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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
最終章[終わりの時]
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最終章[終わりの時]第3話

[くっ、こいつらしつこ過ぎだろ!!]


掠れば終わりの超難易度。

クルスとクロトは何とか余力を残して避け続けている。


[ふん、避けてばかりでは話にならんぞ?]


この野郎、傍観決め込みやがって、早く来てくれ三人共。


[……]


避けているあいだ、微かに何かの気配を感じた。

瞬間、王室のステンドガラスを突き破って、巨大な剣を持つ男と、その男に抱えられた少女が突入してくる。


[ん?なに!?]


少女は、直ぐにしがみついていた男の腕から離れて、ステラの居る檻を取り囲む触手を、霊力により作り出した氷で、氷結させて、砕く。

入口からは、既にユリカゼが飛び出しており、触手の合間を縫って、檻に接近する。


[ぐ、しまーー]


[何処を見ている?]


王はすぐさま止めに入ろうと鎌を取り出し、檻の方に向くがそれがいけなかった。


[なっ!?]


背後には既に、巨大な剣を構えた男が距離を詰めており、今まさにその剣を横薙ぎに振りかざした。


[ぬあぁぁーー!!]


金属音の様な音を立てて、剣が王に命中すると、そのまま王室の柱目掛けて吹き飛ばす。


[遅くなった。]


[助けに来ましたよ!]


現れた二人は、シャルルとリレイド、今回の触手の相手をしてもらう2人だ。


[クロトさん!!]


ユリカゼが、俺を呼ぶ。

俺はすぐさま、周りの触手を打ち払い直行する。


[ステラは!!]


[無事です。

重度の呪いが掛けられている為予断は許しませんが、この程度ならシャルルさんが作った薬でどうにか出来るかと。]


良かった。


[作戦成功ね。]


クルスも、此方に飛び降りてきた。


[良し、俺達は作戦通りこのまま逃げよう。]


2人とも頷く。

ステラは、ユリカゼに抱えられて、若干息は荒くも落ち着いて居る。

だが、掛けられている呪いの純度がおかしい。

普通の人間なら、絶対に死ぬレベルの苦しみの筈だ。


[2人とも、後は頼んだぞ!!]


[任せておけ。]


[健闘を祈ります!]


それは、こっちのセリフなんだがな。


[感謝する。]


俺達は、王室を後にした。




[……行ったか。]


[はい。]


[…援護は任せる。]


[了解です。]


シャルルとリレイドは、崩れた王室の柱を睨む。


[貴様ら。

よくもやってくれたな。]


柱の瓦礫を吹き飛ばして、王が姿を現す。


[……]


[ふん、良いだろう。

ならば、この黒色の呪いを、存分に味わうが良い!!]


そう言うと、リレイドとシャルルを触手が一瞬で取り囲む。


[終わりだぁぁぁ!!]


[ふん、くだらん。]


触手は、いとも簡単に微塵切りにされ、シャルルの方は内側から爆散し粉々になる。



[なに?何故呪いが聞かない!?]


予想外の事態の連続に、王は冷静さを失って行く。


[簡単な話だ。

俺は霊装使い…まあ、傭兵ガブリエルと言えば分かるだろう。]


[傭兵ガブリエル…そうか、という事は、そこの娘が……!?]


[はい。シャルル・マーニと申します。]


やはり聖女か!!


[く……]


[ふん、やっと今自分が置かれている状況に気付いたようだな。]


幾ら呪いが強力だろうと、聞かなければ意味が無い。

精霊の力を自在に操れるシャルルと、霊装使いの中でも図一の実力を持つリレイド相手なら尚更だ。


[ぬ、う。]


リレイドは、巨大な剣を振り上げる。


[生きて帰りたければ、その身の鎌を一つで切り抜けて見せろ。]




[良し、呪いが完全に抜けました。]


[これで、一安心ね。

直ぐに目を覚ますと思うわよ。]


[ああ、本当に…本当に良かった。]


今俺達は、都を全速力で抜け出し、森の方に居た。


[お、居た居た。]


木々の掻き分けて1人の少女が近付いてきた。


[リア!!無事だったのか!?]


さっきの時点で気付いてはいたが、リアは恐らく、今まであの、俺をコンパンにした爺さん…ソロモンと戦っていた。

突如として両者の魔力が感じとれなくなった為、相打ちになったのかと思っていた。


[ああ、なんとか…な。]


それでも、無事という程では無く、体の所々が傷付いており、服も大幅に破けている。


[全く、こんなに無理して……]


クルスが、リアの傷に少し触れる。


[何を……]


[良いから、じっとしてなさい。]


クルスは、リアの傷を一つ一つ丁寧に治し始めた。

小さな傷は粗方纏めて治していたが、大きな傷に関しては一つ一つに回復魔法を掛けていた。


[これで…よしっと。]


[……礼は言っておく。]


リアがそっぽを向いてそう言うと、クルスはニヤニヤとリアを見る。


[どういたしまして。

そんな素直なリアちゃんには、一つプレゼントをあげないとね。]


クルスが指をパチンと鳴らすと、リアの破れた服がどんどん直っていき、気付いた時には新品同様の有様になっていた。


[……こっちに関しては、礼は言わないぞ?]


