表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
最終章[終わりの時]
96/100

最終章[終わりの時]第8話

突如として、激しい揺れがクロト達を襲う。


[なんだ!?]


揺れは、クロトでも直立するのは難しいレベルのもので、ステラを抱き寄せて、木にしがみつく。


[う……あ!!]


丁度クロトの近くに居たアインが、バランスを崩す。


[アイン!!]


[任せて!!]


ステラが手をアインに向けると、金色オーラがたちまち発現し、アインに向かって飛翔する。瞬く間に彼女を覆い体を支え、そのまま引き寄せられるようにしながら、ステラの腕に収まる。


[捕まってて。]


[は、はい。]


リアがやっている。

飛行魔法に似たような現象を、彼女は起こしたのだ。

本来、魔力で体を覆い、浮かせるというのは相当な操作の技能を必要とする。

それも、他人を遠隔で浮かせるとなれば、その分難しくなる。

それをやってのける彼女の力。


[今のが、ステラの神力か?]


リアとクルスは、宙に浮いて揺れの影響を無効化している。

サイファーとユリカゼは、それぞれ影と光の球体の様な物の中に身を潜めて、外界と隔離している。


[うん。まあ、ね!]


こうして返事するのもやっとな程の揺れも、何とか収まる。


[止まった、のか?]


クロトがそう言うと、クルスとリアは、都上空の方に視線を移す。


[いや……]


[むしろ、ここからね。]


クルスとリアは、見るだけでも分かるほどに動揺している。

クロトにとって、この2人が揃って焦る程の自体、一体どんなものかと視線を同じ方向に移す。


[……なんだ?あれ。]


[……]


ステラとアインもそれを確認して、言葉を失っていた。


[あれは、流石に私も見たことがないな。]


[あ、あ……]


剣聖の顔からは、常にあった余裕が完全に消失、ユリカゼは両手で口を覆って目を見開いている。


[お前ら!!]


空から、一人の男が、少女を抱えて降り立つ。


[無事だったか、お前ら。]


リアが、安否を確認する。


[ああ、何とかな。]


[死ぬかと思いました……]


実際今リレイドは、一瞬で城の王室から、都の外れにある森までを一脚にして移動したのだ。

距離にして、数キロメートルは離れているであろう場所に一瞬で移動するともなれば、文字通り相当な速度で飛んだことになる。

掴まっていたのがシャルルでなければ、間違いなく風圧でダウンしていただろう。


[咄嗟に霊力で体を覆ったお陰で助かりました。]


シャルルは降ろされながらそう言う。


[お疲れ様。]


ステラは労いの言葉をかける。


[祝勝会はあやつを倒してからになるがな。]


そして、皆一斉にそれを見る。


誰一人として余裕は無い。

全長は数百メートルはあるであろう巨体に、黄金の肌、体の三分の一以上はある長い首、銀色の角、広げれば都を包み込むことすらできるであろう巨大な翼。


[後片付けとは、こういう事だったか。]


[とんでもない爆弾を残していってくれるな。]


[それも、世界破滅級の特別製の爆弾をね。]


比喩でもなんでもない。

あんなのが暴れたら、本当に世界が終わりかねない。


[……倒せる…のか?]


意識せずそう言った声が漏れる。


[さあな。ただ……]


そして、次の瞬間。


[向こうはもう、戦闘態勢の様だがなッ!!]


リアとクルスの手によって、何重もの分厚い魔力障壁が展開され、更にグラビティフォースと、クルスの神力の障壁、そして、俺たち全員を覆うようにして、ドーム状の魔力障壁が展開される。


[神話級……]


[絶縁魔法……]


[[デュアル・アヴァロン!!]]


それが完成した直後、龍の口から放たれた分厚いレーザーの如き咆哮が、障壁に直撃する。


[くっ!!なんて言うパワーだ……]


[耐えなさい!!

耐えないと、ここで全滅よ!!]


外側にあった魔力障壁達は一瞬で粉々になり。

グラビティフォースと神力の障壁も、ヒビが入る。


[ダメ、突破される!!]


[くっ!!]


二つの盾は消失し、残るはドーム状の障壁のみの所に、俺は全力のアイギスを割って入らせ、防ぎに掛かる。


[うおぉぉぉぉ!!]


