第1話 女の子のお友達が欲しいだけなのに
清水小春、15歳。
私の悩みは、高校に入学して数週間が経つが、いまだに女の子のお友達が出来ないこと。
悩みの種はそれだけではない。
というよりも、もう一つの悩みの種の所為で、女の子のお友達が出来ないと言っても過言ではないと思うの。
「清水~、さっきの授業のノート見せてよ。俺、寝ちゃってさ」
そう言って、あまり寝むそうではない顔で話しかける男こそ、私の大きな悩みの種。
この男が頻繁に近寄ってくることで、女の子のお友達が出来ないのだ。
とにかく、無視に限る。
最初は、相手をしていたのだけれど、その所為なのか、徐々に女の子が私から遠ざかって行った。
理由はたぶん、この男だ。
東堂駆。高い身長に、細身ながらも鍛えられた体が制服越しでも分かる。優しげな顔は女の子が好きそうな甘い雰囲気を持っている。
ただ、露骨なのだ。
なぜなら、他の女の子には全く話しかけないのだ。
男子にはそこそこ話しかけている。というか、クラスの男子とはほぼ友達になっていると思われる。(同性のお友達がいることが羨ましい。恨めしい)
何の恨みがあるのか、私にだけ話しかける。
そして、タイミングが最悪。
私が、誰かに話しかけようとするとそれを遮るかの如くなのだ。
最初は、たまたまタイミングが悪いのかと思ったがそうでもなさそうだ。
そのおかげで、女の子だけではなく、男子とも会話が成り立たない。
まぁ、男子は別にいいんだけど。女の子とはお話ししたいの!!
話がそれたが、あからさまな邪魔が面倒になり今では、誰にも話しかけることをしなくなった。
し・か・し
あの男は、更に私に話しかけるようになってきた。
もう!
そんなことを考えつつ、無視をしても構わず話しかけてくる。
「ねぇねぇ、清水ちゃん。俺の話を無視しないで~」
無視
「清水ちゃん~。おーい」
無視
「清水ちゃんのイケズ」
流石に鬱陶しくなってきた。
「もうすぐ、授業が始まりますよ。席については?(鬱陶しいです。話しかけないで下さい)」
そう言って睨みつける。
何故か、嬉しそうな顔をされた。
この男はアレなのか?Mって人種なの?うわぁ、引くわぁ。
そうしていると、授業開始のチャイムが鳴り、山田先生が教室に入ってきた。
授業が半分ほど進んだときにそれは起こった。
チョークで板書する音だけが響く静まり返った教室が突如強烈な光に包まれたのだ。