リアは、それだけ言うと、そこの木下に座って目を閉じた。


[疲れてたんだな。]


[でしょうね。]


でも、リアがここまでの重傷を負った上に、疲れて眠るなんて、初めてだった。

ソロモン…相変わらず凄いやつだった。


[……私も、ちょっと風に当たってくるわ。]


[あ、私も行ってきます。]


どちらにしろ、リレイドとシャルルが出てくるまでは動けない。

今のうちに、リラックスしておくのも良いだろう。


[わかった。あまり遠くに行くなよ。]


[わかってるって。]


クルスとユリカゼは、そのまま森の中を歩いていった。

まあ、迷っても俺の魔力を感じ取って転移すれば、分断されることは無いんだけどな。


[ん、しょっと。]


クルスを見送ると、俺も木々の傍にステラを膝枕する様に座る。


[……ごめんな。直ぐに向かいに行けなくて。]


そう言って、ステラの頭を撫でる。


[ん…んぅ……]


[え?]


このパターン…読めたぞ。

今までの経験からして、俺とステラが二人きり、そしてステラの方は寝ている。

うん、デジャブとはこの事を言うのだろう、いい加減覚えた。


[あれ…ここ、は?]


そして、次にステラは悲鳴を上げながら俺を殴り飛ばす。

感動の再会くらい、もっとどうにかならないものか……


[森?え、クロト…くん?]


[はい。クロトです。]


だんだん意識がハッキリしてきたのか、状況を認識し始める。

と言うより、クルスが場を離れた理由がわかった気がする。


[……]


しばらくの間沈黙すると、やっと口を開いた。


[夢みたい…また、君に会えるなんて……でも、でも!]


ステラは、瞳に涙を浮かべて、怒ったような表情をした。

何か違う気がするけど、この際何を言われようと受け止めるつもりだ。


[どうして…どうして来ちゃうの?

あんな、態々記憶まで弄って、もう助けにも来ないように、合わないようにしたのに……]


その涙は、次第に大きくなり、頬を伝う。


[……わかってる。

ステラの気持ちは…だけど、俺が…そんな事されても、お礼なんて言うと思うか?]


答えは否だ。


[分かってるよ!

そんな事……だけど、君なら、私が居なくても……]


[いーや、君は何も分かっていないし、これっぽっちも俺を理解出来ていない。]


ちょっとここは、キツく言わせてろらうとしよう。


[良いか?確かに俺にとって、リアやユリカゼ、シャルルにクルスにリレイドや学園の皆全員が大切な仲間だ。

だけど、ステラ…俺は何の為に遥々異世界にまで来たんだと思う?]


[それは…私の問題に巻き込まれたから……]


確かにそう言う面もある。

だけど、そうじゃない。


[まあ、半分はあってかもな。

だけど、あの時俺は、君を置いて逃げる事も出来た。]


[……]


[俺はな……君の為に生活全部かなぐり捨てて異世界まで来たんだ!

だから、勝手に縁切りみたいな事をされると困るんだよ。]


恩着せがましいにも程がある。

あの時勝手に巻き込まれたのは俺だ。だから、何が有ろうと自業自得というものだ。


[何で…そんな事言うの?

私は…ただ……]


ステラの涙はとめどなく溢れ出す。

後でちゃんと謝ろう。だから、今だけは言わないと!


[だから、それが駄目なんだよ。

人の事を思っての行為は尊いものだ。だけど、人ってのは誰かに大切に思われ関係を持った時点で、もう一人の命じゃないんだよ。

残された人は凄く悲しいし、苦しい……それが分からない君じゃないだろ?]


ステラは、涙を拭いながら答える。


[そんなのわかってる!!

だけど…それでも…私の事で、大切な人が苦しい目に会うのは、耐えられなかったの。]


[……君は優しい。

だから、簡単に自分を犠牲にできる…強い人だと思う。俺なんかよりも、ずっと……でもこうして、皆はお構い無しに助けようとする。

何でだと思う?]


[……分からない。]


まあ、それがわかってたら、こんな回りくどい方法をとる必要もなかった。

本人がちゃんと助けを素直に求める事が出来たなら、もっと状況は良かった。


[……それはな。

君が無意識の内に仲間に頼り頼られ生きてた証拠なんだ。

だから、俺達は君に頼った分頼られなくても勝手にお節介やくし、頼まれなくても勝手に手助けする。

友達って、仲間って、そう言う暖かいものだってのに、最近気付いたんだよ。]


俺の言葉が届かくったっていい。

だから、せめて……


[その通りだ。]


後ろから、少女の声がした。


[もう、起きて大丈夫なのか?

もっと休んでていいんだぞ?]


今さっきまで寝ていたであろう、リア・ニルヴァーナは、もう疲れた様子など見せず毅然としている。


[何年戦い続けて来たと思っているんだ?

お前ら普通の人間と一緒にするな。]


ああ、もうこの人自分で人外発言しちゃったよ。


[確かに、何処ぞの魔神さんとは結構な仲になったようだし、寝ているのも退屈だよな?

うんうん。]


[喧嘩を売っているのか?]


[おはようの挨拶だ。]


[独特な異文化とは、ここまで肌に合わないものなんだな?]


と言うより、俺はステラと話してたんだよ。


[とまあ、とにかくだ!

君は、ひとりで生きてるんじゃないんだからちょっとは頼ってくれってことだよ。]


なんかもう、シリアスな事を言う状況でも無くなってしまった。

まあ、言いたいことは全部言えたし良いだろう。こっちの方が後ぐされが無いような気もする。


[……]


ステラは俯いたままこっちを向かない。

何を思って、今までの言葉をどう受け取ったのかは、俺には分からない。

だけど、きっと届いたとは思う。


[……やっぱり、クロトくんには、適わないなぁ。]


しばらくの間沈黙した後、要約出た1つの言葉。


[うん。わかった。]


顔を上げて、涙を浮かべながらも笑顔で言った。


[クロト。]


[ああ、言ったからにはちゃんと最後まで責任持つさ。]

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