このドーム状の障壁は、多分1番強度がある。

だが、これを皆を覆うように展開したのは、恐らく熱線の余波と衝撃から、全員を守る為。

なら、最後にはこれが無傷で残っていなければ、衝撃波と余波を防ぎきれる保証が無くなる。


[ぬ、っう……はあぁぁぁぁぁ!!]


一瞬の事に、後からは思い出そうとしても断片的にしか思い出せないだろうが、それでもこうして堪える一分一秒が、数分にも数十分にも感じる。


[ぐ、はぁ……]


そして、予想通り熱線は終わりを迎えると同時に着弾地点で爆裂し、一気にアイギスを割ってリアの障壁にヒビを入れて砕く。


[はぁはぁ……皆、無事か。]


見た所、全員無傷の様だ。

だが、周辺の惨状はもう言葉では言い表せないレベルですらある。

強いて言うなら、天災。

見渡す限り森が更地と化している。


[全く、私の方はどうにかなった。

そっちはどうだ?]


リアは、クルスに尋ねる。


[こっちもオッケー、全員避難完了。]


何の話しだ?


[ん?……まさか!?]


避難完了。

成程、それで……


[そういう事だ。

賭けではあったが、今の間に都の住民全員を安全な場所に転移させた。]


どれたけ規格外なんだ。

この2人は……


[それにしても、最後のはナイスだったぞ、クロト。]


[あれがなかったら、私達とっくにあの世行きだったわね。]


最後の、アイギスの事か。


[死ぬかと思った。]


一応絶対防御魔法なんだがなあ。

いや、こんな連中相手に普通の常識を求めたら死ぬな。


[それじゃあ、これで心置き無くやれる訳だ。]


[最後の大仕事か。]


[私、魔物戦は苦手なんですよね。]


[丁度暴れたりなかった所だ。]


皆やる気か。


[やろう、ステラ。]


俺は、手を差し出す。


[勿論!!]


ステラもそれを握ってくれる。


[ふむ、向こうもやる気だな。]


龍の方は既に、第2波を放つ準備を整えていた。


[仕方ない。

もう一度……]


リアが障壁を展開しようとすると、アインが前に出る。


[任せて…貰えますか?]


[出来るのか?アイン。]


リアは、前に出たアインに問う。


[やって…みます。]


熱線が放たれる。

距離はみるみる詰まっていき、俺達に直撃、しない?


[……成程、そういう事か。]


確かに見た。

アインの体が光に包まれたかと思うと、全長5メートル程の美しいプラチナ色の鱗を持つ龍の姿に変わり、光の障壁で熱線を防いだのを。


[何処ぞに居るのかと思えば、前世の力を思い出す前だった訳か。]


白銀の瞳に、大きな翼、鋭く伸びた一角は、神々しさすら感じる程だ。


[アイン…なのか?]


熱線を防ぎきった銀色の龍は、ゆっくりと此方を向く。


[……]


龍は、此方を静かに見つめている。


[アイン?]


徐に口を開く。


[どう…?]


[え?]


どう?とは。


[私の…龍になった姿……どう…かな?]


ああ、成程そう言う事か。


[ああ、凄く綺麗だと思うよ。

それに……]


やはり、男としては、本物の龍を見たら言わずには居られない。


[すっげぇカッコイイぞ!!

異世界に来たからには龍にも会えたりするのかなぁ。何て期待もしてたんだが、本当に会えるとはなぁ。]


べた褒めも良いところだが、男たるものカッコイイものがあれば、興奮するのは最早性と言える。


[ほ、本当?]


[ああ、勿論だ。]


[なら……頭…撫でて。]


そう言って、長い首を下ろす。


[おう、よーしよしよし!!]


願ってもない事だ。

龍の頭を撫で撫で出来るなんて、今日は槍でも降りそうだ。

まあ、今それ以上にやばい事になっているのだが。


[う…くす、ぐったい。]


そう言いながらも、アインの方も十分に嬉しそうだ。


[おい、取り込み中申し訳ないんだが。]


リアが、後ろから肩を叩く。


[ああ、すまん。]


俺は、名残惜しいが潔く離れる。

アインの方も、何故か残念そうだ。


[それでだ。アイン、あのバケモノを倒すには、神話時代でもトップレベルの力を持っていた、龍神王の血を引き、それを扱えるお前の協力は不可欠だ。

一番前に出てもらう事になるが、できるか?]


