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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
最終章[終わりの時]
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最終章[終わりの時]第11話

黒い巨人は、凄まじい速度で飛翔し向かってくるそれを見逃さず、迎撃する。


[遅い!!]


普通は目で捉えることすら出来ない速度で、放たれた巨人の腕は次の瞬間こま切れになる。


[……]


クロトは、空中で巨人の様子を伺う。

流石にステラを取り込み大幅な強化を得た巨人でも、今のクロトの動きを捉え切る事は不可能だったのだ。


[言っただろう。この戦いに次は無い。

確実にここで終わらせて、全てこの世界から持っていく。]


剣の切っ先を巨人に向けて宣言する。

滲み出る白のオーラ、黒の粒子が、クロトの強さを証明するように輝きを纏う。


[今のは挨拶程度だ。改めて、最後の勝負だ…終界の使者。]



その頃、既にユリカゼ達は意識を取り戻し、宙に浮かぶクロト一点に注目していた。


[凄い……]


それ程に、彼の今持つ力は絶大だった。

元々、彼の体は作りからしておかしかった。何か特別な気質が、その成長の速さが物語っていた。

何か代償を払ったのは分かる、それでも、単に代償を払っただけであれ程の力を手に入れられるのすらおかしいのだ。

間違いなく、彼の体には神が宿っている。

今の彼の純白の姿は、本来これからゆっくり手に入れるはずの力を、全て棒に振って、それ以外の全てを捨ててやっと辿り着いた境地なのだろう。


[……]


この後、彼がどうなるのかなんて、簡単に予想する事が出来た。

今生の別れが刻一刻と迫っている事を、ユリカゼはとうに気づいていた。


[言ってください。]


自分なら、きっとそう言って送り出せたと信じて、その戦いを見守った。




[うおぉぉぉ!!]


戦いは一方的だ。

クロトの無数すら越えうる超神速の斬撃と魔法に、黒の巨人は身動きひとつ取れない。


[案外硬いな。

なら……]


クロトは、一瞬だけ攻撃を中断し、巨人を見据えて正面の位置に止まると、剣を中段に構えて両手持ちに切り替える。


[この1発なら、どうだッ!!]


ールクセント・ハウルー


一瞬の内に斜めに一閃、巨人の体には左の方から右脇腹にかけて切り裂かれる。


行ける!!


恐らくステラが居るのはこの魔物のコアブロック、要するに心臓部だ。

その場所に直接ルミナスの根源解放を叩き込んで干渉できれば、ステラを助け出せる。

この戦いに置いて、ルミナスの存在は必要不可欠なのだ。

魔神になって、神力を通してようやく理解出来たのだ。ルミナスの真の能力を。

ユリカゼの霧雨の真の能力が、影を特異とするものだとしたら、ルミナスは分離と干渉、蓄積と放出。俺が今まで使っていたのは、後者の方だ。

ルミナスの根源解放は、命中したあらゆるものに干渉し、あらゆるものを分離させる事が出来る。例えそれが魂レベルで繋がった同一のものだとしても、元が2つである限り簡単に剥せる。


[はあぁッ!]


剥き出しになりかけたコアを、更に浮き彫りにさせるべく、次の技を放つ。


ーデュアル・ソウルダークネスー


クロトの左手に、新たな黒い漆黒の剣が握られる。

至近距離に迫ったクロトは、二对の剣を凄まじい速度で振り、コアを完璧に剥き出しにする。


[見えた!!]


すかさずコアに、ルミナスを翳して干渉を開始する。


[……ッ!?]


どれだけ深層を探ったと思っても、ステラらしき存在は見当たらない所か、底すら全く見えないのだ。

クロトは、一旦距離を取る。


[く、流石に厄介だな。]


これ程の存在感を誇る魔物に取り込まれたんだ。簡単に助け出せるとは思っていなかったが、まさか、ここまで困難だとは……


[実際に中に入るしか無いか……]


この工程を何度も試せば、何れはどうにかなるだろうが、少なからず、この状態で戦い続けていられるのにも制限時間がある。

そんな一瞬で過ぎるものでも無いが、悠長な事もしてられない。


[やるしか、無いか……]


俺は、ユリカゼ達に思念を送る。




[ん?]


