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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
4章[救う為の始まり]
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4章[救う為始まり]第16話

二人の攻防が、目まぐるしく展開される。


[ちっ……]


ハサナの剣術は勿論だが、リアの格闘術も中々のもので、無理には踏み込めない。


[そこだ!]


リアは、刹那の瞬間に小規模の魔力弾を放ち、ハサナの剣を弾いて飛ばす。


[ぐっ、ふぅ!!]


ハサナは、剣を取ろうとはせず、打撃を持ってリアを迎撃する。


[はあぁぁ!]


二人の拳がぶつかり合い、周りに降り積もる雪が、衝撃で吹き飛ぶ。

リアは、魔法メインで戦う戦闘スタイルの為に、自ら敵と激突して戦うやり方とは、離れたものがある。しかし、実際、リアの格闘術は、並の剣士や拳士とは比べも]]]のにならない制度を誇っていて、それは相手にとって脅威だと思わせるには十分すぎる程だった。


[ぐぅ……]


両者は互いの衝撃で弾かれ、距離をとる形となる。


[ふ、今の技も見きったぞ。さあ、次はどうする。]


[なに?]


ハサナは、自分の体が急速に重くなり、押さえ付けられるのを感じた。


[これは、重力魔法!?]


[当たりだ。とは言え今の私では無詠唱で使うのは無理だからな、お前と戦っている間にこっそり準備させてもらった。]


そう、リアは、ハサナとの戦闘中、悟られないように詠唱しながら戦っていたのだ。


[うむ、それで?このまま押し潰すか?発動は出来てもコントロールする程の魔力も無いのではないか?]


リアは肩をすくめる。


[確かにその通りだ。だが、重力魔法をメインの攻撃だなんて、誰が言った?]


[なに?]


[今から見せてやる。]


リアは、長文の詠唱を始める。


[我に宿るは星々の輝き、万物を統べる力……]


リアを中心に、粒子が霧散し始める。


[放たれるは破滅の流星、滅ぼすは我に仇なす愚者……]


[この詠唱、まさか!!]


ハサナは、今放たれようとしている魔法に、心当たりがあった。


[悠久の光を宿し、ここに集え、神越の意志達よ!]


勢いを増して霧散していた粒子は、一瞬でリアの体に集まり、無数の星々となって敵を滅する。


[極光流星・アルカナムインパクト!]


放たれた流星が、ハサナに襲いかかる。


[ぐわあぁぁぁあ!!]


光は留まる所を知らず、その者が破滅するまで続く。



[……終わったか。]


今まで、そこに人が居たとは思えない程の惨状、これを、たった一人の少女がやったのだ。


[恨むなよハサナ、お前相手では手加減する余裕は、今の私にはなかった。]


本来の実力を発揮すれば、殺さずに無力化する事も出来たのだろうが、彼女が万全では無かった事が、かえって彼を殺した。


[アルカナムの威力も、半分以下にまで落ちているな。回復を急がないと、ソロモンには勝てないな。]


ハサナとヤナクは曲がりなりにも主に忠実だった。ソロモンが武力行使を許可していないのに、襲って来たとは考えにくい。


[今更出てきて、何をしようと言うのだ。ソロモン。]




また、この感じだ。

これで2度目か、自分が自分で無いような、この気持ち悪い感情は……

クルスは身を呈して止めてくれたが、俺はまた、やってはいけないことをしてしまった。



[く、う……]


[目を覚ましたみたいね。]


傍には痛々しい傷を負ったクルスが居た。


[……!クルス、その傷……ッ!]


間違いなく俺が付けたものだ。

普通の人なら即死しているレベルの重症なのに、何故か全く治療していないし、クルス自身も、いつも通り笑みを崩さない。


[ああ、これね。全く本当に、こんな重傷を負わされたのは、何千年ぶりよ。]


明らかに無理してる、俺にはそう見えた。


[何呑気な事言ってんだ!!早く治療しないと……]


怪我を負わせた側の、俺が言うのも変だが、肩から腰にかけて切り開かれた傷口からは、今も大量の血が流れている。

血の海からは、学園での地獄すら思い出させられる。


[だから大丈夫だって。大袈裟すぎ。]


クルスは、まるで俺を相手にしない。


[仮に問題無いとしても、痛くないのか?]


[そりゃあ、少しは痛いけど。]


今の俺が行動に移すのに、その言葉以上のものはいらなかった。


[失礼。]


俺が、クルスに身を寄せて、傷口に手をかざす。


[なにを!やめてクロクロ!]


静止するのを聞かず、治癒魔法をかけようとした瞬間だった。


[なっ!?]


突如として、凄まじい痛みが俺の体を襲う。たまらず俺は手を離す。


[いっ……痛ぅ。]


[だから言ったでしょ。私には治癒魔法をかけると、その使用者の体に、治そうとしている傷の痛みが、直接伝わる呪いが掛かってるのよ。]


成程、今の痛みはそれか。


[そうか…ぐっ!]


俺は、尚も魔法をかけ続ける。


[なっ、何やってるの!?]


[やっぱりだ。確かに…痛みは帰ってくるけど……治らない訳じゃない。]


そう、確かに痛みは凄まじいが、治療魔法そのものが無効化される訳じゃない。

それなら、俺が痛みに耐えさえすれば良い。


[やめ……ッ!!]


クルスが俺を止めようと動くが、すぐに顔を歪める。


[ほら、やっぱり…無理してるんじゃ…ないか。]


体の至る所から血が吹き出す。

想像絶する痛みに、アドレナリンも意味をなさない。


[やめ、て。]


傷自体は深過ぎて、俺の治癒魔法程度じゃ治しきれないのだが、クルスには元々、凄まじい程の自己修復の加護がかかっているため、それのブーストととして使い物になればそれで良い。

傷はみるみる内に治っていき、数分もすれば、俺の体は感覚すら無くなっていたが、クルスの傷自体は大方塞がって、体に溜まったダメージは、自己修復の加護で何とかなるだろう。


[う、く……]


俺は、治癒魔法を解除すると、糸がプツンと切れたように、意識を失った。

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