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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
3章[王都学園]
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3章[王都学園]第5話(黒神の剣聖)

[つえぇ......]


試合場の真ん中で、レオを含めた複数の生徒が一人の男に倒されていた。



[クロト、今日学園に客人が来るらしいぜ。]


朝の本校舎に向かうまでの通学路でレオが話題をふってきた。


[らしいな、だけどこんなに大きな学園だから、日頃から客人位なら良く来るんじゃないか?]


実は今回に関しては俺も知っていた、何故客人が来る程度でこんなに話題になるのか謎だが。


[それがな、今日来る客人があの、黒神の剣聖(くろがみのけんせい)だっつう噂だぜ!]


黒神の剣聖?この世界で有名な人間なんだろうか、とりあえず話を合わせておこう。


[成る程、だからこんなに話題になってるのか。]


[多分な。]


俺達が本校舎に着くとすぐに臨時の集会が行われた。



[今日は、この学園に剣術文門の特別講師が来ている、紹介しよう黒神の剣聖、サイファー・グロウズだ。]


全校生徒の前で学園長が隣にいる青い髪の30代前後の騎士長の様な服装をした男を紹介する。


[フローゼル学園の諸君、紹介のあった通り私の名前はサイファー・グロウズだ、今日から、君達の剣術の授業の特別講師として指導していこうと思うのでよろしく頼む。]


顔はクールで渋目な感じでナイスミドル、背丈は190の長身と言える、放つ空気が化け物レベルだがまあ直接戦う機会が有るかどうかもわからないので、まあ大丈夫だろう。


[決して、無礼に当たる行動や態度は取らないように。]


学園長が念を押して言う。


[そんな命知らずいないだろ。]


レオが小声で呟く。


[だろうな。]


まあどんな鈍感でもわかる位のオーラだ、そんな奴はまず居ないだろう。



[それでは剣術の授業を始めようと思う。]


なんやかんやあって剣術の授業を迎える。


[それでは手始めに君達の実力を確認したい、誰からでも構わないから掛かってきなさい。]


まあ薄々予想はしてたけどな、どちらにしろ全員ボコボコにされて終わりだろうな。


[それじゃあ、俺からやらせてください。]


レオが最初に声をあげた。


[君は?]


[レオ・クロスボーンって言います。]


[レオくんか、良かろう、何処からでも掛かってきなさい。]


さあ、どの程度か。


[クロトさん。]


背後から聞き覚えのある声が聞こえたので振り向くと、予想通りユリカゼだった。


[ユリカゼか、お前もこの試合気になるのか?]


[はい、クロトさんはどう思います?]


[と言うと?]


[勝てると思うかどうかです。]


ユリカゼが、質問を投げかけて来る。


[まず、勝てないだろうな、まあレオもそれくらいはわかってると思うぜ。]


[でしょうね、私もそう思います。あの男はただ者ではありません。]


そうこう話しているうちに試合が始まった。


[はあぁぁ!]


レオが魔力を上昇させて大型の剣で切りかかる。


[なっ!?]


[......]


あいつ、レオの剣を片手で掴んだ!?


[中々の太刀筋と威力だね、君は将来が楽しみだ。]


レオが力を込めても、剣はびくともしない。


[だが、まだまだ鍛え方が足りないな!]


男がレオをそのまま魔力を、覇気の様に放出してレオを吹き飛ばす。


[うおぁぁ!]


驚きの声を上げてレオが後方に飛ばされる。


[やっぱりな。]


そのままレオは壁に激突する。


[痛ってぇ......]


[本当の意味での秒殺ですね。]


[だな。]


男が口を開く。


[さあ、次は誰かな。]


他の生徒も、次々と倒されていき、残った生徒は挑むまでも無く戦意消失している。


[もういないのか?]


男が言うと。


[そろそろ、私もいってきます。]


[おう、頑張れよ。]


俺にそう言ってユリカゼが声をあげる。


[それでは、次は私がやります。]


周辺の生徒がざわつく。


[生徒会長ならもしかしたら行けるんじゃねえか。]


[やれぇ!無敗女王!]


[頑張れ!ユリカゼ!]


色々な声が飛び交うが、現実はそう甘くはない。


[おう、クロト。]


[レオ、お前大丈夫なのか?]


