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運命を背負った少女と最強の守護者  作者: 英雄王ヨカ
3章[王都学園]
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3章[王都学園]第4話(ユリカゼの想い)


この学園には週に二度、言わば俺の元いた世界で言うところの土日に当たる日、土日とは定義されていないもののそれに酷似している、この世界言うところの一週間は平日6日の休日2日と言う構成になっていて休みの二日間は神様の休日だから休みらしい。


[そんな日に一人で部屋に込もって寝ている俺は何なのだろう。]


レオは街に出掛けているし、ステラは風邪引いてるし、ユリカゼは生徒会長としての仕事が忙しくて誘う暇無かったし。


ドアをノックする音がしたので応答する。


[どなた様ですか?]


何て失礼な対応の仕方だろう、だが今の俺はやる気が微塵もわかない状態なので、いつもより付き合いが悪い状態だ。



[クロトさん、私です。]


聞き覚えのある声だった。


[え?ユリカゼ?ちょっと待ってろよ。]


俺はドアを開けた、声の主は予想通りユリカゼだったが。


[いきなりどうしたんだ、ユリカゼ?]


[いえ、大したことじゃないのですが......もし暇なのでしたら、その、一緒に街でも見て回ろうと思いまして。]


ユリカゼは妙に気恥ずかしそうだが、死ぬほど暇してた俺にとっては願ってもないお誘いだ。


[もちろん構わないけど、お前は良いのか?普段凄く忙しそうにしているのに、折角の休日の時間を俺なんかと使ってしまって。]


そう、確かに願ってもない誘いだが、普段の忙しさからしてユリカゼが息抜きを出来るのは休日の二日間だけだろう、そんな貴重な時間を使ってまで俺の暇潰しに付き合って貰っては申し訳無さすぎる。


[もちろんです!私はクロトさんといる時間がこの世で一番楽しいですから。]


[そ、そうか。]


[それに、ステラさんにも誘いにも行ったんですが、風邪を引いてるらしくて......]


あっ、お前も行ったんだな。


[まあ、そう言うことなら勿論オーケイだ、準備するから少し待っててくれ。]


[わかりました。]


そこから俺は、私服は持っていないので制服に着替え、剣を腰に装備して部屋を出る。


[制服なんですね。]


[まあ私服は持ってないからな、何か悪かったか?]


とりあえず確認しておく。


[いえ、とんでもないです!]


[そうか、それじゃあ行こうか。]


[はい!]


さっきからユリカゼの様子が、少しおかしいと感じたけど気のせいだったかな。




[クロトさん、この店、料理が美味しいって評判なんですよ!]


[へえ、それじゃあ入るか?特別に奢ってやるぞ。]


[え?良いんですか?]


[ああ。]


まあこんな絶世の美女を暇潰しに付き合わせて置いて、一度も奢らないと言うのはちょっと申し訳ない。




[美味しいですね!]


ユリカゼは名前は違う物のパスタと似た麺類を食べている。


[そうだな。]


俺はと言うとほうれん草のソテーを黙々と食べている、て言うかこのソテー滅茶苦茶うまいんだけど!どうやったら庶民的な店でここまで上手い料理を作れるんだよ!?



[ふぅ、食った食った。]


俺は空腹が解消され、満足感に浸っていた。


[クロトさん、意外と少食なんですね。]


ユリカゼが満足しているようで良かった。


[昔からなんだよ、確か生まれつきだったかな。]


そう、俺は凄く少食なのだ、一時はもやしすぎて家族からも心配されたくらいだ。


[そうなんですか、私は身内が厳しくて、小さい頃は中々沢山食べると言うことは、出来ませんでしたからね。]


ユリカゼは懐かしむように語る。


[家族......か。]


俺も小さい時の微睡みの様な記憶でしか思い出せない親の顔を思い出す。


[クロトさん?]


[......]


[クロトさん!]


[ああすまん、ユリカゼどうしたんだ?]


[いえ、ちょっと暗い顔をしていたので気になって......]


俺は何をやっているんだろう、ユリカゼとの大事な町巡りを家族の事を思い出した位で暗い顔をして台無しにするなんて。


[......]


[......あの、クロトさん。]


[なんだ?]


[少し、着いてきてくれますか。]


[別に構わないけど。]


一体どうしたのだろう、ユリカゼは俺の手を引いて町の外壁の近くまで来ると......


[確かこの辺だったはず......あった!]


