3章[王都学園]第13話
今俺の目の前で起こっていること、それは俺が、懸念こそしていたものの甘く見ていた事案のひとつだ。
[......選手交代だ。]
俺は彼女等を圧倒した、そいつと相対する。
[今日で最終日か。]
そう、今日で学園祭は終わり、思えばこの学園に入学してから長かったような短かったような。
[何黄昏てるの?決勝戦もうすぐだよ。]
[ああ、すまない。]
[まあ、クロトさんも疲れてるんだと思いますよ。]
ユリカゼがフォローを入れてくれる。
[二人とも、最後の相手は恐らくただ者じゃない、控えの奴は特にだ、絶対に油断するなよ。]
[わかりました。]
[もちろんだよ。]
さあ、お手並み拝見といこうか、第二学園の頂点。
[はじめ!]
試合が始まる。
[最初の二人は、あの二人なら恐らく余裕だろうけど......]
俺の誤算であってくれよ。
[ダウン!]
片方は倒した。
[後の一人もステラさんなら大丈夫だ。]
状況を確認していると。
[......!]
相手の控えにいた男が、特攻を仕掛けてきた。
[ぐっ!]
腹に重い一撃を入れられる。
何て言う重い拳だ、油断していたのもあるが、反応しきれなかった。
[っ!はぁ!]
追撃を避けるため、握っていた刀を逆手持ちに替えて反撃する。
[ふっ......]
勿論かわされるが、その隙を付いて距離を取る。
[......やりますね。]
赤色の髪の男が口を開く。
[貴様もなかなかの使い手だな、流石は無敗女王と言ったところか。]
[今は無敗ではありませんが、そちらこそ第二学園始まっての天才と言うのは事実のようですね、天使の申し子......ライガス・アルチナ。]
そう言って、私は刀を構える。
[良かろう、掛かってこい!]
[っ!!]
足に力を込めて一気に間合いを詰める。
[はぁ!]
[ふっ!]
連瀧の型・無陳!
[せぃ!やぁ!はぁ!]
連撃に継ぐ連撃、神速を越えた斬撃繋げ続ける。
[ぐっ、流石に速いな。]
一太刀も入らない、パターンを読まれ始めている!
[だが、もう飽きたな!]
[なっ!]
無陳を破られた!?
斬撃を対応不可能な方向にいなされたのだ。
[ダウン!]
[くっ!]
反撃に入ろうとしたライガスが後方に回避する、すかさず自分も後方に距離を取る、ライガスが立っていたところには魔力の矢が刺さる。
[セインちゃん、大丈夫!!]
[はい、なんとか。]
さっきの反撃を受けていれば危なかったが。
[付与魔法の使い手ですね。]
さっきも私の斬撃を素手でいなしていたことから、これに関しては間違いない。
[それに、まだ奥の手を隠しているように見えます。]
[......やるな、貴様ら二人が相手ともなると付与魔法だけでは不足ということか......]
何か来る!
[固有魔法・ホワイトマター発動。]
ライガスがそう言うと、感じる魔力量が桁違いに上がる。
[うそ......]
[......]
信じられないほどの魔力の質量だ、恐らく付与魔法に回していた魔力も全てユニークに回したのだろう。
[さあ、始めようか。]
ライガスの背中の辺りから真っ白な尻尾の様な物が六本生える、そして、尻尾は鋭利な刃物のようで、こちらに狙いを定める。
[私が前に出ます、どこまで持つかはわかりませんが......]
法王の力を最大限に行使して、やっと互角かその程度。
[わかったは、私はその間に援護しながら特大の一撃を準備するから。]
[わかりました!]
そう言って、私はライガスに向かって一気に踏み込む。
[はぁ!]
[ふっ......]
全力の一閃が白色の魔力と激突する。
飛翔してくる矢も全て打ち落とされる。
[速度と力が爆発的に上がったとしても、それはこちらとて同じだ、それで本当に通用すると思っているのか!]
[さあ、どうでしょうね!]
度々反撃をしてくるが、こちらとて全力の連撃だ、相手の固有魔法の威力は凄まじいが、付いていけない訳じゃない。
[ふん、さっきまでの俺では確実に負けていたな、あまり長引かせると今の俺でも負ける可能性があるか......だが!]
まずい!
今度は連撃の合間を縫って攻撃を押し込まれる。
[ぐはっ!]
四本の尻尾が纏まって私の横腹に直撃する。
私の体は意図も簡単に数十メートル先まで吹き飛ばされる。
[セインちゃん!]
[ぐっ、うぅ......]
なんとか立ち上がろうとするが、ダメージが想像以上に大きい為、足に力が入らない。
[まだ魔力の集中が十分じゃないけど、射つしかないか......!]
弓にためていた魔力を一気に魔方陣に変換して、矢にも魔力を込める。
[回避は不可能か、まともに受ければホワイトマターの防御とて貫通されかねないか、ならば俺も最大の魔法を持って相手しよう。]
瞬間、ホワイトマターは解除され、ライガスの前にも魔方陣が複数精製され、重なり、新たな魔方陣へと変化する。
ずる!多重並列魔法!?
[君のその魔法に対抗できる魔法は持ち合わせていないからな、少しイカサマ臭いがこれを使わせてもらうよ。]
多重化並列魔法は通常の魔方陣を複数精製して、それを重ねて威力を倍増させる技術、私でも4つまでが限界なのに6つも重ねてくるなんて......
それでも......
[ブリザード・オービット!]
[トライデント・ドグマ!]
放たれた矢はまるで彗星の如く輝きを放って飛翔する、対する三つに分かれる魔力の凝縮体はやがて、ひとつに纏まって威力も勢いも上昇する。
極大の魔力同士はぶつかり合い、光を放って爆裂する。
[相殺したか。]
あまりの爆風で、たまらず吹き飛ばされた体は、試合場を覆う魔力壁に激突する。
[......]
ホワイトマターが再度発動する。
私は何とか立ち上がることが出来たが......
[まあ良いだろう、これで万策尽きたことだろうしな!]
瞬間、貫かれるような痛みが体に走る。
[ぐっ!]
尻尾が払いのけるように、私を吹き飛ばす。
[そこで寝ていろ。]
そう言ってライガスはセインちゃんの方に近づく。
[くっ!]
貴社な体はまた、数十メートル先まで吹き飛ばされる。
[ぐっ、うぅ......]
だが、尚も立ち上がろうとする。
[降参を勧める、あまり女を痛め付けたくはない。]
[冗談を......言わないで下さい、私はまだ......]
[諦めの悪い奴だ......]
一本の尻尾が追撃しようとしたその時だった。
鋭利なもの同士の激突音が響く。
[選手交代だ。]
[ほう。]
[ユリカゼ&ステラ、ダウン!]
俺が二人の降参を希望したことにより、二人にはダウン判定が下る。
[クロトさん......すみません。]
[ユリカゼもステラも良くやってくれたさ、後は俺に任せてれ。]
[わかりました。]
ユリカゼは試合場から下りて、退場口から試合を見まもる。
[クロトくん、ごめん。後は頼んだよ。]
[ああ、後は任せろ。]
ステラもすれ違い様に声をかけてきた。
[さあ、それじゃあ始めるか。]
[ああ、そうだな。]
俺は強敵と相対する。