[あれくらいならな、それより次はユリカゼか、どうだお前から見て。]


どっちも同じ質問をするんだな。


[他の奴等程酷い負けかたはしないだろうけど、まあ良いとこ、抜刀させるくらいだと思う。]


そうあの男は今までの試合で一度も剣を使っていない。


[レオ、お前はどう思う。]


普通ならこんなことは聞かない、だがレオは実際にあの男の実力を実感しているだろうし、これでもこの学園三位の実力を持っている、意見を聞けば意外と参考になる事も多い。


[残念ながら、俺も同じ意見だ。]


[そうか。]


[まあ、ユリカゼなら確実に本気にはさせるだろうぜ。]


[その心は?]


[まあそうだな、俺はどちらとも戦ったからわかるんだけどな、その、感覚的なもの何だろうけど、あの姫様なら何とかしてくれるんじゃないかと思わなくも無いってやつだ。]


[成程。]


何処か核心を着いているような答えだった、これだからこいつの観察眼は侮れない。


[おっ、そろそろ始まるな。]


[さあ、どんな戦いになるか。]



[はぁぁぁ!]


[ぐっ!]


流石ユリカゼだ、男は一貫して剣を使わないが、ユリカゼの剣は正確で鋭い、手で受け止めるのは絶対に無理だ。


[やるな、ユリカゼくん、それなら私も本気を出すとするかな。]


来る。


[こい!聖剣フラグメント!]


男は、ステラと同じように光と共に大型の剣を呼び出す。


[来た!]


レオも同じように声を上げる。


[あれが剣聖の剣......]


正直驚きを禁じ得ない、あれから感じるこの気配は......


[あれはまさか、神具!?]


間違いない、同じように神具を使っているからこそ誰よりも早く気付ける。


[神具!?て言うことはあの剣はお前の剣と同じ......]


[ああ、間違いない。]


対するユリカゼは......


[やっと本気を出してくれるんですね。]


何処か楽しそうな顔だ、だが......


[君相手に、あの戦い方では不足だと思ってな。]


それにしても何て言う魔力量だ、本当に人間か!?


[それでは、行きます。]


ユリカゼが跳躍、神速の勢いで一気に間合いを詰める。


[度胸もあるな、ならば!]


[あの速度の抜刀術を、あんな軽々と受け止めた!?]


[いや......まずい!]


俺は男とその剣の魔力が爆発的に上昇していくのを感じとる。


[ぐっ!?]


ユリカゼは切り払いを交わすために後方に飛翔する。


[見せてやろう!ライトニングゲイザー!]


神具は巨大な光の剣へと変貌し、降り下ろされる。


[ぐっ!]


[クロト!!]


ユリカゼに向かって走り出した俺に驚きのこもった声をあげるレオ。

間に合え!!


[......。]


[ふぅ、何とか間に合ったか、間一髪だったなあ。]


[クロトさん?]


ユリカゼは、何が起こったのかわからない様子だった。


[......ほう。]


[クロト!!]


レオがこちらに走ってくる。


[大丈夫か!?]


[ギリギリだったけどな。]


だが、それよりも......


[レオ......ユリカゼを頼む。]


[......分かった、立てるかユリカゼ?]


[はい......ありがとうございます。

クロトさん。]


[少し待っててくれ。]


俺はそう言って神具を未だ帯刀せずに待っている男に向き直る。


[次は俺がやります。]


周りの生徒が更にざわつく。


[あれって、確か転校生の......]


[クロトって、言ったっけか......]


[それよりあいつだよ!この前無敗女王を負かしたの!]


[マジか!?あの無敗王女に勝っているんならもしかしたら......]


様々な声が行き交う。


[ほう、君はユリカゼくんを一度倒しているのか?]


[はい、まあ......]


厳密に言うと二回だが、そんなことはこの際どうでも良い、それより......


[あんたさっきの一撃、下手したら怪我じゃ済まなかったぞ?]


[かもしれんな、だが君が助けたではないか。]


そう言う問題じゃない、もし俺が出なかったらこの男は......

確かに、そこまで下手では無いだろうが、そういう事では無いのだ。


[そうですか、ならばもう言葉は不要ですね。俺はクロト・カザヤって言います。]


[カザヤくんか、君も相当な実力者のようだな、さっきの動きを見ればわかる......良かろう、始めから本気で相手をしよう、剣を抜きたまえ。]


[......]


