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紡ぎ窓  作者: 千岳 緋彩
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6話 スキル“マド”

パソコンが欲しい!時間が欲しい!

 ーーー天啓も導きも確信すら感じなかったんだ。



 ただ、自分の中の何かがそうしたいと静かに訴えかけるような感覚だけはあった。



 それは精霊の囁きなのだろうか、いや、精霊は要素であり空気や土のように意思などないってリフィは言ってたな。



 そうして感覚に従ってみれば、手にあるのは異世界に来るキッカケとなった窓。



 それは帰りの切符ではなく、この世界で生き残る術なんだって、窓は俺にそう語りかけているようだったーーー







「で、なんなのよ? それ」



 リフィは訝しげにそう聞いた。

 詠唱や魔法陣を用いて創造魔法を使ったなら理解できる。

 例えそれが通常通りに作られたものより精霊密度が高くとも、魔法によるものなら込め方次第ではありえる。


 理解出来ないのは、それがスキル発動という形式で現れたことだ。



「うーん、なんだろう……武器かな? リフィ先生はどう思う?」



 ミシェルは50センチ四方のそれを叩いたりなぞったりしていた。


「ミシェルがさっきスキルに精霊云々言ったのは、スキル発現前の予兆ってやつね。 それが未確認のスキルという事を除けばよくある話だわ」


 リフィはこめかみを抑えつつ先生として教えられる事を探した。


「スキル発動の時に精霊は使った? そう、予兆通りってわけね。 何かの媒体? いえ、ブースターの可能性もあるかも……」


 リフィは、あっ、と何かを思い出したかのように顔を上げ、ミシェルを睨みつけた。



「え……俺、何かしました? いや、やらかしました?」


 何かまずい事をしたのかと慌てるミシェルにリフィはため息混じりに答えた。


「やらかしたって言えばそうね。あなたが、そうあなたが私にスキルに関して聞いたから答えたわ。でもね、そもそもスキルは発現と同時にその効果を知っているはずなの! 全く、聞く必要なんて無かったし答える必要だって無かったじゃない!」



 リフィは平手でミシェルの頭をペシペシ叩きながら怒りをあらわにした。



 転移の術ではないと、生きる術だと直感したそれこそがスキル“マド”からミシェルへの教えだ。


「これ……は……」



 スキル “マド”


 スキル効果


 第一のマド

 精霊の収束と解放

 周囲の精霊をマドに取り込み、想像のままに解放する。

 収束した精霊と想像が一致しない場合、精霊の量により縮小する。






「んー、要はすぐに発動できる魔法陣みたいなものかな?」


 ミシェルは自分の中の知識を確かめるようにリフィに説明した。


 第一という事は第二があるのだろうか、などと予測をつける根拠が無いミシェルは妄想に近い予想を始めようとした。


「……待ちなさい。今のは、ミシェル、それは、ザックリ説明したとかじゃなくて、本当に言葉通りのスキルなのね?」


 リフィがミシェルを見つめる。


 失望も羨望も期待もない、双眸の感情を読み取れない。


 少し、ほんの少し恐怖が混じった瞳をリフィは浮かべていた。



「言葉通りって…… そう、ですね。今もそのままの文で頭の中に浮かんでますよ?」



 ミシェルは戸惑った。


 彼も心の端では、何か尋常じゃない強さを期待していたが、それよりもまず、自分が何に気付いていないのかに焦燥した。



「いいわ、全然よくないけど、いいわわかった。……じゃあ、とりあえず私が魔法を見せるから、それをそのスキルで再現してみて」



 そういうとリフィは、短く詠唱を唱え、火で出来た槍のようなものを伸ばした手の先50センチほどの空中に出現させた。


 そしてリフィが遠くを確かめ、手を振ると、音もなく槍が真っ直ぐと飛んで行った。


 およそ100メートルほど先で火槍は弾けた。


 リフィはミシェルの方を向き、やってみて! などと軽く言った。


 ミシェルは戸惑いつつ、文面通りなら可能だと思い、マドを握る力を強くした。


「リフィ先生、とりあえず精霊の収束は問題なさそうです。どのくらい溜めれば……え? もういい? 分かりました。解放してみます!」


 そうしてミシェルのマドから火槍が現れ、ゆっくりとリフィの方へ、正確にはリフィの火槍があった場所は移動し、瞬間、先ほどと同じ結果をもたらした。


「あ、リフィ先生の魔法思い出しながら解放したから本当に再現みたいになったんだ」


 ミシェルは良い失敗だったと思い、そして検証を重ねれば詠唱を覚えなくても良い事に気付き、小躍りしそうになった。



「わかったわ。ミシェル、あなたのスキルは対人や対魔物戦には向かないけど、それ以外であれば一生安泰で暮らせるわ」


 引く手あまただけど、軟禁される覚悟もしないとね、と、リフィは可哀想なものを見る目でミシェルを見た。


「え? 何でですか? 想像通りの魔法が使えれば戦えると思うんですけど……」


 ミシェルは魔法を使ってゲームみたいに戦える事を期待していた分、リフィの評価に納得がいかなかった。


「理由は3つね。まず収束という過程が必要だからすぐに魔法を発動できない事。 そして収束のタイミングを誤れば必要なタイミングで必要な効果が得られない事。 最後に周囲の精霊って事は、後衛で防御陣内に固まる場所にいられないし、前衛でそんな物持って戦えるわけないわ。 ザッとこんなもんね」


 ミシェルは打ちひしがれた。


 特に3つ目の理由なんてのは周りに劣るどころか迷惑をかけるということに。


「逆にこれらをクリア出来れば……向かうところ敵なしってのは過大評価じゃないはずよ」






誤字脱字や表現の違和感などあれば教えて下さい

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