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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
3章[王都学園]
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3章[王都学園]第38話

[......]


リオは、医務室のベッドで眠っている。運び込んだ時は酷い傷だったが、医務室の先生とリアが協力して治療に当たった結界、大事には至らなかった。


[何でだ......]


一体何があった?

そんな事をひたすらに考えた、ここ数日、リオは欠席することが多かった、何をやっていたのかは、憶測に過ぎないが、彼女の素性を少しでも知っていれば、安易に予想できる。


[何で......闇になんか......]


闇、この世界とて、そう言った裏の世界は存在する。

非合法な事が行われ、それを生業として金銭を稼ぐ、そう言った世界が......


だからこそ、俺には不思議でならなかった、関わる事(・・・・)が多いからこそ、何故だか分からなかった。


[う、うん......?]


[ん?]


微かな声が、少女から聞こえた。


[......ここは。]


そして、目を少しずつ開く。


[医務室だよ......]


少女は俺の存在に気付く。


[聞きたい事があると言った、ご様子ですね。]


彼女は、冷静な声で、一切の淀みなく告げながら、身体を起こす。


[当たり前だ......]


俺は少し怒りのこもった声音で告げる。


[......何が聞きたいのですか?]


尚も彼女は冷淡に、変わらない表情で聞く。


[......君ほどに、あそこの恐ろしさを知っている人間が、どうして手を出したんだ?]


あそこ、と言うのは、勿論闇の事だ、確認してはいないが、ほぼ確定していると、俺は踏んでいるため、そう言った過程を省略する。


[はて、私が何に手を出したんでしょうか?]


悪魔でしらを切るつもりらしい、その態度に、幾らか怒りを覚えた俺は、声はあらげず静かに問いただす。


[本気で言っているのか?]


[......]


リオは大してリアクションをとらず、ただ静かに言葉を紡ぐ。


[一体何......]


[ふざけるんじゃねえよ!!]


尚も知らばくれようとしたので、俺は全力の怒りを吐露する。


[......]


[本当に何もしていなくて、隠す必要のあることが何も無いなら、そんなポーカーフェイスで繕わずにそのままで言えよ!!今の君が明らかに冷静(・・)だから言っているんだ!!]


彼女の冷静には、二つの意味がある、一つは、どんな非常事態にも動じない冷静さ、もう一つは......相手に悟られないようにする冷静さだ。


[......]


リオは何も言わず、ただ罰の悪そうな顔をして背ける。


[はぁ......もう一度聞く、何であそこに手を出した?]


今度は背けられないように、顔を両手で此方に向けて、真っ直ぐに目を見て、冷静に問いただす。


[......]


        *


彼の眼光は鋭く、本当に同い年だとは思えない程の威圧だった。

わかっている、彼に隠し事をしたところで、そんな小細工は通じない、彼の目は、全てを見通す様に、だが、しっかりと聞き取れる様に向き合っている......言うしかない。


[わかりました。全てを話します。]


結局此方が折れてしまった。

今回の件の発端を知れば、彼は必ず黙っていない、きっと何かしらの行動にでる、自分の無能さに、心底腹が立った。


[感謝する。]


クロトは、手を離す。


[ふぅ......ここ最近のことです。]


そんな心境など全くもって表に出さず、話を始める。




[私の両親が、暗殺稼業の関連で死んだことは言いましたよね?]


[ああ。]


[それなら、それを踏まえて話をします。]


一つ確認した、実は先日奴隷商会に潜入する前の日に、両親の事について聞かれて、その事についてはあらかた話したので、それを踏まえて話を出来るのは助かる。


[私の家、ネメアの血筋は代々暗殺稼業を営んでいました。勿論両親もしていましたし、私もこの学園に来る前は闇の世界で働いていました。]


順を追って、話を進めていく。


[暗殺の全てに闇が絡んでる訳でもないのですが、ネメアの名は今でも裏では有名です。]


彼は静かに話を聞いている。


[ここからが本題なのですが、今回私は確かに闇に手を出しました。そこは認めます。ですが......]


少し言い淀んでしまったが、意を決する。


[ですが......仕方がなかったんですよ。]


明らかに冷静な話し方では無いのだろうが、そんなことは、この際どうでも良い。


[どうしてかって?決まってる、あの人達は、この期に及んでも貪欲だった、私だけの為に、私の大事な人達すらも利用しようとしたんだ、だから......仕方が無かったん、だ。]


何を言っているのか自分でも分からなかった、だが、彼は顔色一つ変えることなく静かに聞いてくれた。


[また同じ様な事になってしまうのが凄く怖かった、父さんや母さんの時みたいに、全てをズタズタに引き裂かれてバラバラに千切られるのが、耐えられなかった。]


そこでようやく、彼が口を開いた。


[だから、自分一人犠牲になって済まそうとしたのか?]


私は、首を横に振った。


[......分からない。だけど、気付いた頃には既に事が進んでしまっていた。]


[......そうか。]


[だけど......]


