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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
3章[王都学園]
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3章[王都学園]第21話

遠回しに言っていたようではあったが、要するに俺の持つ力は、武運不相応な力だと言うことだ、それをコントロールする技術も、使いこなすだけの度量も全く足りていない、リアが言っていたのはそう言うことだ。


[力の制御......]


俺は、覚醒者の力を、限界以上の所まで高めてみる。


[くっ......]


やはり、力が何処かで空回りして、

空中分解してしまう。


[一瞬だけ高めるなら、その一瞬の間だけ、意識を集中し続ければいい、集中力が続く限り、高めた状態を維持できる......だけど。]


そうじゃない、俺がやらなければならないのは、力を限界以上に高めた状態を、常時維持することだ。

つまり、意識を集中させていなくとも、無意識かで力を維持する必要があるのだ。


[だけど、どうしたら......]


通常状態での覚醒者ならば、コツを掴めればある程度まで伸ばせた、だけど、それ以上ともなれば、そうもいかない、俺はずっと、鍛えが足りていなから、力を体が受け止めきれないのだと思っていたが、リアが言うには、そう言うことでは無いらしい。


[重要なのは、心......か。]


技術も磨いて行けばどうにかなるものなのだろう、だけど、それじゃあまだ足りない、確かに思ってはいたが、

この世界において強さと言うのは、本人の精神的な状況と深く結び付いているらしい、例えば、本気で怒ったり、

人を憎んでたりすれば、それに結び付いた力に変化するし、心が成長していれば、その分強大な力が引き出せる。


[覚悟が、足りないんだろうなぁ......]


俺は遠くを見据える様に呟く。

俺には、この期に及んで足りていないのだ、戦いと言うものを百パーセント受け入れると言う事が......


[だけど、それが出来なきゃ大切なものを失う。]


俺は、歩き出す。

覚悟を決めるために......



[え、私に一戦相手をしてほしい?]


俺は、ステラを訪ねていた、幸い寮に戻っていたので、直ぐに見つけられた。


[ああ、頼む。]


俺は、真剣な表情でお願いする。


[良いけど、いきなりどうしたの?]


ステラは、疑問を投げ掛ける。


[......何て言えば良いのかな、覚悟が決めたくなった、ていう感じかな。]


勿論この一戦に意味があるのかはわからない、でも、なんとなく意味があると思ったからなんだろう。


[ふぅん、良いよ、それで、何処でやるの?]


[演習場を借りようと思う、許可なら剣聖に出してもらった。]


正直場所自体は何処でも良いのだが、俺達二人が戦うとなると、そこらじゅうがクレーターだらけになることも考えなければならない。


[うん、わかった、準備するから先に行ってて良いよ。]


ステラは部屋着の状態なので、それもそうだろう。


[ああ、それじゃあまた後で。]


俺は寮を後にした。


演習場の扉が開く。


[ごめん、待たせたかな?]


入ってきたのは、銀髪の少女だ。


[いや、いきなり誘ったのに来てくれただけでもありがたい。]


正直いきなり押し掛けて一戦やって欲しいだなんて、常識が無いにも程があるが、彼女は嫌な顔一つせず引き受けてくれた、そんな彼女に敬意を表して。


[それじゃあ......]


[うん......]


両者ともに雰囲気が変わる、臨戦態勢だ。


[......]


[......]


ほぼ同時に武器を抜くと......


[......!]


俺が先に踏み出す。

ステラは遠距離型だ、先に攻撃を仕掛ければこっちが有利な方向に持ち込める!

だが、その考えは甘かった。


[予想通りだよ!]


弓を上に投げたかと思うと、手のひらをこちらに向ける。


[何!?]


弓を投げたのはフェイク、狙いはそっちに気をとられた俺の懐に入ること。


[護身術は君の専売特許じゃ無いんだよ!]


一瞬で懐に入り込んだステラの掌底を見事に被弾する。


[ぐっ!?]


俺は後方に吹き飛ぶが、体制を建て直して着地する。


[......]


ステラは元の位置に戻って、弓を掴む。


[勝負を急ぎすぎ、もっと冷静に立ち回らないと私みたいな格下の相手にもやられかねないよ。]


全くもってぐうの音も出ない。


[......そうだな、それじゃあ小細工はもう無しにする。]


[......!]


俺はルミナスに魔力を込めて構える。


[はぁぁぁ......!]


ルミナスの特性をフルに生かせる条件は、魔力の温存をしないことだ、溜め込んだ魔力の量に比例して性能が数倍以上にも羽上がるのが持ち味だ。


[やっと本気を出してくれたね、それじゃあ私も......]


ステラは片手をつき出すと。


[ミルキーウェイ......]


無数の矢が生成される。

これは想定の範囲内だ、だが......


[まだ、流星・スターダスト......]


矢が一斉に掃射される、だがこれちらも充分に魔力を試させてもらった。

俺は空中に飛ぶと、ためた魔力を一気に放出する。


[はぁ!!]


