3章[王都学園]第28話
あれから早3週間、結構何事も無く日々は進んでいた。
[そう言えば、もう少しで年末か......]
この世界には長期休みと言う概念が無い、つまり夏休みも冬休みも無いのだ。
[残念、この世界には年越し特有の行事とかイベントは無いよ。]
[やっぱりか......]
この世界の常識は、俺のもといた世界の常識とは当たり前だがずれている、考えてみれば当然だ、世界そのものが違うともなれば、そこに住む人の文化も営みも違う、その証拠にこの世界の中学は4年制だ、本当なら俺はもう少しで卒業なのだが、この世界に置いては後一年で卒業なのだ。
[クロトくんは卒業までこの学園に居るの?]
[......そうだなぁ。]
少し考える、本来なら後半年くらいで極祭と言う、行事があって、それさえこなせば後は自由にして良いとの事なのだが。
[俺は残るつもりだよ、せめて卒業まではな......]
当初はその時が来れば去ろうと考えていたが、この学園での生活は、俺の凝り固まった学校嫌いすらも変革させた、思った以上にこの学園での出来事と思いでは大きかったのだ、ならば最後くらいまで居て、皆と同じように学園を巣立つのが、ある種の道理と言うやつだろう。
[良かった。]
[何がだ?]
ステラは少し微笑すると、
[クロトくんが、残りたいって言ってくれて嬉しかったってこと。]
[当たり前だろ、この学園での思い出は何も一つじゃ無い、色んな奴と色んな事をした、勿論ステラとも、だったらすぐにでも去りたいだなんて、どうやったら言えるんだよ。]
俺は思った通りを口にした。
[それも、そうだね、だったら後の一年はもっと楽しいものにしよ!]
[勿論だ。]
俺とステラはそこから授業に分かれた。
季節も過ぎ去る思い出も、どれもかけがえの無い日常。
ある真冬の日の事、その日は休日でステラと郊外に出て遊ぶ約束をしていた。
[うぅ、寒っ!?]
現在この世界は、日本で言うところの二月だ、雪は積もっているし滅茶苦茶寒い、俺も流石に町で防寒着を買っていた、と言ってもマフラーだけだが、後は冬ようの制服だけだ。
[また制服で来たの、クロトくん?]
[まあな、おはようステラ。]
[おはよう、まあ別に良いんだけど、この学園の制服って結構デザイン良いし。]
煮えきらない皮肉だ事。
[それじゃあ行くか?]
[エスコートしてくれるの?]
[男として当然だ。]
まあ条件反射で行っただけなのだが。
都郊外
[この時期になると郊外も人が多いな。]
[確かにそうだね、この辺は都からそこまで遠くないし、結構遊び場としては良いのかも。]
子供の連れや、カップル、色んな組み合わせが存在するなか、俺らは一体どの部類に入るのだろう。
[と言うより、今日って何するんだ?]
疑問に思ったので聞いてみる、最初は俺が考えると提案したのだが、自分で考えると言っていたので任せてみた。
[散歩。]
[散歩?]
[そう、散歩、やっぱり嫌だったかな?]
俺はかぶりを振る。
[いや、そんな事は無いけど、何で散歩なんだ?]
[確かに何か特別なプランをたてるのも良いかなって、思ったんだけどね、降り積もった雪世界を楽しみながらの散歩も中々良いかなって。]
[ああ、成る程、それなら目一杯この散歩を楽しまないとな?]
ステラは笑みを浮かべる。
[勿論、そのために出掛けて来たんだから。]
俺はこの笑顔が好きだ、多分それは異性として認識した上で、なのだろう、だからこそ......
[あのさ、ステラ......]
[ん、何?]
俺は少し口ごもる。
[いや、やっぱりなんにもない、それより行こうぜ!]
俺は話をそらした、だけど後で後悔した、この場で気持ちを伝えておけば良かったと......




