4章[救う為始まり]第21話
[ん?こ、こは?]
目を覚ますと、見知らぬ宿のエントランスらしき場所のソファーで寝かされていた。
[おはよう。]
クルスが隣のソファーに座っていた。
[……クルス!?]
それを認識した瞬間、飛び起きる。
[お前、あそこから出たら、もう二度と戻れないんじゃなかったのか?]
[うん。そうだけど?]
そうだけどって……
[……見たところ、ここは俺の居た世界だ。……あそこは、君の居た世界が元々あった場所だったんだろ?]
[そうよ。でもね、もう過去の事は良いの。]
言っている意味が分からない。
[でも……]
[とにかく良いの!!
それに……あなたが本当に心配するべきは、私じゃないでしょ?]
どう言う、事だ?
[ほら、わかったら愛しのステラちゃん、助けに行くわよ。]
そのまま、俺の手を引く。
は?何を言って……
[ちょっと、待ってくれ!]
[なに?]
クルスが、手を離して振り返る。
[どういう事なんだ?今の……
まるで、ステラはまだ生きてるみたいに……]
[みたいに、じゃなくて本当に生きてるのよ。それで、今も捕まってる。]
待て……待て待て!!
頭の整理が追いつかない。
ステラが生きてる?
だってステラは、俺の前で……
[1から全部説明しないと分からない?
あの子なら、好きな人の為になら、自分すら犠牲にしても可笑しくないでしょうに……]
[……だったら何で、クルスはそんな事を知ってるんだ?]
俺の言葉にたしいてクルスは、呆れたように言う。
[見てたからよ。ずっと……]
[どう言う、事だ?]
クルスは俯くと改めて俺の瞳を見つめる。
[あなた…この世界の人間じゃないでしょ?]
[……え?]
一瞬間抜けな声が出てしまったが、そんな事はどうでも良い。
それより今、確かに。
[知ってたのか?]
この事実は、ステラと俺しか知らない事のはず……一体なんで。
[まあ、ね。
一応私、魔神だし、世界と世界の間を移動している者が1人でも居たら、嫌でも目に付くわけ。]
[……]
[それで、あなた達が向こう側からこっち側に移動してきたから、ずっと暇だったし、そのまま見てたのよ。]
そうか、だから俺がソロモンに負けた時にすぐ助けられたし、過去についても知った感じだったのか。
[私から言えるのはこれだけ、後は、自分で直接彼女に聞くと良いわ。]
今の話からして、クルスの言っていることは本当だ。
なら……
[ああ、そうさせてもらう。]
ポケットの中にある。ステラから渡されたペンダントを握りしめる。
[全く、やっと覚悟が着いたか。]
[やっぱり、リアとユリカゼは知ってたんだな。]
[はい、私は少し前から。]
リレイドやシャルルも、聞いたみたいだな。
[俺は、勿論助けに行こうと思う。
それで、ちゃんとステラには怒ろうと思う。]
そりゃあそうだ。
自分勝手かもしれんが、彼女にはしっかりと仲間の大切さと言うものをご教授する必要があるだろう。
[ふむ、威勢は良いが、1人でそれが出来るのか?]
勿論出来ない。
だから、俺も虚勢を張るつもりはない。
[皆には、手伝って欲しい。
ステラを助ける手伝いをして欲しい。頼む。]
俺は、頭を下げる。
[……]
[クロト…私達が、頭を下げなければ引き受けないような、人でなしに見えるか?]
俺は、頭を上げる。
[友を救うのに理由はいらない。
ステラは私の大切な仲間であり、友達だ。]
リアがそう言うと、皆次々に思いを口にする。
[私は、あなた達2人に救われた身です。元より、惜しむ身もありませんよ。]
ユリカゼが、
[私は、そのステラさんとは、会ったことは無いですけど、クロトの大事な人なら、恩返しって言ったらあれですけど、私、手伝います!]
シャルルが、
[他でもない依頼主…いや、友からの頼みだ。このガブリエルも、力を貸そう。]
リレイドが、
[言う事は無いけど、私は、クロクロがそう言ってくれて、凄く嬉しいよ。]
最初から、最後まで知ってるクルスだからこそ言える言葉。
[良し!時間も惜しい事だし、準備が出来たら宿屋前に集合だ。久しぶりに全魔力惜しみなく振るえるんだ。リハビリ程度に全員転移させてやろう!]
リアはテンションが凄く高い。
[その事だが、少し良いか?]
リレイドが質問する。
[なんだ?]
[転移をするのは願ってもないが、この場にもう一人、長距離の複数人転移が可能な奴は居るか?]
リレイドの質問に対して、クルスが手を挙げる。
[私なら可能だけど…それがどうかしたの?]
[なに、二人いるなら、一塊になって行くよりは二手に別れた方が良いだろうと思ってな。]
確かに、基本的な事だが忘れていた。
[確かに一理あるな。
……だが、転移の欠点であるイメージ出来なければ使用できない点も、ずっと見ていたクルスならクリアされる。]
その場合、グループ分けは……
[まあ、こうなるよな。]
グループ1 リア・リレイド・シャルル。
グループ2 クルス・クロト・ユリカゼ。
前に俺が単独潜入した時は、1人でも十分だったくらいなんだ。
それを考えれば、これでもかと言う全力投球、間違いなくこの世界最強のメンバー。
[うむ、妥当な所だろうな。]
[戦力分布は良い感じだし、私も異論は無いが、3人はどうだ?]
[いえ、特には。]
[私も。]
[私もです。]
3人も大丈夫そうだ。
もう諦めていた事だ。
だが、思わぬ所でチャンスが巡ってきたんだ。
次は絶対に離さない。