オメガライトニング


[へえ、流石に対策はしてるとは思ったけど......]


圧倒的な魔力の咆哮で矢を全てかき消したのだ。


[でも、メインはこっち......]


もう一本、一体何を......

俺の魔法は発動中だ、これを押しきられることは考えたくないが。


[彗星・プリズムクルセイダー!]


高密度の魔力砲が放たれる。


[まずい!]


回避行動を取れず、まともにくらう。


[......]


俺は何とか建て直して着地する。


[クロトくん......本気、出してないよね?]


[いや、そんなことは......]


[わかってる、やっぱり上手く力をセーブしようとしてるんだよね......]


俺は、押し黙る。


[今日はここまでにしよっか。]


[......え?]


ステラは少し暗い顔をしていたが、いつもの明るい表情に戻っている、だが......

このままで、良いのか、本当に......

俺は自問自答する。


このまま終わったら、何のために......

俺は立ち上がる。


[待ってくれ......]


ステラは振り向かない。


[......くっ!]


[待てって、言ってるだろうが!!]


何故だろう、本気で言わなければ、このままステラとの間に深い溝が出来ると思ったのだ。


[......]


ステラは驚いたような顔をして、こちらを向いた。


[まずはすまなかった、本気でやらなかったことは謝る、だから俺も、この戦いで新しい進化に挑戦してみようと思う。]


だが、ステラの方だって本気を出していないと言う面では同じだ、だからそれを引き出すためにも、俺が本気でなきゃいけない。


[......]


体全体に魔力を集中させる、成功する確率は恐らく5分の1程度も無いだろう、だが......

思考を巡らせる間にも、進化は次の段階へ次の段階へと、進んでいく。

後少し、後少しだ。

一つでも狂いが生じれば失敗する電子顕微鏡並みの精密な操作、これが終わればサイクルが回り出す。


[......ふっ。]


俺は、少し笑みをこぼす、成功した。


[セカンドリミッツ開放......]


身体中からオーラとなって溢れ出す魔力、それを体の中に静かに押し込める。


[驚いたなあ、まさか本当にやっちゃうなんて......]


流石のステラも驚きを隠せない様だが、何だが嬉しそうだ。


[俺は本気を出した、次はそっちの番だぜ?]


[......何の事かな。]


ここまで来て普通しらを切るかよ......


[流石にそれはどうかと思うぞ?]


ステラは少し罰の悪そうな顔をしたが......


[わかった、でも大怪我しても知らないよ?]


[勿論。]


俺は軽く答える。


[全く、調子良いんだから......]


[............。]


小声で何かを詠唱した。


[完了、それじゃあ行くよ、クロトくん。]


準備は終わったようだ。


[ああ......]


しばし緊張したあと、ステラガ動く。


[発動!!]


無数の光の矢が生成されると同時に発射される。


[......!]


俺はそれをかわしながら、対策を練る。


ミルキーウェイとスターダストの詠唱省略の同時発動とか、今のステラの体内魔力濃度は一体どうなっているんだ!?


[まさか......]


俺は全方面に魔力をごく少量飛ばす。


[やっぱり......]


俺は魔力を飛ばすことによって、周囲の元素の流れと量を見たのだ、音の反響を利用した策敵スキルと同じで、飛ばした魔力に少しでも変化があればそこに元素がある。

まさかとは思ったが。


[まさか、こんなところであれを使うはめになるなんてな......]


念のために秘策を用意しておいて正解だった。


[本当は、もう少し使いこなしてから解放しようと思っていた段階の力なんだけどな。]


俺はルミナスに魔力を完全に霧散させて空にする、光はたちまち消えるが、これが狙いだ、ここに光の魔力だけを高出力高密度で纏わせる、神具の二段階目の力、神具解放の応用技、解放時の力を持続して付与する技だ、最奥の力では無いが、今の俺の秘策はこれで最後だ。


[完了だ、とは言えまだまだ調整段階だからな、一撃必殺なのは違いないが......]


俺は流星をかわしながら、ルミナスの状態そのものが変化したのを確認すると、距離を詰める。

勝負は一瞬、ステラの懐が空いた瞬間を縫う。


[......]


[今だ!!]


ステラの魔法の出力が若干弱まる、その隙をついて、渾身の一撃を放つ。


[......!]


止められたのだ、その剣を。


[怪我じゃすまないぞ、それ以上は......]


[リア......]


俺は剣を引き、おさめる。


[そう、だな......ステラはそれでも良いか?]


しばし絶句していた、銀髪の少女は慌てたような反応をとって。


[勿論だよ、それに......]


[それに?]


ステラは何か言ったかと思うと、急いで寮に戻るといって帰っていった。


[何だったんだ?]


[......ほう。]


リアは成る程と言った感じに納得している。

本当に何なんだ。

俺も今日はそのまま寮に戻った。

結局肝心な事も聞き忘れてしまった。

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