頭に、突然情報が飛び込んできた。

内容は、クロトがステラを助けに魔物の中に入っている間、時間稼ぎをして欲しいというものだ。


[……時間稼ぎですか。]


クロトは、表情一つ変えずに魔物を見据えている。


[信頼してもらえている証だと、受け取っておきます。]


リレイド達も、それを受け取り、了承する。





[頼んだぞ…皆。]


俺は、魔物に意識を集中させる。


[次は、小細工無しだ。]


俺は、ルミナスの剣身を目の前まで持ってきて、指を2本添えて、唱える。


[煌皇剣・ルミナス、根源解放。]


元より戦の道具とは思えない程の美しさを誇る銀色の剣身が、淡く優しい光を纏う。

俺は、剣を引き絞る様にして、切っ先を巨人に向け、一気にうち放つ。


[はぁッ!!]


防ぐ間も与えずに繰り出した突きは、巨人のコアがある位置に深々と刺さる。

干渉出来た。これなら、入れる!

クロトの姿は、光の粒子となって、巨人の中に入って行った。





[ここからが、我々の仕事だな。]


[はい……]


時間稼ぎ、クロトがステラを巨人の中から救出するまでの足止め。


[相変わらず、無茶を行ってくれますよ…あの人は……]


ユリカゼは、霧雨を持ち1歩前に出る。


[でも、最後の最後に頼ってくれたんです。

期待には、答えたいですかね。]




[……シャルル、1度だけて良い、私に力を貸してくれないか?]


リアは、シャルルに申し出る。


[でも、今クロトさんが……]


[話は最後まで聞け…今、クロトは恐らく直接的には戦っていない。あいつの目的はあくまでステラの救出だ。だから、その為にあの怪物の中に直接入っている。と言った状況だ。]


遠くからでも観測していれば、リアなら簡単に状況がわかった。


[……力を貸すのは構いません、ですが、私も大分消耗しているので、チャンスは1回だけですよ?]


リア微笑む。


[十分だ。私を誰だと思ってる?]


いや、ステラやクロトを助けられなかった時点で、もう、最強の魔女だなんて言えないな。


[ちゃっかりしてますね。

まあ、あなたに任せるならその心配は無いでしょう。良いです。思う存分に使ってください。]


シャルルは、リアから差し出された手を握る。




[はあぁぁぁ!!]


ユリカゼは、神具の根源解放を使用して、巨人に特攻を仕掛ける。

確かに巨人のパワーは凄まじいものだが、次元を越えた攻撃でしか命中しない、今の状態のユリカゼには関係ない。


[そこですッ!!]


ユリカゼは、巨人の攻撃を躱して、カウンターの斬撃を降らせる。


[消し飛ばすっ!スターエクスプロージョン!!]


巨人の背後に回り込んだサイファーが、跳躍し巨人に大振りの斬撃をくらわすと、その地点を中心に眩しい程の輝きを放ち大爆発が起こる。


[ダメ押しです!]


光が収まるのを待たずに、ユリカゼは巨人の首の辺りから回転斬りを放ちながら降下していく。


[神具・解放!]


ー神型・真暁夜ー


ある程度降下した所で、ユリカゼは霧雨の魔力を解放し、回転斬りの最後の一振に乗せて光の凝縮体を放つ。

それだけではなく、振り抜くと同時に無数の斬撃を乗せていたのだ。


[……っ。]


着地したユリカゼには、わかった。


[ダメージは、ありませんか……]


所々敗れた服の隙間から、汗が滴るのが外側からでもわかる。


[なるべく、早くしてくださいよ。

クロトさん……]


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