界と同じような動植物はいろいろあったけど、亜空間の方がさらにいっぱいありそうね。外に無い食材でも、探せばここにありそうな気もしてきたわ。引き続き、調査を進めてくれると助かるわ」
「はい。主様のためなら喜んで」
「主のご命令ということでしたら喜んで」
「二人ともありがとう。でもなんでそこまで私に尽くしてくれるの?」
「「本能?」」
「えっ?二人も良く分かっていないの?」
「何といいますか、主様に従い、喜んでもらうことが生きがいと言いますか、とにかく主様が大事で大好きなんです。なので、今日こそは一緒におふ―――」
「俺の推測ですが、主に流れる血が俺達をそうさせていると最初は思いました。ですが、なんだかんだハードな主命ではぁはぁ!とにかく、本能からあなたに従い、ご命令を遂行することが俺達の喜び!生きる意味なんです!!だからもっと命令を!!」
「えっと……、ちょっと距離を空けた方がいいと思うかも……」
「主様、わたしはいつもお側にいたいです!!」
「主!!そういうプレイですか!!」
「エット、意味ガ分カラナイカラ。ソレト当分近ヅカナイデ下サイネ」
「主様のいけず!!」
「主のそういうところむしろ好きです!!」
なんだろう、途中からすごく疲れたわ。いつも、この二人との会話は疲れるけど、今日もすごく疲れたわ。
とりあえず、今後の方針は決まったので、家に戻ることにした。二人には、また夜には戻るけどいつも通り好きに過ごしていていいとだけ伝えた。
家に戻ると、お店を閉めた駆君とタイガ君がぐったりした様子でリビングのソファーに座っていた。対照的に武藤さんと鈴木さんは何やら盛り上がっていた。あんなに元気な鈴木さんが見られるなんて、何かあったのか気になったので聞いてみることにした。
「鈴木さん、元気になったみたいで良かった。何かいい事でもあったの?」
「それがね!清水さんのお店に同志がいたの!しかも複数も!!」
「へえ?同志?息の合うお友達が出来たってことかな?」
「ええ、心の友よ!!ああ、もっと早く同志達と会いたかった。それに、タイカケって良いわ」
「私は、カケタイ派!リバも可だから!!」
「たいかけ?かけたい?りばもか?えっと、何の呪文なのかしら?」
「それは、東堂とタイガさんのビー―――」
「ストップ!!マジで!!約束しただろうが!!ネタにしないって!!!」
「だって、もうジャンルが確立してあるから私の所為じゃないし?」
「だよね。同志達から聞いた話だと、結構前からあるって聞いたし。明日は同志達と、他のカプについて盛り上がろうってなったから、香と出かけるからね~」
良く分からないけど、二人の元気が駆君とタイガ君を憔悴させているのは分かったわ。
そうだ、二人に作った指輪を忘れないうちに渡しておこう。
「そうだ、二人の指輪出来たから渡しておくね」
「「二人の指輪!!」」
何故か、武藤さんと鈴木さんが食いついた。
「「詳しく!!」」
「えっと、(亜空間のことは)詳しくは言えないんだけど、(デザインが私とも)お揃いの指輪を作ったから渡しておこうと……」
「詳しく言えない……」
「それって……」
「ちっ、違うから!それ勘違いだからな!!」
「「明日、同志達に報告しないと!!」」
「違うから!!報告するな!!」
始終良く分からない会話だったけど、みんな元気になって良かったわ。