俺は鞘から剣を抜刀し、魔力を最大限に込める、剣は呼応するように煌めく。


[ほう、君のそれは神具か?]


[さあどうてしょうね、打ち合えば自ずとわかるんじゃないですか?]


[それもそうだな、良いだろうならば確かめさせてもらおう!]


相手の魔力が爆発的に上がる、俺も覚醒者を全力で行使する。


[行くぞ!]


俺は光の速さで斬撃を放つが、受け止められる。


[まだだぁ!]


[ぐっ!!]


俺は瞬間に試合場の壁まで跳躍し、壁を蹴って、男目掛け特攻する。


[ふぅっ!!]


斬撃は男にいなされたが俺は反対側の壁に移りまた特攻、また移り特攻をしかけ続け、捉えられ無いように全方向から攻撃を仕掛け続ける。


[ふぅ!せぃ!はぁぁぁ!]


尚も男は剣をいなし続ける、俺は間髪入れずに次々と攻撃を仕掛ける、恐らく他の生徒には剣聖が光の線をいなしているようにしか見えないだろう。


[このままやっても捉えられんなあ、ならば!]


男は強大な魔力を周囲に放ちながら剣を地面に突き刺す。


[まさか!]


俺は空中で魔方陣を生成してそれを足場に空中ジャンプをかます。


[ライトニングミーティア!]


地面に巨大な魔方陣が一瞬で完成し、男を中心に光が膨張するように膨れ上がる。


[ソード......]


俺は光に飲み込まれる。



[......やったか?]


[......!?]


煙が晴れる。


[ソード・オブ・アイギス。]


魔力障壁はくだけ散る。


[絶対防御魔法か......]


[まだ、決着を決めるには早いぜ。]


それにしても危なかった、もう少し反応が遅かったら負けていた。


[......次で終わりにさせてもらう。]


[ほう。]


[ふぅ!]


俺は周囲の壁を蹴って飛び回る、狙いは一点だけだ、それは......


[ふん、またその手か、確かに素早いがもう見飽きたぞ!]


男はまた剣を突き刺して魔力を込める。


[それを待っていたぜ!]


[何!]


俺は高速移動を中断し、男に相対すると、剣に全魔力を集中させてこう唱えた。


[煌王剣ルミナス・神具解放!]


俺は真っ直ぐ上段に振り上げた光輝く剣を降り下ろした。


その瞬間、光の凝縮体が放たれ一気に剣聖を飲み込む。


光の凝縮体は爆発した。


[......]


俺は煙が晴れるのを待つ。


[なっ!?]


男は無傷で立っていた。


[聖剣フラグメント・神具解放。]


そうか、あの男は俺の神具による一撃が命中する直前に神具解放を使用して、その時に放たれる魔力を盾にしたのか!


[全く、神具解放をこんな狭いところで放ちおって、威力が強すぎて相殺仕切れなかったぞ。]


完敗だ。俺の今使える最大の技が完璧に防がれた、ルミナス・ブレイド・オーバーライトを使えば勝てたかもしてないが、あの技は使えば俺も倒れるから対人では勝ちにはならない。


[......降参です。]


辺りが静まり返る。


[クロトさんが......負けた。]


[......]


ユリカゼは困惑している、レオは無言だ。


[見事だ。カザヤくん、私に致命傷を与えたのは君が始めてだ。]


[致命傷?]

男を良く見ると、足に大きな傷が出来ている、両腕もボロボロだ。


[......凄え!凄えぞカザヤ!あの剣聖に致命傷を与えやがった!]


[マジかよ!?凄い物見ちまったぜ。]


[あんな奥の手持ってるなら始めから使えよ!!]


色んな声が飛び交う、だがそのほとんどが俺を称える声だ。


[うむ、それでは今日の授業はクロトくんに免じてこれで終わりだ!全員解散!]


そのまま授業は終わり俺の所に来る生徒を何とか撒いて、疲れきった俺は即刻寮まで走り部屋に逃げ込んだ。



[それにしても、お前が負けるとはなぁ。]


レオは未だに信じられないといった感じだ。


[負けは負けだ。それより俺はもう寝る、流石に疲れた。]


[おう、お休み。]


[お休み......]


俺の意識は一瞬で落ちていった。

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