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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
最終章[終わりの時]
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最終章[終わりの時]第6話

[……]


何て返したら良いのか、俺には分からない。


[本当はね。

すぐにでもこっち側に戻ってこようとはしたの、けど、母さんは私がそうする事も分かってた。

だから、ある程度時間が経たないと魔石を使えない様にしていた。

その時の私は、母さんの言う私を護ってくれる存在を、信じてはいなかった。

そんな都合良く、私だけの為に全てを捨ててくれる人なんて現れないって、高を括ってた。]


ステラは、語る。

己が抱いてきた感情の全てを……


[とりあえず、頭の中にある情報を頼りに、私は異世界で少しの時を過ごした。

そして、一つの異常事態が起こった。]


[国からの追っ手か……]


ステラは頷く。


[そう、何故来れたのかは私には分からないけど、国からの追っ手は、容赦無く私を捕らえようとした。]


この世界に来た時に分かったが、向こうの世界とこっちの世界の人間は、体の作りその物が丸っきり違う。

長い短いの個人差はあるが、片方の世界に長く滞在すれば、世界の理に従って、完全に適応してしまう。

そうなってしまえば、色々と面倒な事になる可能性もあった。

別世界、時間軸と言ったものに対しての知識を、専門的に持っていた。

だから、あらゆる可能性を加味して、何らかの方法で、ステラを追ってきた。


[そこに、もう一つのイレギュラーが生じた。]


次は、リアが発言した。


[薄々気付いてはいたが、まさかお前が異世界人だったとはな。]


リアは勘が良い方だし、積み重ねた知識が故に、多少の超常現象くらい普通とばかりに説明できる。

対してこの世界に来てからの、俺の行動は粗末が過ぎた。

途中の苗字と名の交換であったりと言うのもその一つだ。

他の人達には、故郷とこの国での名前の表記の仕方が違うからなんやらと、無理の過ぎる理由をまかり通したが、リアには流石に通じていなかったか……


[黙っててすまない。]


リアは何も問題無いとばかりに言い捨てる。


[別に怒ってる訳じゃない。

確かに友として、もう少し早く打ち明けては欲しかったが…お前にも、ステラにも、何かしらの理由があった事は容易に想像がつく。

それを責める気にはならないさ。]


リアは、一泊置いて話を戻す。


[話を戻すが、クロトが2つ目のイレギュラーであった事については、あっているんだな?]


ステラは頷く。


[うん、私の方も、勿論向こうも、この問題に向こう側の世界の人間がここまで介入してくるとは思わなかった。]


まあ、イレギュラーって言っても、終始あの黒服にボッコボコにされてただけだけどな。


[そう言えば、襲撃する以上あの黒服の奴も出てくるかと思ったんだけど、姿を見せる気配すらないな。]


目の前の事に必死で、すっかりと忘れていた。


[確かに、ここまでの事をして、騎士団が出てこないのは妙な話だよね。]


俺とステラが考えていると、リアが何食わぬ顔で言った。


[ああ、多分そいつらなら……]


瞬間、それ程遠くないであろう場所から聞こえる爆裂音。


[[[……]]]


リアとクルスを除いた3人は呆然とする。


[この世界って、派手な魔法が多いわよね。]


クルスは何のリアクションも取っていないし、リアに関しては無関心。


[ん?ちょっと待てよ。]


索敵の範囲を広めて、爆心地の様子を断片的に探る。

そこには、二つの大きな気配があった。

それも、結構覚えのある。


[なあ、まさか騎士団とかそこら辺が出てこなかった理由って……]


リアはニヤッと不敵な笑みを浮かべる。


[ああ、そうか……]


そして、段々近付いてきている。

と言うより、もう目前だ。


[来たみたいだな。]


[……ん?]


右前方の茂みから気配。

そして、その気配は飛び出す。


[クロト兄さん!!]


そして、躱す間もなく抱きつかれる。

綺麗に伸びた黒髪に、ゴスロリの黒いお嬢様服を身にまとっている。

まあ、抱きついて来たのがアインなのだから、躱すつもりも無かったが。


[おお、アイン!!

元気にしてたか?]


アインとは、学園襲撃時に戻った時にも直接は話せなかったから、実質1ヶ月ぶりくらいだ。


[はい!!]


普段から大人しい性格のアインが、ここまで感情を露わにするのは珍しい。


[久しぶりだな。カザヤくん。]


そしてもう一人、実際に顔を合わせるのはアインと同じくらい久しぶりだ。


[まさか、こんな所で再会出来るとも思ってなかったけどな。剣聖。]


俺がこの男を呼ぶ時は、サイファーか、剣聖が殆どだ。

まあ、サイファーと読んだ事はほんの数回しかないが。


[学園を離れる前とは見違えたな。

あの男に認めさせるだけの事はある。]


その男、というのは、もしかしなくともリレイドの事だろう。

今この場には居ないが、俺があいつと行動していた事は既に知っていると言うことか。


[……あれから、学園の方はどうなってる?]


ユリカゼも、リアが出てからすぐに出た為、今の詳細は知らないそうだった。


[勿論、閉鎖中だ。

施設は元に戻っても、死者は元には戻らないからな。]


殺された生徒達の事だろう。


[……そうか。]


俺は、ただそう返す事しか出来ない。

激情に駆られるがままに、相手の国の兵士を何人も血祭りにあげた俺が、何か言えるとも思えない。

後悔はしていない。

だが、正しい事をしたとは口が裂けても絶対に言えない。

それを肯定してしまえば、連邦のやった事も肯定する事になってしまうからだ。


[……今は残った人員で、回収作業を進めている。

王都自体にも相当な損害があったから、そこまで大掛かりには進められてないが。]


一国に、それも不意を着いて攻められたのだ。

俺が言うのもなんだが、連邦の空間系魔法は、フローゼルのそれを上回っている。

計画も綿密だった。

1箇所から攻めれば、一人の実力者にあえなく潰される。

だから、王都の至る所に工作員が転移用の儀式場を作っていた。

そうすれば、多方面からの攻めで内制を混乱させる事が出来る。

逆に、そうでもなければ、リアとユリカゼが居ながら、あんな惨状にはなったはずがないからだ。


[これが終わったら、1度戻って来ると良い。

何、相手はそれ以上の事をやったんだ。

お前一人を免罪にするくらい文句は無いだろう。]


やはり、その事も知っているか。


[今回私が介入できたのは、それもあったからだ。

王国の兵士である私が、本来介入できない問題に首を突っ込んでいるんだ。

作戦の成功は絶対だぞ?

とは言っても、もう成功はしているみたいだが……]


サイファーは、ステラの方を一瞥する。


[君も無事なようで安心した。]


ステラは気まずそうだ。


[気持ちは分かるが、あまり自分一人で責任を負おうとするのは傲慢が過ぎると思うぞ?

人間どうしようもない事など無い方がおかしいのだ。

今回はそのひとつだと思えば良い。]


やはり、この男の教育者としての観察眼は凄まじいものだ。

証拠に、今のステラの心情を的確に見抜き、アドバイスを与えた。

ステラも、何処か気が休まったようだ。


[ありがとうございます。]


[教師としては当然の事だ。

ただ少し暴れ足りないがな。]


[一国の騎士団を相手取って暴れたりないとは……]

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