3章[王都学園]第25話
外は大体昼前くらいになっていた。
[待たせたな、本気を見せてやるよ......]
俺は、詠唱完了の状態で保持していた、魔法を発動させる。
[付与魔法、ゼロ発動。]
自身の武器か、自身にのみ付与できる、魔力をゼロに出来る魔法だ。
ルミナスの魔力が綺麗さっぱりなくなる。
[煌皇剣ルミナス、神具解放・覚醒!]
散らばっていた、魔力も全て刀身の内側に凝縮される、それと同時に、今までは透き通る様な銀色だった刀身が、極薄の金を帯びる色へと変わる。
これが、神具の第三段階目の力、覚醒だ、自身の持つ中で最高の適性度を持つ属性の魔力だけを、一度空にした神具の中に凝縮することによって可能になる高等技だ、簡単言えば、この状態であれば、神具解放を何度でも連発できると言うことだ、勿論打ちまくれば持続する時間も減るため、ところ構わず撃てるわけではない。
[今の俺の魔力で何れくらい撃てるのか、決定打は一瞬。]
俺は両手で柄を握って、腰の辺りに据える。
[グゥラァァァ!]
悪魔がものすごい速度接近してくる。
[......]
俺は、悪魔が目前に迫った一瞬を捉えて......放つ。
[ふぅ!]
切り上げと共に魔力を解放して、光の奔流を放つ。
[グルゥ!]
数百メートル先までの地形がことごとく抉れる。
威力その物も、前に神具解放を全力で撃ったときの比較にならないが、それは単に、俺の純粋な力量と魔力量、そして質が上がっている証拠なので、素直に嬉しい、だが......
[出来ればこの一撃で終わってほしかったんだけど......]
数十メートル先に、ボロボロの悪魔が膝をついている。
[まあ......]
[グルゥァァァ!!!]
魔物は復活する。
[そう簡単にはいかないよな。]
俺はあらためて剣を構える。
ステラ達は、出口に向かって引き返していた。
[今の、感じたか?]
[......はい。]
[うん。]
リアちゃんが質問してくる、それもそのはずだ、今感じたのは純粋にあの魔物すら凌駕しうる程に研ぎ澄まされた、少年の魔力と、その一撃。
[......]
これが、クロトくんの魔物に向ける本気の力......
圧倒的だ、その本質が見えるからこそわかる。
[ここまで強くなるとわな、嬉しい誤算だ。]
私にだって見せなかった本気、ちゃんと見せてもらうよ。
[グルゥワァァァ!!]
やはり、基本的な能力自体は凄まじい、あの死神を軽く凌駕している。
[......]
セカンドリミッツを発動しているため、多少の被弾はものの数でもないが、こっちは一発の火力で勝負しているため、それをぶつけるタイミングを図る必要がある。
[ブルゥ、グワァ!]
魔物の蹴りを、威力を殺しながら受けるが、吹き飛んだ隙を狙って、顔を捕まれ、空中に投げられる。
[そう簡単に......]
悪魔は、空中に居る俺を追撃するべく跳躍する。俺は体勢を立て直さず、魔力解放の準備をする。
[やられるかよ!!]
大型の太刀での追撃を、身を翻して回避し、魔力を解放する。
魔物を飲み込んだ光は、空中で爆裂する。
[......]
俺は、草原の芝生に着地する。
魔物の胴体が、勢いよく落下してきた。
[今のでも駄目か。]
魔物の胴体は、炎のような魔力を放って、再生する。
[......]
もう一度、魔力解放の準備をする。
ルミナスは、強烈な光を放つ。
[ウガァァァァ!!]
俺は、ルミナスを上段に構える。
[そろそろ......]
魔物の太刀での斬撃を、指先で掴かみ止める、そして、そのまま指先に力を込めて、太刀を粉々に砕く。
[グルゥ!?]
流石の魔物も動揺する。
[消え去れ!!]
ルミナスを降り下ろす。
今まで以上に高められた光が、魔物を飲み込む。
[......]
砂煙が晴れる。
[?魔物がいない?]
手応えはあったが、完全に消し飛ばした自信も無い。
一体どこに......
[............!!]
探していた魔物は背後にいた、だが、気付いたときには少し遅く。
[ウガァァァ!!]
[ぐっ......ッ!!]
受け身を取る間もなく、魔物の拳骨は俺の腹にまともに入る。
[ウゥゥ、ガァ!!]
そのまま俺を吹き飛ばす。
[くっ......]
俺は空中で体勢を立て直し、着地する。
油断した、まさかあの一瞬で再生して背後に回り込むなんて。
大岩が俺めがけて飛んでくる。
[ふぅ!]
俺は、飛んでくる大岩を、全て弾き飛ばす。
[......]
俺は飛んでくる悪魔めがけて、跳躍する。
[はぁ!]
魔物の迎撃をいなして、回し蹴りをお見舞いする。
[グルゥアァ!]
勢いよく吹き飛んだ魔物は、地面に激突する。
[......]
俺は着地と同時にこう唱える。
[フルバインド......]
魔物の動きが止まる。
[やっと捕まえたぜ、覚悟はいいか?]
魔物の目の前まで接近した俺は、ルミナスを両手で力強く握り、上段に構える。
[グラァ!グワァ!]
魔物は、必死に拘束から逃れようとするが、びくとも動かない。
[実際に触れてバインドを施したんだ、動けるわけ無いだろ。]
そう、さっきの回し蹴りはこの為だ、俺だって魔力を解放するには回数制限がある、こいつを倒すには、ただ単に当てるだけでは駄目だと判断した結果だ。
[グワァァァ!!]
[終わりだ......]
俺は、ゼロ距離から魔力を解放し、光の奔流で悪魔を完璧に飲み込む。
[グルァ......]
魔物は、うめき声をあげて、周りの地形ごと消し飛ぶ。