アインは頷く。


[まか…せて、ください!]


[何か、倒す策があるのか?]


あのリアの事だ。

あれの始末を、アイン1人に任すつもりでもないんだろう。


[ああ、勿論策はある。

だが、それをやるには必要な分の人員と時間が必要だ。]


成程、時間稼ぎか。


[それなら、俺も前線側に回るか。]


[そうして貰えると助かる。]


その気になれば、神すら相手どれる様な奴だ。

一点攻撃だけに気を配れば、恐らくとんでもない一撃を蹴り出せるだろう。


[私がこの魔法を使えば、恐らく体力を相当消耗する。

魔力は無限にも等しいから問題無いが、もしギリギリの所でミスりでもしたら終わりだからな。

魔力の操作を分割して、精密さを上げればそんな失敗もないだろう?]


[考えは分かった。

振り分けはどうするんだ?]


[ステラとクルス、シャルルには勿論魔力操作の方を手伝ってもらう。

リレイド、サイファー、クロト、ユリカゼ、アインはあれの足止めを頼む。]


[了解。]


今回は使う事は無いかもと思っていたが、やはり想定内の事態だけでは収まらないのは世の常だな。


[……]


リレイドや、剣聖、ユリカゼが跳躍し黄金の龍に向かっていく中、俺はそっと目を閉じて集中する。

その時間は極めて短かっただろう。

そして、発動する。


[オーバーオリジン……]


ーサード・リミッツー


体の奥底から、無限にも感じかれる様な魔力、力が込み上げてくる。

表面には、白銀のオーラを纏い、呼応する様にルミナスが唸る。


[良し、行くか。]


俺も後に続こうとした時だった。


[待って……]


呼び止めたのはアインだった。


[乗って…クロト兄さん。]


そして、背中に乗れる様屈む。


[わかった。]


俺は、無駄な問答はせず、一瞬で飛び乗る。

少しはゴツゴツしているかと思ったが、そんな事はなく、皮膚は柔らかい。


[クロトくん。]


アインが飛び立つ直前、ステラの声が掛かる。


[ああ、わかってるよ。]


[うん、なら良し行ってらっしゃい。]


アインが翼を羽ばたかせる。


[全速力で特攻します!!]


そして、とんでもない速度で飛び立つ、普通の人間なら、この風圧だけでミンチになるぞ。

まあ、今の俺はサード特有の白銀オーラの効果で全身が硬い鎧以上の耐久性で常時ガッチリと固められている、そうそうな事ではダメージを受けない。


[攻撃…躱します!!

掴まってください!!]


アインがここまでの大声を出す所は、俺でも見た事が無い。

前方に広がる龍の巨体の至る所から、黒い触手、熱線が弾幕となって襲いくる。


[……ッ!!]


アインは更に速度を上げて、降りかかる弾幕の雨と触手を掠りもせずに躱す。

俺は振り落とされない様にしながら、自分に当たりそうになった攻撃をルミナスで防ぐ。


[あいつの巨体スレスレを、全速力で飛んでくれ!!]


[わかりました……!!]


アインは攻撃を躱しながらも、着実に距離を詰めて、そしてほぼ数秒で黄金の龍の足元に辿り着く。


[ふっ!!]


俺は、アインの背中から飛び、足に掴まる。


[行けえぇぇぇぇ!!]


アインは直上に登る様に龍の巨体をスレスレで飛び上がっていく。

俺は、ルミナスを龍の皮膚に突き刺し、飛び上がる勢いを利用して、金色の皮膚を切り刻んで行く。


[……ッ!!]


アインが、龍から離れる。

俺も足から飛び上がる要領で背中に戻る。


[どう……?]


[正直出ごたえは微塵も感じなかった。

多分、ダメージは入って無い。]


流石に斬った程度でダメージになるとも思ってなかったが、そうなると、急所への1発が有効か。


[次の一発で少しはおせれば良いが……]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