もう全てを吐き出したかった。


[だけど、殺しの依頼をこなすとなると、凄く怖くなって、失敗して、捕まって、結局消される寸前まで行ってしまった。]


涙すらも、流したって良い、ただ言いたい、ずっと前から言いたかった事を......


[だから......救いが欲しかった、助けて欲しかった。]


彼とは、関係自体はそこまで深くは無い、同じクラスで、何度か依頼を共にして、何度かグループを組んだだけだ、確かに世間話の一つや二つはしたことがあるが、それっきりだ。なのに、この人はここまで私を心配してくれた、それが全ての切っ掛けなのだろうか、そうでないのか、分からないけれど、彼は本気で怒ってくれた。


[わかった。]


恐らく、奴等の所に行くのだろうと、確信は無いもの、そう私は感じた。


[......]






薄暗い部屋で、三人の男と二人の女が談笑していた。


[ボス、まさかネメアの血筋があそこまで使えないとは思いませんでしたね。]


[そうだな、とんだ無駄金叩いたもんだぜ、所詮平和に濁された小娘だったと言う訳か......]


二人の男がソファーに座って話している。


[最初は結構驚いたもの、まさかあんな子供が、あの最強の殺し屋に名高いネメアの直結だなんて、あんたら三人は知ってたみたいだけど......]


そう言って、一人の女がテーブルにグラスを置く。


[まあな、親と同じで無能な事にはかわりなかったが......]


そこまで言った所で、部屋の空気が一変する。


[誰だ......]


暗闇に向かって、男が問う。


[答える必要あるか?]


[......!?]


気付いた時にはもう遅く、一瞬で伸される。


[何だ、お前、何故、俺達を......]


濁りの無い黒髪、そして透き通るような業物を携えた少年は、振り返って口を開く。


[お前らが、俺の大切な友達を傷付けたからだ......]


クロトが、これ程にも早く行動できたのには理由がある。

まず一つ目に、間違いの無いと確信できる情報、二つ目に、学園長からの協力があったから。

情報に関しては、リオを運んでいた奴等に、許可に関しては、俺が言うまでも無くオッケーだ、まあ、あの学園長に関しては生徒たちを、我が子の様に思っているので、そんな事があれば怒りを燃やすのは当然。


[向こうも、そろそろ終わる頃か......]


今回行動したのは、何も俺だけじゃない、ステラ&アイン、リア、ユリカゼが同時平行して、他のアジトを潰していた。裏の世界で生きるもの達は、絶えず拠点を変えて、姿を見せないために捕まえるのは至難の技なのだが、それでも一日は潜伏するので、俺達であれば、それだけ時間があれば充分だ。


[ここで最後か......]


そこは、都の外れにある廃墟で、潜伏場所はここで最後だ。


[よいしょっと。]


重々しい扉を開けると、そこには......


[なっ!?]


廃墟の中は、開けていて、そこには何人もの闇の商人達が伸びていた。


[一体誰が......]


俺はとりあえずその商人達を引き渡して、学園に戻った。



数10分前......


[他の同業者の奴等がどんどんやられていってる、ここも直ぐに離れないと不味いかもな。]


数人の男たちが話している、そこに一人の声が追加される。


[国外に逃れたからと言って、本当に逃げ切れると思っていたのか?]


[この声、まさか!?]


男達は一斉に振り向く、そこには、高身長の男すらも上回る程の巨大な剣を持った男が座って居た。


[何故、お前がここに......どうしてこの場所がわかった!?]


[答える義理は無い......]


そう言って、男は巨大な剣を片手で振り上げる。


[に、逃げろ!!]


[もう遅い......]


その時には既に遅く、男は攻撃を終えていた。


[馬鹿......な。]


全員が次々に倒れる。


[任務完了、これより帰還する。]


一瞬の時だが、それが過ぎた頃には、その場所に男の姿は無かった。




[あの廃墟にあった、遮蔽物の殆どが縦に一刀両断されていた。]


調べはしたものの、目ぼしい情報は見つからず、調査は取り止め、俺はとりあえずリオの回復を喜んだ。


[クロトさん。]


廊下を歩いていると、背後から声をかけられる。


[ん?何だ、リオ。]


声の主は、リオだった。


[いえ、役に立つかはわからないのですが、闇に居た時に気になる情報を耳にしまして、伝えた方が良いかなと......]


リオは、俺に近付くと、耳打ちで話してきた。


[なにやら最近......が、......みたいです。詳しい事はわかりませんが、気を付けてください。]


リオから聞いた情報は、内容としては直接的には関係の無いものかもしれないが、欲していた情報の一つではあった。


[わかった、ありがとう、リオ。]


[いえ、助けてもらったお礼です。それでは......]


リオは、足早に去っていった。


[遂に動いたか......]


俺は窓の外を見る、これから状況は、大きく動く事になる。




[王よ、準備が出来ました。]


男の騎士が膝まずく。


[そうか、ならば行こうか、我が儘な娘を迎えに。]


玉座から男が立ち上がる。

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