凪と紺子
私は、月を見た。
髪や目だけでなく衣服も黒を纏っているが、差し込む日にやわらかく照らされたその姿は、月である。
うす暗い山奥の、古い塔の上で。私は、月を見たのだ。
その出逢いを偶然と呼ぶには惜しく、必然と呼ぶにはつまらない。まして、運命などというありふれた言葉など使いたくはない。
そう、私が迷った先で見た空に、月があったのだ。ただ、月があったのだ。
髪や目だけでなく衣服も黒を纏っているが、差し込む日にやわらかく照らされたその姿は、月である。
うす暗い山奥の、古い塔の上で。私は、月を見たのだ。
その出逢いを偶然と呼ぶには惜しく、必然と呼ぶにはつまらない。まして、運命などというありふれた言葉など使いたくはない。
そう、私が迷った先で見た空に、月があったのだ。ただ、月があったのだ。