3章[王都学園]第10話
俺達は教室を出た後、正門から校舎までの道に連なっている売店を回って、日がくれて人が帰り始めている頃に俺達はベンチで一息ついていた。
[今日は疲れたね。]
ステラが聞いてくる。
[ああ、だけどその分楽しめたし、割には合っていると思うぜ。]
俺が返答を返す。
[そう......だね、明日と明後日の大会、頑張ろうね。]
一日の終わりと言うのは、その一日が楽しければ楽しかった程に、それに相対するように空虚感を感じる。
[......ふぅ、何しんみりしてんだよ?
今日がそんなに楽しかったなら、また来年だって、再来年だって一緒に来れば良いだけの話だろ?らしくないぞ。]
励ます気持ちで述べた気持ちは、ステラに上手く通じてくれたしようで、
またいつも通りの優しい顔に戻った。
[そうだね、何しんみりしてたんだろう、私。]
良かった、上手く言えた。
[だけど、そこまで言ったんだから勿論約束してくれるよね?]
約束?俺は少し考えたが、直ぐにそれの答えは頭に浮かんだ。
[ああ、勿論だ!約束だ。来年も再来年も一緒に来よう。]
そう言って俺達は、1年後も2年後も一緒にこの学園祭に来ることを約束した。
[それじゃあな。]
[うん、また明日。]
そう言ってステラは寮の中に入っていった。
[......いるんだろ?リオ。]
俺が振り向かずにそう言うと。
[......流石ですね。]
俺の後ろの暗闇から、フードを被ってはいるが、紫掛かった黒髪の少女が現れた。
[なんつもりだ?ただ話をするだけなら気配を消して近づく必要は無いだろう?]
フードを取らずに答える。
[試す様な真似をしてすめません。]
試す?何故話すだけで俺が気付くかを試す必要があるんだ?
[......まあそれに関しては後で聞く、それより要件は何なんだ?]
俺は本題を聞こうと、話を切り出した。
[はい、ですが、ここでは少し話しづらいので場所を変えても良いですか?]
確定した、確実に何か面倒事を頼まれる。
[ああ、構わない。]
俺は依然として警戒を解かず、了承する。
[ありがとうございます。それでは着いてきてください。]
俺はそこから、案内されるがままリオに着いていった、そして最終的には旧校舎の旧図書館に場所が移る。
[ここであれば、問題ないでしょう。]
リオはそう言うと俺の方に向き直る。
[......]
俺は警戒を解かず無言を貫いている。
[......それでは、本題に入らせていただきます。]
リオが依り一層真面目な顔になる。
[クロトさん、貴方はこの学園の地下に、何があるのかご存じですか?]
[......いや。]
リオは間髪入れずにこう言う。
[わかりました、先ずはそこから話さねばいけませんね。]
この学園に地下があったことすらはら初耳だ。
[......この学園の地下には、ある魔女が眠ってるんですよ。]
ですよ。か、簿かして言う訳じゃなく確定している様な言い方だ。
[それで......]
俺はあくまで、話を最後まで聞くことにする。
[はい、先ずはこの旧校舎にある隠し扉まで行きましょうか。]
そう言ってリオは、今は何もない図書館の受付の近くにある本棚に近付いて、すぐ横の壁に手を触れると。
[開門、管理者ナンバー7、フローゼル・ザ・デスサイズ。]
すると、リオの正面にあった本棚が奧に動くと左に収納される。
[これは......]
ベタな隠し本棚通路、奧にはずっと通路が続いている。
[この先です。案内します。]
そう言ってリオが通路に入ると、左右にある灯りが順々に灯ていく。
[ああ......]
色々と解せないところはあるが、それを聞き出すのは事を把握しきった後だ、事態をいたずらに混乱させるのは得策とは言えない訳だ。
[......]
[......クロトさん、一つ良いですか?]
長い階段を下っている最中に、リオが声をかけてきた。
[......何だ?]
俺は話の相手をすることに決める。
[最近、ユリカゼ生徒会長が凄く明るい人になったなって思いまして。]
[......?]
一体何が言いたんだ?
[すみません、これだけじゃあ何が言いたいのかわかりませんよね?]
自分で気づいてくれて助かる。
[......クロトさんは知らないかもしれませんけど、ユリカゼ生徒会って、前はもっと怖い人だったんですよ?]
[そうだったのか?]
いや、確かにそれもそうか、実際に俺とあったばかりの時は凄く暗い奴だったし。
[はい、ですけど今の生徒会長、前の人柄が嘘みたいに優しい方になってて、彼女と付き合いがあった人は皆、凄く驚いていたんです。]
[それで。]
[......生徒会長には救いがあったんだなと、最近思いまして。]
[どうして、そう思うんだ?]
[......今のあの人、ある人の話をするときは決まって優しく笑うんですよ。]
......。
[だから、クロトさんには生徒会長をちゃんと見ておいて欲しいんです。また彼女が道を踏み外しても支えてあげられるように。]
[悪いけど、それは無理だ。]
[どうしてですか?]
[俺は彼女とずっと一緒に居られる訳じゃない、俺の目の届くところに居る内は助けられるし、俺も助けて貰える。だけどそれは何時かは叶わなくなる。]
これが今の俺の持論だ。
[それにな......]
[それに?]
[俺は何に変えても守り抜きたい人、大切な人を心に決めてるんだ。]
何を言っているんだろうな、俺は......
そこからはお互い世間話でもしながら階段を降りていく。
[それでまあ......と、着いたみたいだな。]
[はい、少し待ってて下さい。]
階段を降りきると、上から見ると円形なっているだろう大きな空間だった、壁には古代の絵のような壁画が多数伺える。
[......最終階層に降下。]
大体四畳位の床の中心に丁度手がぴったりとかざせるコンソールがある。
リオはそこに手を置くと、さっきと同じように唱える。
床が音を立てて少し震えると、エレベーターの様に下に降下していく。
[この下が、この学園が全力で守っている、時の領域です。]
[時の領域......]
そろそろ説明を要求すべきだろうか、すっかりタイミングを見失っていた。
[そろそろ説明をお願い出来るかな?何でそんな大事な場所に俺を連れてきたんだ?]
もう色々と面倒くさくなったので、単刀直入に聞くことにする。
[......その答えはこの下に降りてからいたします。ですから後少しだけ待ってください。]
何で俺を、そんなにこの下にいかせたいんだ?
[リオ、何か隠して......]
俺は話を中断する。
明らか何かに見られている気配がしたからだ。
[リオ......]
[はい。]
リオは一振りのダガーを取り出して構える、俺もルミナスを構えると同時に覚醒者を発動させる。
[......]
[......]
その沈黙を突き破るようにそれは現れる。




