3章[王都学園]第39話
[まったく......]
俺は、王都から20km程度離れたところにある隣町、ミュンに来ていた。
と言っても、学園長に頼まれて、仕方なく来ているのだが......
[あの学園長、最近俺の事をコキ使いすぎだろ......]
等と愚痴を溢しはするが、何しろ魔物被害で、とかなんとか言われたら断りたくても断れない。何故かって?まあ特に理由は無いが、強いて言うなら放っておけないと言う偽善的考えだ。
[......あれ?馬車がとまっていない。]
おかしい、この世界の馬車も、バスの様に決まった時間に停留所に居るはず、本来なら出発5分前くらいの時間だから、先に行ったって言うのも、まだ来ていないと言うのも考えにくい。
[あの、ちょっと良いですか?]
俺は、近くを歩いていた老人にたずねる。
[なにかな?]
[はい、俺馬車に乗って王都まで行きたいんですけど、停留所に馬車が停まっていなくて。]
老人は少し困ったように答える。
[ああ、君が王都の学園から魔物退治に来てくれた、学生か。]
[はい。]
すると、老人は申し訳なさそうに答える。
[すまないのう、何やら王都からの馬車が朝から帰ってきていないんじゃ、王都か、それまでの道で何かあったのかもなぁ。]
それは、初耳だ。
俺は昨日この町に来たため、馬車が通っているとばかり思っていた。しかし、何故連絡も無く急に......
[わかりました。何とかして帰る方法探してみます。]
俺は老人にお礼を言う。
[力になってやれんですまんのう、ワシはこれで行くが、何か困った事があったら頼るんじゃぞ?]
[ありがとうございます。]
そう言って、老人は去っていった。
[しゃーない、走って帰るか。]
今日の間には帰りたいし、何より嫌な予感がする。
それに、現在都を出ているのは俺じゃない、剣聖と学園長も同様に依頼で都を出ていた。こちらに関しては、帰ってくるのが一ヶ月後と言う長期遠征だった。
俺は町を出ると、少し離れたところで、覚醒者の力を解放する。
[よし、じゃあ早速......]
俺が走り出そうとした瞬間、周りが霧に包まれる。
[これは......]
この霧、見覚えがある。
[何のつもりだ?フレア・シュバリア。]
霧が晴れたと思うと、さっきまで誰もいなかった場所に、短い赤髪の男が居た。
[会うのは数ヵ月ぶりか、クロト・カザヤ。]
こいつはフレア・シュバリア、学園襲撃事件の時に、旧校舎の前で待ち伏せていた奴で、裏の仕事では彼の名前を知らないものは居ない。
[質問に答えろ。]
こいつが出てきたのには理由があるはず、それを聞き出したいとこらだが......
[たくっ、せっかちな野郎だぜ、まあ、強いて言うなら、足止めかな?]
足止め?
[......何のために?]
全くもって意味がわからない。
[そこまで答える義理はねあな。]
そう言って、男はそれ以上答える気は無いと言った様子で、よそを見る。
[......そうかよ、でもここで俺を足止めするってことは、俺が王都に言ったら困る理由が、そっちの依頼主にあるって言う訳だ。]
そう言い、俺は剣を抜く。
[何でかは知らないが、強行突破させてもらうぜ!]
シュバリアは、微動だにせず。
[まあ、そう急ぐな......]
俺は反射的に、飛び退く。
さっきまで俺の立っていた場所が、氷の牢獄と化していたのだ。
[少しは、ゆっくりしていこうや。]
俺は、侮れない相手だと、再度認識する。
剣聖と互角にやりあう時点で、予想はしていたが、今の魔法の発動速度、気付かれない様にする隠蔽能力、どれも予想を軽く越えている。
[断る!]
俺は[セカンド・リミッツ]を発動させ、特攻をしかける。
[ふっ......!]
シュバリアは不適な笑みを浮かべて、氷魔法を発動する。
[くっ......]
[やるじゃねえの......]
戦闘開始から、たったの5分しかたっていないが、お互いに体力は残っていても、精神面で疲れ始めていた。
それもその筈だ、シュバリアが使用する魔法はどれも、高密度、高威力、超高速の必殺級だ、迎撃しようにも高密度である事で壊れにくい上、数が多く全方位から変則的に放ってくるので、回避するだけでも、相当神経を使う、それは使用者である向こうも同じ様だが、このままではどちらかがじり貧で負ける。
[......]
俺が、相手を見据えて対策を練っていると。
[......やめだ、これ以上やっても負ける可能性の方が高い。]
シュバリアは、あっさりと降参を表明する。
[......どういうつもりだ?]
構えを解かずに問いかけると、すんなりと答える。
[今言った通りだ、このままやっても意味が無いからな。]
[何を言って......!]
まさか!?
[お前の目的は、まさか!?]
シュバリアが、またしても不適な笑みを浮かべる。
[さあどうだろうな、そんなに気になるなら、俺なんかに構ってないで、さっさと行ったら良いじゃねえか。]
[くっ!]
俺はセカンドを解除せずに、そのまま全速力で王都に向かう。
[頼む、俺の誤算であってくれ。]
もし、俺の予想が的中していた場合、最悪の事態が起きたと言っても差し支えない。
俺は、風すらも追い抜かして、王都を目指す。
受験終わって筆が進むは進む、軽い軽い、何か良いシナリオ書けそう!