一体何を見つけたのだろう。


[ここです。クロトさん!]


[これ、裏口?]


[はい、今は使われていない、外壁の上に登るための裏口です。]


そんなところに勝手に入って良いのか?この町は魔物の侵入を防ぐために高い外壁が儲けられいる。


[私が先に入るので、着いてきてください。]


[ああ、分かった。]


まあ、もう使われていないって話だし、ドアも大分朽ちてるところを見ると本当に誰も来ていないんだろう。


[ちょっと暗いな。]


中は完全には真っ暗ではない物の、灯りが無い分所々にある窓から入ってくる夕焼けの光だけが頼りだ。


[そうですね、ここももう少しで入れなくなるかもしれませんね。]


[そうだな、ここまで暗いと間違えて入ってしまった人とかが居たら危ないもんな。]


そんな話をしながら、螺旋階段を順に上っていく。


[この上です。]


一番上まで来たようで、後は短い梯とその上に出口がある。


[私が先に上りますので後から来てください。]


[了解。]


そう言えばステラは私服で来ていたんだな、白いワンピースの様な服を着たユリカゼはより一層美しく見える。


[さて、俺ものぼるかって......あ。]


俺が上ろうと上を見た瞬間、スカートの中が見えそうになったのを反射的に認識して目を背ける。


[クロトさん、どうかしたのですか?]


どうかしたも何も、目のやり場に困る言いますか。


[いや何もない。]


俺はユリカゼが上りきったのを確認してから梯を上った。


[ここが、頂上か。]


[はい、そして私が見せたかったのはこれです。]


そう言われて俺がユリカゼの指差す方向に向き直ると。


[......]


思わず言葉を失った。


[綺麗でしょう?私が王都に住んでいた時は、良くここに来て嫌なことを忘れていました。]


そう、こんな景色を俺は見たことがなかった、無限に広がる草原に沈んでいく夕陽、こんな景色を見たら確かに自分の悩みなどちっぽけな物に思えてくる。


[これを、俺に見せるために?]


[はい、どんな事があったのかは私にはわかりません。ですがあなたには笑っていて欲しいんですよ、私は......]


[どうして、そこまでして......]


ユリカゼは俺の質問に対して今日一番の笑顔で答えた。


[そんなの、決まってるじゃないですか......]


[え?]


[あなたは私の恩人であり光なんですよ、前までの私は人間として死んでいました、深い闇の中で誰も手を差しのべてはくれず諦めていました......ですが、あなたは優しい光でそんな私の闇を一瞬で消し去って行きました。]


......


[......クロトさん、あなたは私にとっての英雄であり、光そのものなんですよ?]


水色の髪の少女は、優しく微笑んでそう言った。


[......]


俺はユリカゼに背を向けた。


[どうしたんですか?]


ユリカゼが顔を覗かせてくる。


[......]


また顔を背ける。


[......。]


ユリカゼは顔を覗かせるのを辞めてこう言った。


[初めてですね、私の前で泣いてくれたの......]


[......]


こんなのありかよ、そんな風に関わられたら、どうやって返せば良いかわからなくなるじゃないか......


[......私の思いは届かないかも知れない、あなたは真っ直ぐな人だから、それでも折れてしまいそうな時は、挫けてしまいそうな時は、せめてあなたが救った一人の事でも思い出してくれるだけで、本望ですから......]


ユリカゼは清々しいと言った具合にこう言った。


[だから、私はあなたの事がずっと大好きですから......]


[俺は......]


[知ってましたよ、それで......良いん......です。]


そこから、俺達は無言でお互いに背を向けて座り込んだ、お互いの顔を見ないためだ。



[大分暗くなっちまったな。]


[そうですね、少し急ぎましょうか。]


[ああ。]


俺達は外壁の上で少しの間星を見た後、街灯の明るい夜の町を走っていた。



[結局、こんな時間になってしまいましたね。]


[そうだな。]


寮に着いたときには既に辺りは真っ暗だった。


[それじゃあ。]


[はい、お休みなさい。]


そう言い交わして俺達はお互いに別れた、俺は今日の事を生涯忘れることはないだろう、自分の大切な仲間との大切な思いでとして。

今回はユリカゼの回にしました、王都学園編ではステラなどの主要キャラたちとの個別のストーリーを用意しておりますので、ステラさんの回は特に力を入れて作ったので楽しみにしていてください!(うp主はユリカゼ派なのかステラ派なのかは神のみぞ知る......)

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