2章[異世界の探求]第7話
[この辺りか!]
俺達はさっき平和な町中ではまずあり得ない爆発音を聞き、その音がした所に来ていた。
[音がしたのはこの辺のはずだけど......]
今俺たちは大通りにいるのだが、爆発音の原因らしき物は見当たらない、周りの建物が所々破損しているが一ヶ所が爆発しただけならここまでの被害は出ないはず、と言うことは誰かが任意で爆破したと言う線も出てくる。
[あそこに人がいるぞ!]
集まって来ていた野次馬の中の誰かが声を上げた。
俺達も目を凝らして辺りを見回した。
[あれじゃないか?]
俺は大通りの真ん中を指差した。
[あんな所に女の人、でも何か様子がおかしくない?]
確かに言われて見ればそうだ、あんな火の海中で一人助けを呼ぶ素振りも見せずにただ呆然と立ち尽くしていると言うのは明らかに不自然だ。
すると、ずっと俺達に背を向ける形でボウダチしていた女がこちらを向いた。
[......見つけた。]
[......!避けてクロトくん!]
[え?]
俺が声を発した時には既にステラは後方に跳躍していた、俺も条件反射で後方に飛んだ。
(バコォォォォン!)
[何!?]
簡単に言うと、俺達の元いた場所が爆発した。
[まさかこれって......]
俺とステラはほぼ同時に着地した。
[そう、これが攻撃魔法。]
なんつう威力してんだ!あんなのまともに食らったら間違いなくお陀仏だぞ!
[あんな威力の魔法民間人が使えて良いのかよ!]
すると妙な悪寒がしたので、またステラとは逆方向の左右に別れるように飛び退いた。
(バコォォォォン)
次は俺にも見えた、俺達が飛び上がる直前女は手のひらをこちらに向けて何か唱えていた、その瞬間女の手のひらの前の部分が急に光ったのだ。
そしてその後に俺達が回避行動を取り、上から見た時に気付いた事だが俺達の元いた場所に光線の様な物が被弾した瞬間その位置が爆発した。
[どうする?反撃するか?]
[多分あれはシンクロ魔法よ、何処かで操っている奴が居るはず。]
周囲を見渡してもそれらしき人物は居ない、それはそうだ、操っている張本人が分かりやすい場所に居ては意味が無い。
[じゃあどうする?]
[私が直接触れればシンクロを妨害出来るはずだから、クロトくんはとにかく相手の注意を出来るだけ引き付けて!]
[了解。]
正直言って出来るか不安だがやるしかない、この世界では初めての戦闘だが、こんな所で立ち止まっていては誰かを守るなんて夢物語だ、怖くない訳じゃない、だが俺には運の良い事に覚醒者がある、早々の事では死なない事を視野に入れれば初めてでも気を引く位なら出来る筈だ。
[それじゃあ次に攻撃してきたら動くぞ。]
[わかった。]
俺達は相手の様子を伺った、そして女はまた短い呪文を唱える。
[今だ!]
合図と同時に行動を開始した。
それと同時にステラの手が光り輝くと同時に弓が表れた、無駄な装飾は無く銀一色の綺麗な弓だ。
俺はと言うと攻撃を回避した後、足に渾身の力を込めて女の居る方向に跳躍した、予想以上の速度が出て一瞬戸惑ったが直ぐに体が慣れてくれることを祈ってそのまま特攻した。
[少し痛いけど悪く思うなよ!]
俺は緩めに拳を握ると女の肩に勢い良く拳を入れた。
[......。]
女は無言で立ち上がった。
[そのままこっちを見ろ。]
だが女はこっちを見ようとせず、背後を取ろうとしているステラの方に手をかざした。
[な!?避けろ!ステラ!]
ステラは回避行動しようとしたがそこで予想外の事態が起きた、何とさっきまでは呪文を詠唱してから魔法を打っていたのに今回は間髪いれずにそのまま魔法を放ったのだ。
[な!?詠唱省略!?]
[ステラが声をあげたときにはもう光の玉は目前まで迫っていた。]
[くっ、間に合うか。]
俺はさっき以上に足に力を込めて跳躍した、その速度は高速で飛翔する魔法の速度にも負けておらず。
[なっ!?クロトくん!]
何とか間に合い、ステラの前に割って入る事が出来た。
[すまない、ステラ......]
俺はステラを後ろに突き飛ばした。
[クロトくん、だめ!]
(バコォォォォン)
魔法は見事に俺に直撃した。
爆発の衝撃で俺は見事に吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた。
[クロトくん!?あなた何て無茶なことを!]
ステラが涙目で駆け寄ってきた。
[くっ、うぅ......]
俺は辛うじて意識を保っていた、恐らく覚醒者のお陰だろう。
[クロト大丈夫!?]
[何とかな、だけどもう立ち上がれそうもない。]
身体中が痛む。
[大丈夫、ここからは私一人でやるから。]
するとステラは立ち上がって女の居る方向に足を向けた。
立ち上がろうとしても痛みが勝ってしまう。
情けない。
自分は何て情けないんだと心の中で叫んだ、気付けば既に戦いは始まっていた、ステラは建物の上を飛び回りながら青い半透明な矢を一瞬で作り出すとそれを放っては作り放っては作りを繰り返していた、一気に何本も作ったり連続で作ったりしているので間髪入らないが一発も命中していない、当てるのを戸惑って居るのだろう。
[くっ、ぐぅぅぅあぁぁぁ!]
ステラも徐々に息が切れ始めている、このままじゃ長くは持たない。
俺は体に走る痛みを振り払う様に立ち上がった。
周囲を見回す、すると俺から一番近い位置にある建物の前に人が倒れていた。
今は一秒でも早くステラの元に向かいたい所だが。
[大丈夫か、爺さん。]
倒れいたのは70代位のおじさんだった、ここに居たままだと危ない、何かの影にでも身を潜めていてもらおう。
[君は......少年、君が助けてくれたのか?]
するとお爺さんが口を開いた。
[はい、ここは危ないので建物の影にでも隠れていてください。]
俺がそう言うと、爺さんはステラの方に一度目をやるとこう言った。
[君はどうするのだね?]
[あそこで戦っている人を助けにいきます。]
すると爺さんはこう言った。
[ならわしの事なら気にせんで良いから、お嬢さんの元に行ってやってください。]
[......]
俺は少し考えた......
[この鍵を使って、そこの倉庫の鍵を開けなさい、倉庫の中には神具級の剣がある、それを使ってお嬢さんを助けに行きなさい。]
俺は決めた、爺さんを取り敢えず建物の影に隠して預かった鍵を使って指定された建物の鍵を開けた。
[これか......]
目的の物は意外と直ぐに見つかった、それもその筈だ、倉庫の中には剣の他には何もなかったのだ。
[と言う事はこの倉庫自体がこの剣の為に作られた様な物の訳か。]
剣は不思議な雰囲気を醸し出しており、緑色の柄部分にキズや汚れ一つ無い綺麗な刀身、刃渡りは110㎝位だろう。
[ふぅ。]
俺は剣を握った、そして倉庫を出て未だに怯む事無く魔法を放ちまくっている女と既に息切れし始めているステラの方へと視線を向けた。
ご愛読ありがとうございました!
今回は長く書きすぎたので半分に分けさせてもらいます。(やり過ぎ)




